日本製鉄の記者会見について、経済部重工キャップ・鈴木啓太が「改めて大統領の禁止命令の判断を“不当だ”と主張し、“結論ありきの不当な政治介入があった”と指摘している。橋本会長は会見の中でも“憲法、あるいは法令に明確に違反したものだ”と厳しい口調で批判し、バイデン大統領や米国政府と司法の場で全面的に争う姿勢を示した。また会見では“この買収計画は米国の鉄鋼業界の強化にもつながる”としてこれまで一貫して主張してきた内容を重ねて強調した。そのうえで橋本会長は米国の国家安全保障の強化に資すると考えていて“米国の事業遂行を決して諦めることはない、諦める理由もない、これが最善の道であると確信している”と述べ、引き続き買収の実現を目指すという考えを示した。経済や安全保障で日本と米国が緊密な関係にあるにもかかわらず、大統領みずからがこうした判断をしたことに懸念が広がっている。石破総理大臣はきのうの記者会見で“日本の産業界から今後の日米間の投資について懸念の声が上がっていることは残念ながら事実だ”と述べた。また武藤経済産業大臣は“極めて残念で理解し難い”などと述べたうえで今回の判断に至った背景などについてバイデン政権に説明を求めていると明らかにした。また経団連も声明を発表し“今後の対米投資や日米の経済関係への影響が憂慮される”として強い懸念を示した。日本製鉄は大統領命令を無効とするよう求めて法廷で争うが、国の安全保障に関する大統領の判断は重く、訴訟しても結果を覆すことは難しいという見方も専門家から出ている。ただ米国政府側も安全保障上のリスクの懸念がどこにあるのか明確にすることが求められると思う。会社側は“大統領選挙で鉄鋼業界の労働組合の支持を取り付けるためバイデン大統領が審査に違法な政治介入を行った”などと主張している。裁判ではこうした主張が認められるかが焦点になると見られるが、証拠を入手し事実関係を一つ一つ立証していくことが求められるだけに、厳しい裁判となることも予想される」とスタジオで解説。