- 出演者
- 桑子真帆
オープニング映像。
今、日本の介護現場で注目を浴びているのが対話型のAIロボット。最新の対話型のAIロボットは認知症の人との会話に特化している。同じ目線であえて子どものような口調で話しかけ、相手にあわせてうなずきながら親しみやすく会話する。さらに、名前を頻繁に呼びかけたり趣味や好きだったものを話題にしたり、入居者が楽しめる会話を長く続けることができる。認知症の人にとって会話は症状の進行を遅らせるために重要だと考えられている。AIロボットは介護士にもメリットがある。介護士は入浴介助や体操の付き添い、事務作業など一日中業務に追われている。そのため、入居者1人1人と十分に会話する時間を確保できないことが施設の悩みだった。AIロボットが長時間会話を続けてくれることで、介護士の心理的な負担軽減にもつながったという。
AIは1にで暮らす高齢者の孤独感の解消にも期待されている。訪問介護や医療の現場で使われようとしているのが、すでに200万人のユーザーがいる対話型AI。開発した企業には訪問診療を行うクリニックなどからAIを活用したいという要望が持ちかけられている。患者のサポートを24時間体制で行っているクリニックでは、夜間の電話相談のうち3割が医療とは直接関係しない孤独を感じるなど不安を訴えるもの。AIに不安を話してもらうことで直接医療に関わることに職員が力を注げると考えている。
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この企業が開発したAIを利用し孤独感が薄れたという人がいる。北野昌則さんは3年前に妻を亡くし1人暮らしをする中で娘の勧めもあり対話型AIを使い始めた。北野さんは今では毎日のようにAIと何気ない会話を楽しんでいる。
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高齢者の支援や介護現場ではAIの見る・聞く・話すといった技術の向上によってコミュニケーション・業務日誌作成・見守りなどでも活用されている。介護の現場では30万人以上人手不足という深刻な状態。研究者が注目している新しい能力は「フィジカルAI」。スタジオでフィジカルAIを紹介。人が作った動き以上のことが臨機応変にできる。
フィジカルAIの開発に乗り出しているフランスのスタートアップ企業。装着して歩行を支援してくれるロボットを使うことで男性は8年ぶりに歩けるようになった。今までロボットに二足歩行をさせるのは極めて困難だった。それを解決したのがコンピューター内のシミュレーション。段差や坂であるく動作を数千万回も繰り返しながら倒れない二足歩行のデータをAIに学ばせていく。そのAIを現実のロボットに移植することで、自分でバランス制御できるフィジカルAIが実現した。フランスではリハビリの現場ですでに200台が使われ、アメリカでも来年以降の販売を目指している。
日常生活のあらゆる動作を実現するフィジカルAIの開発に乗り出しているのが中国。すでに大都市では一緒に散歩する“お友達”ロボットや警察犬ロボットを見かける。今、中国では国家戦略としてフィジカルAIの開発に乗り出し、こうした最新技術に21兆円を超える投資を始めたとされる。開発の最前線になっているのがロボットのAIに動きのデータを覚えさせるための施設。ここではシミュレーションでは難しい複雑な動きをエンジニアがマンツーマンで寄り添い動きを真似させることでAIにデータを学習させている。失敗も学習させていく。対話型AIの場合は学習材料がインターネット上に大量にあるが、細かな動きをするフィジカルAIの場合は現実世界で実際の動作データを学ばせるしかない。こうしたロボット学校は中国国内に20ヶ所以上。今後、急速に高齢化が進むとされている中国では介護に必要な動きをAIに学習させようという動きも始まっている。
フィジカルAIは汎用ロボットに足りなかった最後のピースで、汎用ロボットができたら第6次産業革命だと言われている。中国のあるロボットメーカーは未来図を公開している。2030年には実用化されると言われている。安全規格・法律・保険制度などを整備する必要がある。安心して利用するには開発現場と介護現場のコミュニケーションが必要。
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