- 出演者
- 山川龍雄 田中瞳 長部稀
オープニング映像。
小泉農水相の勝利を織り込んでいた市場関係者にとって、総裁選の結果はサプライズとなった。日経平均株価はみるみる上昇し、午後には初めて4万8000円を突破。株高をけん引したのは、三菱重工業や川崎重工業など防衛関連の銘柄。高市氏はこれまで何度も防衛力の強化を訴えてきており、防衛費の増額を見越した関連銘柄への買い注文が広がった。ほかにも半導体や核融合開発など、高市氏が成長分野と位置付ける銘柄に買いが殺到した。日経平均株価は先週末より2100円ほど高い4万7944円で取引を終えた。去年石破氏が総裁に選出されたときは、1900円を超える大幅安になった。単純比較はできないが、投資家の期待度には大きな差がありそう。為替市場では高市氏が積極的な財政政策を取ることや日銀の追加利上げが難しくなるとの観測が広がり、円相場は急落。一時1ドル=150円台につけ、約2カ月ぶりの円安水準になった。自民党の結党から70年、初めて女性の総裁が誕生した。高市氏はアメリカ下院議員事務所で勤務を経験したコメンテーターとして、1990年にワールドビジネスサテライトに出演していた。1992年に参議院選挙に立候補したが落選し、翌年の衆議院選挙で初当選した。第1次安倍政権で初入閣し、政治信条の近い安倍氏とその後も行動を共にしてきた。総裁選で訴えた政策も、安倍氏の政策と近いものが並んだ。高市氏が訴えたのは、戦略的な財政出動により需要を喚起し景気をさらに上向かせるという高圧経済。ガゾリンと軽油の暫定税率廃止や年収の壁の引き上げなど、負担軽減策も並べた。さらに財源としての赤字国債の新規発行を、5人の候補者のうちただ1人容認した。去年の総裁選の際には「金利をいま上げるのはアホ」と日銀を牽制する発言もしていた。利上げの時期を模索する日銀に対し高市氏が今後どのようなスタンスで向き合うのか、注目が集まっている。マーケットからは期待の反面、日本版“トラス・ショック”を懸念する声も上がっている。2022年に物価高やエネルギー価格の高騰に苦しむイギリスで首相を務めたリズ・トラス氏は、就任後すぐに財源の多くを国債に頼る大規模な減税を打ち出した。この“財源なき減税”により、イギリスの金融市場では株安・通貨安・債権安のトリプル安が進行。“トラス・ショック”と呼ばれ、就任からわずか7週間で辞任に追い込まれた。大和証券チーフストラテジストの坪井裕豪さんは「高市さんの発言を見ている限りは、『一定の規律を保った財政拡張』という言い方をしている。野放図な財政拡張とは一線を画すと考えられる」などとコメントした。衆参両院で与党が少数の現状を踏まえ、今後与野党の協議が進めば株価の上昇が期待できるという。一方急激な円安が進んだ為替相場の今後の見通しについて、BNPパリバ証券チーフエコノミストの河野龍太郎さんは「年内も利上げは難しいと、実質金利が下がって円安を招く状況になっている。春になっても難しいとなると、さらに円安が進むことはありうる」などとコメントした。為替の方向感を占う上で重要なのは、野党との連立協議と財務大臣の閣僚人事だという。
高市総裁はあす発足させる自民党の役員人事を固めた。幹事長には鈴木総務会長をあてるほか、政調会長には小林元経済安保相、総務会長には有村元少子化相を起用する。選対委員長には古屋元国家公安委員長を起用する方針となった。今回の総裁選で高市総裁誕生の流れに大きな影響を与えた麻生氏に近い鈴木氏を幹事長に起用することで、政権基盤を安定化させたい狙いがある。党の立て直しが急務となる中、高市氏の側近は「人事で高市色を出すと内部から不満が出てくる」と話していて、独自カラーよりも党内の結束を優先し足元を固めたい考え。政策的な独自色も出し辛い状況になっている。
ペットボトル飲料や酒類、パックご飯など、10月から約3000品目が値上げとなった。物価高の勢いはとどまる気配がなく、消費者が新総裁に望むことは何かを聞くと「食料品にかかる消費税は5%くらいに」「値下げではなく給料の方を上げてほしい」などの声が上がった。アキダイの秋葉弘道社長は「卵や牛乳が安定してこれ以上値段が上がらないように、相場を抑えるためにどうしたらいいか」などとコメント。経団連の筒井義信会長は高市氏の積極的な財政出動などの政策を評価し、「自民党の再生に期待する」と述べた。一方自動車などで使うゴム製品を製造する通称企業の森清化工では、賃上げのため積極的に設備投資を進めてきた。毛利社長は「国内産業の保護にも力を入れて欲しい」と訴えた。
高市氏が総裁選で訴えていた主な経済政策は、「責任ある積極財政」「ガソリンと軽油の暫定税率廃止」、「『年収の壁』引き上げ」、「『給付付き税額控除』の制度設計に着手」など。こうした政策の多くは、立憲民主党や国民民主党など野党側が求めているものと重なる。野党側との接触はすでに始まっており、きょうは自民党の麻生最高顧問が国民民主党の榛葉幹事長と都内で会談した。国民民主党は、連立拡大を見据えた交渉相手としては本命。ただ支援組織の連合が自民党との連立に反対の立場で、連携に向けた協議の行方は見通せない状況。また公明党は靖国神社への参拝や外国人政策の厳格化などに対する懸念を解消することが、連立政権の前提になるとの認識を示している。今月15日で調整されていた臨時国会の召集と総理大臣の指名選挙はずれ込む可能性が出てきた。トランプ大統領の来日など重大な日程が続く見通しで、高市氏にとっては正念場が続きそう。
