- 出演者
- 中居正広 笑福亭鶴瓶 杉原凜 陣内智則 野々村友紀子 ナダル（コロコロチキチキペッパーズ） 藤江萌 須崎優衣
今夏のパリ五輪では日本選手団は45個のメダルを獲得したが、敗北した選手らに誹謗中傷が相次いだ。そんな中、「SNSは人と交流するツールであって不平不満のはけ口じゃない」などと投稿したのがスマイリーキクチ。2004年、韓ドラ「冬のソナタ」で主演したペ・ヨンジュンのモノマネでブレイクしたが、かつてネット上である殺人事件の犯人に仕立て上げられていた。1988年、東京・足立区で少年たちが女子高生を監禁、40日間にわたって暴行を加えて殺害した。さらに遺体はコンクリート詰めにして遺棄された。犯人の一人が同じ足立区出身のスマイリーだという作り話がネット上で飛び交った。
スマイリーキクチは恋人にネットの使い方を教わり、自らの名前を検索すると、悪質な投稿を相次いで見つけ、中にはスマイリーと名乗って勝手に謝罪する書き込みもあった。所属事務所はホームページで否定し対策をとり、掲示板の運営元にも削除依頼を申請。だが、事務所側は殺人犯をかばったと中傷はかえってエスカレートした。掲示板の運営元も「事実無根を証明しなければ削除には応じません」という返答。スマイリーは万が一を考え、警察に相談を持ちかけるも、今とは違い警察も対応が難しかった。しばらくして警察で捜査報告を聞くと、投稿の発信元とおもわれるパソコンを5台特定していた。ただ、これ以上の捜査は難しく、打ち切りが決定。
スマイリーはペ・ヨンジュンのモノマネで注目を集めるも、番組の視聴者から「殺人犯をテレビに出すな」などとクレームの電話が殺到。CMのスポンサーにまで抗議の電話がひっきりなしに掛かってきたという。その後、メディアへの露出も減っていった。
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- ペ・ヨンジュン
須崎優衣はパリ五輪1回戦で敗北したが、会場まで見に来てくれたファンが笑って帰れるようにと戦い続けたという。野々村友紀子と陣内智則は10代後半からの付き合いで、陣内は「全身ピンクのどヤンキー」と振り返った。
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- 吉本総合芸能学院
2008年、スマイリーキクチはブログを開設すると、わずか数日で膨大な数の誹謗中傷が殺到した。当時、元警察関係者が著作を出版し、女子高生コンクリート詰め殺人事件の犯人グループの1人は、出所後にお笑い系のコンビを組んで芸能界デビューしたと記載されていた。スマイリーは93年に「ナイトシフト」というコンビでデビューしている。すぐに解散したが、著作の内容から逸脱してはいない。スマイリー犯人説はネット上に解散した。
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2008年4月、スマイリーは再度警察に相談を持ちかけるも、「削除依頼をしてください」と一辺倒な回答。また、危害を受けてからでないと刑事事件にすることは難しかった。事務所は本を発行した出版社に抗議の電話をしたが、「タレントの名前を記載したわけではない」「中傷した事実は一切ない」と取り合ってもらえなかった。ブログの更新を休止すると、「足立区の殺人事件の主犯格が出所するから」とネット上で憶測合戦が始まった。スマイリーはインターネット関連の事件に強い弁護士に相談を持ちかけると、本の出版社と闘うことを提案された。民事訴訟を起こす決意をし、結婚資金から裁判費用を捻出。恋人は関連資料集めに協力してくれた。スマイリーは法律関連の本に目を通すなか、「脅迫も名誉毀損も刑事事件」と気づき、2008年8月、刑事課相談室を訪れた。
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スマイリーは刑事組織犯罪対策課の警部補と対面し、これまでに受けた誹謗中傷などを報告した。
陣内智則は好意的な意見が多いなか、少数のネガティブなコメントが目につき、エゴサーチは控えることにしているという。野々村友紀子は「シルヴェスター・スタローンに似ている」と言われるという。
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- シルヴェスター・スタローン浜田雅功
スマイリーは刑事からはブログで「今後、誹謗中傷の書き込みがあった場合は刑事告訴をします」と書くことを提案され、実行に移すことに。
2008年8月、スマイリーはブログで「事実無根の内容を書き込むのであれば刑事告訴します」と宣言。3日後、「あんた殺人犯 死ねば」といった書き込みがあり、発信元を確認。警察が身元を特定し、検挙に踏み切った。
陣内はかつてのツイッターに投稿するたび、「しばくぞ！」と書き込まれた。しばらくして、別の誹謗中傷があると、「しばくぞ！」の投稿者は陣内を擁護。後日、陣内は投稿者と対面を果たし、今では実家にお歳暮を送ってくれるという。ナダルは自著を浜辺美波が告知してくれたところ、「早く目を覚ませ！」という投稿があったといい、陣内は「それはそう！」と投稿者を支持した。
スマイリーキクチを誹謗中傷をしていたのは一見、普通の社会生活を送っている人物ばかりだった。犯行理由を尋ねると、「私生活や仕事でストレスが溜まっていた」といい、自分だけじゃなく誰しも書いていると主張した。取り調べを受けた全員が謝罪すると言ったが、スマイリーの元に謝りに来た者は一人もいなかった。
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ナダルは悪口の投稿が圧倒的多数だといい、中居正広は「タレントはしょうがない。言われてしまう」と吐露。体調不良で入院していた頃、エゴサーチしてみると、死去したことになっていたという。笑福亭鶴瓶は中居を案じる人に対して、「アカンとちゃうか」と答えていて、「中居 死去」というウワサの発端と判明した。
スマイリーの事件を担当していた刑事が確認すると、女子高生コンクリート詰め殺人事件の犯人で出所後に芸人になったものはいないという。警察は名誉棄損の疑いで18人、さらに脅迫の容疑で1人、合わせて19人を検挙した。インターネット上の誹謗中傷被害で加害者が一斉に検挙された日本で初めての事件として、メディアでも大きく報道された。
枝川義邦教授はネガティブな意見を目にすると、感情が大きく揺さぶられ、帰国を司る海馬も活動を始めるなどと説明。また、人間というものは本能的に不安なことには注意が向きがちで、ついネットを見てしまうという。
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スマイリーキクチは「法律が改正しているが、一番変えなきゃいけないのはユーザー。気持ちや使い方を学ばなきゃいけない」、「言論の責任をもって言葉を発信してほしい」などと語った。22年7月に施行された侮辱罪では1年以下の懲役もしくは禁錮、もしくは30万円以下の罰金となった。スマイリーはその後、傍で支えてくれた恋人と結婚し、子どもも生まれたという。
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