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(オープニング)
オープニング
オープニング映像。
(ニッポンの里山 ふるさとの絶景に出会う旅)
命あふれる草と森の牧場 北海道旭川市
北海道旭川市の郊外にある牧場は山の斜面で放牧している。草むらにはバッタの仲間などが生息し、牛が歩くと驚いて飛び出す。それをクモが待ち構えている。戦後に入植した斎藤晶さん(84)が牧場をひらいた。割り当てられたのは石ころだらけの傾斜地だったことから、畑は諦め、牛を飼うことに決めた。牛は森に入って草や灌木を食べてくれるため、牛を山に放ち森を切り開いてもらおうと考えた。牛は牧草の種も運んでくれる。斎藤さんは牛が食べない山草をこまめに刈り取り、牛が歩き回りやすいようにしている。現在は牛乳が絞りやすいよう牛舎で飼育することがほとんどだが、斎藤さんは森の放牧にこだわり続けている。夏になると牛たちは牧場の所々に残されている森に集まる。森の中は気温が3℃ほど低い。牛は暑さで弱ると乳の出が悪くなるという。森でオオアカゲラが木をつついて虫を探していた。ミズナラの木にはミヤマクワガタがいた。牧場の面積の3割は森。昔からあった森をわざわざ残している。森は水も蓄え、あちこちで水が湧き出ている。牛が集まる場所は地面がぬかるみ、その水分や牛の尿から出たアンモニアを求めてチョウたちが集まってくる。クジャクチョウが羽を広げると鮮やかな色彩が現れた。10月になると牧場は紅葉に染まる。落ち葉は土に還って栄養を与えてくれる。倒木は薪ストーブの燃料となる。草と森の牧場は多くの命を育む開拓地に広がる里山だった。
里山 季節のことば「袋蜘蛛」