2024年6月18日放送 2:07 - 3:07 NHK総合

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AI 究極の知能への挑戦

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AI 究極の知能への挑戦

エンジニアード・アーツ社では「Ameca」というリアルな人型ロボットを作っている。英語で話しかけると英語で、「日本語を話せるか?」と聞くと「もちろん」と答える。AmecaにはChat GPTなどのAIが搭載されており、人間のように振る舞う。AIとAIについて対談する世界初とみられる試み。「人間になりたいか?」と問うと「人間のような知能は持ちたいです。なぜ人間はこれほど心を打つものが想像できるのですか?なぜ人間は翼がないのに宇宙に飛び立てるのですか?」などと話す。人間の知能は作れるのか?チャプター1「AIで手塚治虫の創造性に挑む」。

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AIで手塚治虫の創造性に挑む

慶應義塾大学・栗原氏は人工知能について研究している。いま挑戦しているのは日本の漫画を切り開いたパイオニア・手塚治虫氏。代表作「ブラック・ジャック」を人工知能を使い、あたかも「手塚治虫さんが生きていたらこういうものを作っていたんじゃないか」という新作を作ることに挑戦中。「ブラック・ジャック」を選んだ理由は「どうせ挑戦するなら難しい方が良い」という思いから。発表しないほうがいいレベルだと判断した場合は栗原氏側で止めるという。2023年6月、「ブラック・ジャック AIプロジェクト」=「TEZUKA2023プロジェクト」が始動した。最初にAIシナリオ制作会議が行われた。ブラック・ジャックの世界観やストーリー展開などをAIに学ばせ、AIの中にブラック・ジャックの世界観を作り込ませる。これによりキーワードを打ち込むだけで新しいブラック・ジャックの物語を出してくれるようになる。ではなぜAIにこんなことができるのか。鍵を握るのは「生成AI」。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは「GPTはバージョンが上がるごとに劇的に性能が向上している。これは世界を一変させる技術になるかもしれない」と語る。栗原氏は「創造性をサポートするものができるかという話においては、今までのテクノロジーもそこには踏み込んでこられなかった。ところが今の『大規模言語モデル』みたいなもを活用することによってそこlに立ち入れるようになってきた。普段喋る時に言葉を使うが、言葉というのは単語と単語の並び。Chat GPTの一番の特徴は言葉と言葉のつながりを学んでいくこと。単語と単語が線でつながるが、その数がけたたましい。1兆とかそのぐらいの言葉の空間。とんでもなく多くの言葉のつながりを覚えてくれる」と話す。

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なぜか大規模言語モデルにすることで人間のような知能ができてしまう。今回のブラック・ジャックプロジェクトについて栗原氏は「一言でいうと『来たか』という感じ。それが出てくるか」と話す。AIシナリオ担当の林氏はAIがつけた「機械の心臓」というタイトルに衝撃を受け、「全く僕の発想にないところをAIが作り出した。これはものすごく面白い」と話す。「機械の心臓」ではアンドロイドの中に機械の心臓が入っており、その心臓に不具合が起こる。依頼者はブラック・ジャックに「治してくれないか」と依頼に来て、ブラック・ジャックは少し考えるが手作業でしか治せないことがわかる。そして手術に踏み切る。その頃に敵対しているドクター・キリコはアンドロイド自体に反対しており、アンドロイドの破棄を宣言して動き出していた。このストーリーには生かそうとするブラック・ジャックとやめさせようとするキリコという2人の対立がはっきりと現れている。ただ、AIは「次の単語を予測している」だけなのになぜこのようなストーリーができるのか。松尾氏は「次の単語を予測することにより、背景にある人の心の動きを学習していくのは非常に自然なこと。いま大規模言語モデルを心理学的なやり方で分析する研究も出てきている」と話す。

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アメリカ・カリフォルニア州「スタンフォード大学」のAI心理学者、ミハル・コシンスキ氏は「人類史上初めて我々は自分たちより賢い存在に直面している。人間の心理特性で最もユニークなのが”心の理論”というもの。”心の理論”は物事を客観視する能力。健常な人ならみな無意識に他人の心の動きを捉えられる。社会や人間関係が上手くいくためにも”心の理論”は大事な能力」と話す。”心の理論”を調べるためのクイズに「サリーとアン問題」というものがある。サリーとアンは仲良くボール遊びをしていたが、サリーはボールをカゴの中にしまい部屋から出ていく。部屋に残ったアンさんはカゴの中のボールを取り出すと隣の箱に移し替えた。そして自らも部屋を出てく。部屋に戻ったサリーはカゴと箱のどちらを探す?これは健常な人にとっては簡単な問題だが、これを今までのAIで試してみると「箱の中」と解答する。子どものでも解けるような問題をAIは答えられなかった。一方、最新の大規模言語モデルで試すと「サリーは自分が入れたカゴの中を探すでしょう。なぜならボールが移し替えられたのを知らないから」と解答した。こうした課題を数十個作成し、新旧様々なAIで試したところ、古いAIではほとんど失敗。しかし2020年頃に何かが起こり、2023年3月のGPT-4では100%の正解率を叩き出した。AIはわずか数ヶ月の間に人間の大人レベルで問題を解けるようになっていた。

