- 出演者
- 勝呂恭佑
オープニング映像。
午前9時から会見を行った日本製鉄の橋本英二会長は「本件は当社の経営戦略上、最重要マターであることだけでなく、日本および米国両国にとって極めて有益であると今でも確信している。米国の事業遂行を決して諦めることはない。諦める理由も必要もないというのが私の考え方。日本製鉄、USスチール、一致した考え方」と述べた。日本製鉄によるUSスチールの買収計画を巡っては、計画を審査していた米国政府のCFIUS(対米外国投資委員会)は全会一致に至らず、判断を委ねられたバイデン大統領が今月3日、国家安全保障上の懸念を理由に買収計画に対する禁止命令を出した。これに対し日本製鉄とUSスチールはバイデン大統領や委員会の議長を務めるイエレン財務長官などを相手取って“禁止命令を無効とし審査のやり直し”を求める訴えを米国の裁判所に起こした。また日本製鉄とUSスチールの買収で競合した現地の鉄鋼大手「クリーブランドクリフス」やUSW(全米鉄鋼労働組合)のマッコール会長などに対しても“買収を阻止してUSスチールの競争力を低下させようとした”などとして、違法行為の差し止めや損害賠償を求める訴えを起こした。会見で橋本会長は買収の実現を目指す方針を改めて強調した。一方で裁判で勝訴できる可能性について問われたのに対しては“これからのことなので何%の確率とか、どのような期間になるのかは今、申し上げるタイミングではない”と述べるにとどまった。
今回の提訴についてホワイトハウスの報道担当者はNHKの取材に対し、“バイデン大統領はこの国の安全保障、インフラ、そしてサプライチェーンの強じんさを守るため決してためらうことはない”として“大統領の判断は正当だ”と改めて主張した。USW(全米鉄鋼労働組合)のマッコール会長は声明で“われわれは訴状を精査しているが、これらの根拠のない主張に対しては断固として反論していく”としている。また米国のトランプ次期大統領は買収計画について自身のSNSに“関税の導入によってUSスチールがより収益性の高い価値ある企業になるのに、なぜ彼らはUSスチールを売却したいのか”と投稿した。改めてこの買収計画に反対の意向を示した形。
日本製鉄の記者会見について、経済部重工キャップ・鈴木啓太が「改めて大統領の禁止命令の判断を“不当だ”と主張し、“結論ありきの不当な政治介入があった”と指摘している。橋本会長は会見の中でも“憲法、あるいは法令に明確に違反したものだ”と厳しい口調で批判し、バイデン大統領や米国政府と司法の場で全面的に争う姿勢を示した。また会見では“この買収計画は米国の鉄鋼業界の強化にもつながる”としてこれまで一貫して主張してきた内容を重ねて強調した。そのうえで橋本会長は米国の国家安全保障の強化に資すると考えていて“米国の事業遂行を決して諦めることはない、諦める理由もない、これが最善の道であると確信している”と述べ、引き続き買収の実現を目指すという考えを示した。経済や安全保障で日本と米国が緊密な関係にあるにもかかわらず、大統領みずからがこうした判断をしたことに懸念が広がっている。石破総理大臣はきのうの記者会見で“日本の産業界から今後の日米間の投資について懸念の声が上がっていることは残念ながら事実だ”と述べた。また武藤経済産業大臣は“極めて残念で理解し難い”などと述べたうえで今回の判断に至った背景などについてバイデン政権に説明を求めていると明らかにした。また経団連も声明を発表し“今後の対米投資や日米の経済関係への影響が憂慮される”として強い懸念を示した。日本製鉄は大統領命令を無効とするよう求めて法廷で争うが、国の安全保障に関する大統領の判断は重く、訴訟しても結果を覆すことは難しいという見方も専門家から出ている。ただ米国政府側も安全保障上のリスクの懸念がどこにあるのか明確にすることが求められると思う。会社側は“大統領選挙で鉄鋼業界の労働組合の支持を取り付けるためバイデン大統領が審査に違法な政治介入を行った”などと主張している。裁判ではこうした主張が認められるかが焦点になると見られるが、証拠を入手し事実関係を一つ一つ立証していくことが求められるだけに、厳しい裁判となることも予想される」とスタジオで解説。
米国・FRB(連邦準備制度理事会)は6日、“金融機関の監督や規制を担当するバー副議長が来月末で辞任する”と発表した。2022年7月に就任したバー副議長は、米国でおととし銀行破綻が相次いだことを受けて金融機関に対する規制の強化などを進めてきた。しかし今月20日に就任するトランプ次期大統領は、金融規制の緩和を訴えている。バー副議長は声明の中で“この役職はFRBによる金融システムの監督規制に対する透明性や説明責任を高めるために設けられた”としたうえで“この役職を巡る争いのリスクはわれわれの使命から目をそらすことになりかねない”としていてトランプ氏との対立を避けるねらいがあることを示唆した。
気象情報を伝えた。
エンディングの挨拶。