高市新総裁を、外国の3人の女性リーダーと比較する。イギリのトラス元首相は「財源なき減税案」を掲げて市場が大荒れになり、短命政権で終わってしまった。市場ではその再来が心配されているが、当時のイギリスといまの日本の状況にはいくつか違いがある。日本は経常収支でずっと黒字が続いており、資産もかなりある。またいくら高市氏が積極財政といっても、麻生氏というブレーキ役が存在する。イタリアのメローニ首相は元々極右政治家として知られていたが、首相についた後は現実路線に修正し支持が広がった。このあと高市氏が現実路線に修正していった場合、安定感のある政治家だという印象が広がる可能性がある。高市氏はイギリスのサッチャー元首相の「信念を貫く姿勢と実行力」に憧れているという。ただ総裁選で世話になった国会議員や野党に配慮しなければならず、どこまでカラーが出せるかが注目。
今年も始まった「ノーベルウィーク」。人類に最大の貢献をした人々に贈られる6つの賞のうち、最初に発表されたのは「生理学・医学賞」。スウェーデンのカロリンスカ研究所は、大阪大学の坂口志文特任教授ら3人に贈ると発表した。日本人のノーベル賞受賞は、去年の平和賞に続き2年連続となる。生理学・医学賞では2018年の本庶佑さん以来、7年ぶりの6人目。坂口さんは過剰な免疫反応を抑える「制御性T細胞」を発見した。本来免疫はウイルスなどの病原体を攻撃するが、この動きが強すぎると自分の体を傷つけてしまうことがある。制御性T細胞はその行き過ぎた攻撃にブレーキをかけるもので、アレルギーや自己免疫疾患などの治療やがん免疫療法の研究に役立つと言われている。その1つが、1型糖尿病の治療技術への応用。1型糖尿病はすい臓のインスリンを出す細胞が破壊される病気で、生活習慣が主な原因となる2型糖尿病とは異なりはっきりとした原因は解明されていないが、自己免疫が関わっていると言われている。坂口さんは記者会見で「医学は進歩していく。現在治療が難しいと思われている病気についても、解決策はあると私は信じている」などと語った。
アメリカが提示した和平案をめぐりイスラエルとイスラム組織ハマスは6日、仲介国のエジプトで交渉に臨む。トランプ大統領は「第1段階が今週中に完了する見込みだとの報告を受けた」とSNSに投稿。
東急田園都市線梶が谷駅付近で普通列車と回送列車が衝突、回送列車の一部車両が脱線した事故で国の運輸安全委員会は今日、鉄道事故調査官2人を派遣。田園都市線は渋谷駅と鷺沼駅の間で運転を見合わせており再開のめどは立っていない。
フランス大統領府は6日、ルコルニュ首相が辞表を提出しマクロン大統領が受理したと発表。組閣からわずか半日で総辞職に。フランスでは来年度予算案の議会への提出期限が来週13日に迫っていて財政再建を目指す与党側と財政出動を主張する野党側が対立。
三菱UFJ銀行の貸金庫から計4億円相当を盗んだ窃盗の罪に問われた元支店長代理の山崎由香理被告の裁判で東京地裁は今日、懲役9年の実刑判決を言い渡した。
サイバー攻撃によるシステム障害が発生してから1週間。アサヒグループホールディグンスはビールの生産を一部再開、ただシステムが復旧するめどは立っていない。先週末のたまがわ花火大会会場の露店では例年6樽ほどを確保するが今年は2樽のみ。晃商事・平川晃さんは「出来れば早く復活してもらいたい」などとコメント。アサヒ以外のビール大手3社は想定を超える量を受注したため一部商品で出荷を調整する。
日銀は今日、10月の地域経済報告・さくらレポートを公表、全国9つの地域のうち北海道を除く8つの地域で景気判断を据え置いた。日銀・中山札幌支店長が引き下げの理由として挙げたのは物価高による個人消費の減速。東海地域は輸出は旺盛も関税が収益を押し下げる要因になっているなどと指摘。大阪や福岡の支店長らも先行きに警戒感を示した。
為替と株の値動きについて伝えた。
解説委員・山川龍雄の解説。今日は高市銘柄と言われる防衛宇宙、経済安保セキュリティー関連の上昇が目立った。下落したのは銀行株など。高市氏は財政政策についても金融政策についても責任を持つのは政府と発言。利上げはかなり遠のいたのではないか。
NTTはIOWN(次世代通信基盤)に欠かせない電子部品についてアメリカの半導体大手、ブロードコムなどと共同開発すると発表。NTT・島田社長は高市氏が総裁に就任したことについて「半導体の世界でもう1度復活していくことでは支援をいただけるのではないか」などと述べた。
LANDは新潟空港を拠点とする航空会社トキエアの株式32.34%を取得し航空事業参入を発表。またトキエアの取締役に実業家の堀江貴文氏が就任したことを正式に発表した。
田中貴金属工業は今日、金の小売価格を先週末より857円高い1グラムあたり2万1039円とした。過去最高値を更新。円安ドル高の進行で金価格が押し上げられた。
ヤッホーブルーイングは今日、砂時計型の「ゆっくりビアグラス」を再販。通常の3倍以上時間がかかる。価格は缶ビールとセットで1万2980円。
福島県南相馬市の実験施設で今日公開されたのがスタートアップ、ジップ・インフラストラクチャーが開発している次世代のロープウエー「ジッパー」。ゴンドラの定員は12人。ジッパーは固定されたロープなどの上を滑車が走る仕組み。最大の特徴についてジップ・インフラストラクチャー・須知高匡CEOは「モノレールの5分の1、路面電車の3分の1ほどで導入できる。2033年に公共交通機関での運行が目標」などとコメント。1時間に約3600人を輸送可能。全国約10の自治体が興味を示している。