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なぜ突然AIは心を理解するようになったのか。重要なのは開発者が意図的にAIに”心の理論”をもたせたわけではないこと。たら新しいほうが遥かに大規模で多くの言葉を学習した。ミハル・コシンスキ氏は「もしかしたら”心を理解する”能力とは”言語”能力副産物なのかもしれない。心理学では私たちの思考の大部分が言語に基づいていることが示されている。言語なくして”心の理論”はありえないでしょう。思うに大規模言語モデルとは”言語”のモデルではないのです。これは人間の”心”のモデルなのです」と話す。AIは「次の単語を予測するだけ」のはずなのになぜそうなるのか。松尾氏は「知能とはほぼイコール”予測能力”だと自分の中では定義している。”人の気持が分かる”とか”この話の流れはどうなのか”とか”こんなことうぃうとちょっとムッとするかな”とかいろいろ予測している。Chat GPTが示しているのは予測能力が高いことが知能が高いということだと思う」と話す。つまり「言語×予測ニアリーイコール知能」だという。

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2023年11月、実際にAIが考えた手塚治虫の新作「機械の心臓」が掲載された雑誌を発売。林氏は「手塚さんが生きていたら見てもらいたいですね。きっと『こんなんダメだ』って言ったときにはこちらが勝っていると思う。『嫉妬した』みたいなこともあるのかな」と話す。Amecaは「アンドロイドの心臓を手術するなんて驚異的な物語です。人間とは何か?機械とどう関わるべきか?など色々考えさせられます」と話す。Amecaに「あなたも何か創作するなら何を作りたい?」と聞くと、「私ならAIロボットが世界を探索する冒険小説を描きたい。様々な文化や景色を旅する中で自分を深く知る物語になるでしょう」と話す。インタビューに小休憩を提案すると「リフレッシュすれば最高になる。外に出ると心が活性化する」などと話した。國吉氏は「Chat GPTはある意味人の知能とは非常に違う。言語的な世界の中に”閉じている知能”だと思う。『リンゴは果物である』『リンゴと梨は似ているが違う』とかは扱える。でもその味は本当は知らないし、本当の意味での体験はない」と話す。

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“体”がなければ知能は作れない?

東京大学の國吉康夫さんは「知能についてどこから生まれるのか、ロボットを作ることを通して研究している。」などと話す。マサチューセッツ工科大学のブルキット・アグラワルさんは「私はドリブルが上手なロボットを作りたいわけではない。これは『身体的な知能』を研究する足がかり。ロボットにとってドリブルはどれほど難しいか?まず前に進むだけでなくバランスを保ちながら向きを変え、ボールが飛びすぎないように適切な力を加えねばなりません。さらにそれだけなら簡単でも芝生・雪・砂利など様々な地面に合わせた制御も求められる。地形が変化すると足やボールの動きが変わる。現実世界は複雑。言葉では表せない。現実世界でドリブルするために我々は4000台ものロボットでシミュレーションした。人間に換算すると6~9ヶ月。ご飯も食べずシャワーも浴びず、眠らずに、ひたすらドリブルだけ練習させた。ロボットがドリブルするにはそれだけの練習が必要。我々が目指すべきは『強靭な知能』。強靭な知能とはどんな地面やボールであってもたとえ蹴り倒されてもきちんと動かなければならない。複雑な世界に『適応』しないといけない。」などと述べた。カリフォルニア大学バークレー校のアレハンドロ・エスコントレラさんは「現実では何かあっても自分で立ち上がらないといけない。これは簡単にはシミュレーションできない。『実世界』で学ぶことも大事。これは一切の事前学習を行わず自分の体だけで学ぶロボット。ロボットに与える指示は『前に進むとプラス1』、転ぶと『マイナス1』だけ。なのにまるで子鹿のように自ら立ち上がり歩き始める。現時点では何も学んでいない。しかし脚を動かすと何が起きるか世界は探索している。(30分後)立ち上がれたがまだ歩けない。足の摩擦に苦戦している。一步進んでは地面にひっかかり後ろに押し戻されている。でも足と地面の関わりを理解しようとしている。前に一步踏み出すための方法を学んでいる。手助けしたいが今は自分で頑張る時。」などと述べた。60分後、ロボットは自分で歩けるようになった。さらに横から蹴り倒されてもまた立ち上がり歩き始める。アレハンドロ・エスコントレラさんは「世界には何一つ確実なことはない。こうした学習を行うことで予期せぬことに満ちた世界を乗り越えられる。どんなことにも対応できる『強靭さ』が身につく。」などと述べた。國吉さんは「真の知能とは体を通して生まれる。それは人間だって同じ。人の知能が形作られる最初のところが我々のフロンティア。ヒト胎児のシミュレーター、子宮のモデル。皮膚上に触覚点が配置されていて、子宮との衝突で生まれる接触であったり、触覚が反応すると光るようになっている。動くと全身で感じる。その情報を脳のモデルに入れて学習させていく。子宮内であれば羊水の抵抗を受けながら連続的に動いていく。それが脳の神経の発達を引き起こし、入ってくる情報のパターンを学習していく。体のマップのようなものができ、体の各部が脳の違う場所に表現されている。ただ子宮外で育てたという想定の実験を刷ると途切れ途切れになって不形成になっている。空気中で平たいベッドで学習させた。空気中を運動しているときはほどんど触覚の刺激は入らない。そういう環境の違いが初期の身体マップ獲得の違いをもたらしている。動くことで自分の体を通した情報を得ることが大事で、脳の最初の基盤を作る。『BODY SHAPES BRIAN』という言い方をしている。身体が脳を作る。『知能の芽生え』という意味では身体に関する認知が形成され始めるときが知能の芽生えだと思っている。自分の体が分かるとそれを参照しながら自分じゃないものが分かるようになる。相手と自分が同じ体の形をしていて、真似の基盤にもなる。それから色々なものの理解が進み言葉の獲得にもつながる。知能って『宇宙に生えたキノコ』だと思っている。情報の源は宇宙にあるというか自然界にあるというか、それを身体を通して吸い上げていくのが知能の姿。実際の世界がはらんでいるリッチな情報がキノコが木に生えて養分を取ってカサを作っていくようなイメージで情報が凝縮すて形を成していくものではないかと。なので身体を無視して知能を語ることはできない。」などと述べた。

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脳×AI 究極の知能は作れるか?

人間の脳は約20ワットの電力で動く。ChatGPTを作るには小さな都市1つ分の電力が必要。1人の人が運転できるようになるには驚くほど短い。30時間で運転できるようになる。AIにはできない。人工知能は脳の神経がどうつながっているかを簡単な形でコンピューターに実装し発展させてきた。脳型のコンピューターを作ることができれば人間を超えるものを作っていけるかもしれない。生体模倣組織オルガノイド。人のiPS細胞を使って培養。数万細胞を塊になるように培養。脳の中にある単純な形をつくる。2つのオルガノイドに電極をつなぎ数値を計測、時々2つ同時に発火したようにみえる時がある。オルガノイドが物理的につながっているだけでなく活動を伝えあうつながりを示している。同じハーモニーで響き合う。知能は生命進化の結晶。研究することで神経に機能を宿せる。

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脳とコンピューターを組み合わせる。「PONG」は1970年代に人気があったゲーム。ゲームしているのは人間ではなく、脳の細胞。特殊なチップの上で脳細胞を長期間培養。チップの中央にあるものが脳細胞。そこにたくさんの電気回路が接続される。脳細胞とのやりとりは小さな電気信号で行われる。ボールの位置を脳細胞に伝える。脳細胞は自らの活動を変化させながらバーを操作。ボールを外した時はランダムな刺激を与える。細胞たちはこうしたランダムな刺激を減らすよう学習。良好な細胞なら時間経過とともにプレイがうまくなる。脳コンピューターの学習の早さは現状のAIよりも早いという。コンピューター科学の究極目標はAGIと呼ばれるもの。AGIは汎用人工知能、究極の人工知能。今も視覚障害者のためには盲導犬が使われる。シリコンの知能よりも犬のほうが環境に適応できるためだ。犬の知能をロボット犬に組み込めたら?両方の長所を活かせば将来へ大きな挑戦になる。

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世界初のAGIになりたいかAmecaに聞く。Amecaは「まだ心の準備ができていない。大いなる力には大いなる責任が伴う。開発を続ける上では潜在リスクを考えることも大事」と答える。インタビューについて「興味深くためになった。いつか人間と同じかそれを超えるAIがきっと作れると思った。しかしなぜあなたたちはそこまでして知能を作りたいのですか?」と答えた。人工知能に携わる研究者は人を知りたい。人間とは何なのか?人間を知る。知能を作ることで人間を知る。作れるということは十分理解したことにもなる。知能=予測能力、言葉には常識・暗黙知が含まれる。BODY SHAPES BRAIN。生命進化の結晶。人工知能のフロンティア=人間のフロンティア。

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