2025年10月1日放送 22:00 - 22:58 テレビ東京

ワールドビジネスサテライト
アメリカ政府の一部閉鎖へ…影響は?

出演者
豊島晋作 竹崎由佳 吉崎達彦 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

(ニュース)
中継 予算審議が不調 米政府機関 7年ぶりの一部閉鎖

日本時間の午後1時、アメリカでは2025会計年度の国家予算が執行し新たな予算年度を迎えるはずだったが、当面の財政資金を確保するためのつなぎ予算が、今も成立していない。このため、政府が一部機能停止に陥っている。2018年以来の、いわゆる政府閉鎖という事態に直面している。連邦政府の支出を賄う、つなぎ予算が成立せず、教育省の1700人の職員のうち8割以上が一時帰休の状態になっており、学生ローンの申請や免除の手続きが遅れる可能性が高まっている。アメリカ政府は治安や国防、あるいは医療といった国家の維持に不可欠な部門は基本的には維持されているが、一部の政府機能が麻痺しているという状態だ。たとえば年間190万人が訪れる国立航空宇宙博物館も運営費の6割以上を連邦予算に頼っていて、前回の政府閉鎖の際には、一時的に閉館を余儀なくされた。博物館などを運営するスミソニアン協会は「ひとまず6日までは開業する」という声明を出したが、それ以降は不透明だ。トランプ大統領も相当数の職員が仕事を失う事態になるという見方を示し「民主党のせいだ」と批判している。

1日に始まったアメリカ政府機関の一部閉鎖、第1次トランプ政権以来、およそ7年ぶりの事態。前回は過去最長となる35日間にわたり、政府の一部機能が停止した。その背景にあったのがトランプ大統領が強くこだわったメキシコ国境の壁の建設費を巡る与野党の対立だった。この影響で80万人を超える政府職員の給料が未払いになり、アメリカ議会予算局は、およそ30億ドルの経済損失が出たと発表した。職員の生活にも影響がおよび給料が未払いの職員向けに食料の配布が行われ、多くの職員が受け取りに殺到した。一部閉鎖の影響が広がったことを受け当時のトランプ政権はメキシコ国境の壁の建設費を巡り民主党に譲歩。費用をつなぎ予算案に含めない形で政府の閉鎖は解除された。その後、職員への給与は支給されGDPへの影響は0.02%と大きくはなかったが今回の閉鎖が長引けば、経済への打撃は避けられないのではないかと懸念が広がっている。

1日から始まった政府閉鎖ではこちらの教育省をはじめ国防総省や商務省など政府全体でおよそ75万人の職員が一時帰休となる見通しだ。また今回トランプ政権は一時帰休にとどまらず職員を大規模に解雇する可能性も示唆しており、雇用への影響も懸念されている。政府が再び完全な機能を取り戻す見通しは立っているのだろうかその見通しは全く立っていない。与野党間の予算を巡る協議は引き続き難航している。与党共和党は議事妨害を受けずに法案を可決するには60議席が必要なのだが議席数は53で野党民主党の賛同を得る必要がある。ただ民主党は年末に期限を迎える医療保険の補助の延長などを盛り込むよう要求しており、超党派での合意には至っておらず、国民に対し一時的に悪影響が出ることはもう避けられない情勢だ。閉鎖期間中は政府の経済指標の発表が取りやめとなり3日に予定されていた雇用統計の公表も中止が決まった。トランプ大統領の関税政策による影響が不透明な中で重要な経済指標が示されないことは投資をする企業や投資家にとって無視できない不安材料となっている。

解説 アメリカ政府閉鎖のリスクは FRBの金融政策に影響?

近年のアメリカ政府というのは度々、機能停止に陥っている。クリントン時代、オバマ時代と与野党の対立が徐々に厳しくなっていて前回、第1期トランプ政権のとき1か月以上政府機能が停止した。双日総合研究所・吉崎達彦は「9月29日に米軍の全世界に散らばった高官を呼び戻したがその時点で、政府閉鎖なったらどうやって帰るのか、全く考えてないと思う」と批判。トランプ政権もある種もこれが起こることはもう覚悟してあまり気にせずに、政権運営しているとみられる。吉崎は「政府閉鎖ってのは普通は共和党が仕掛けるが、今回珍しく民主党側が仕掛けてる。シューマー院内総務が今までちょっと弱腰すぎたっていうか下から突き上げを食らってるんでなかなか妥協しにくい。ただ民主党が言っている問題は、このオバマケアの補助が打ち切りになると言ってるけどその打ち切りになるのって年末だから、今言っても、あんまり切迫感なくて、まさか年末まで政府閉鎖を引っ張ることはないでしょうからさすがに、つらいんじゃないかと私は思う」とコメント。そして今回も金曜夜の雇用統計が出ないということになる。吉崎は「民間の統計だけでやっていかなきゃいかん、すると10月のFOMCはどうなるのか、金融政策にも不透明感が出てくると思う」と指摘した。

物価高や人件費増に懸念も 日銀短観 関税合意で和らぐ警戒感

日米関税交渉の合意を受けて企業の警戒感が和らいでいる。今日、日銀が発表した9月の短観の大企業製造業の景況感を示す業況判断指数はプラス14となり、2四半期連続で改善した。一方でサービス業を中心に長引く物価高や人件費の上昇への懸念が表面化している。群馬県太田市に工場を構えるSUBARU。街を走る自動車にはスバル車も目立ち一帯はスバル町と名付けられている。そのスバル車に使われる部品を製造する創業60年を超える自動車部品メーカー「長谷川有機」。主力は自動車のドアなどに使われるプラスチック部品の製造でホンダや日産向けにも部品を作っている。ここも日米の関税交渉合意によって先行きが見通せたことで一時的に見送っていた設備投資を決めた。こうした状況は、日銀が今日発表した短観の結果にも表れている。自動車産業の業況判断指数は大企業では2ポイント改善し、プラス10となった。ただ、先行きには不安も残っている。短観でも、製造業の3ヶ月後の先行きは2ポイントの悪化を見込んでいる。

物価高や賃金の上昇に悩む企業が目立つのがサービス業。栃木県宇都宮市の駅構内にある飲食店「宇味家 JR宇都宮駅構内店」。鉄板で焼かれていたのは宇都宮名物のギョーザ。連日多くの観光客などで賑わっているが今、店の運営で課題となっているのが。。最低賃金の引き上げだ。今日から順次、都道府県ごとに引き上げられるが全国で最も早い改定となった栃木県では時給が64円上昇し1068円に。県内で2店舗を運営するこの会社でも最低賃金の引き上げによって年間150万円の人件費の増加を見込んでいる。ギョーザの材料であるキャベツやコメといった原材料の価格高騰に加え高止まりする光熱費も経営のおもしになっている。日銀の短観では大企業非製造業の業況判断指数は横ばい。特に宿泊飲食サービス業は全ての企業規模で前回の調査から悪化した。店舗ではギョーザの価格は据え置きながら現在234円のライスの値上げを検討している他セルフレジなどを導入して業務を効率化していきたい考えだ。短観では製造業だけではなく非製造業でも3か月後の先行きについては悪化を見込んでいて日本経済を不透明感は払拭されていない模様だ。

解説 景況感 2期連続改善 日銀 10月の利上げは?

日銀短観の内容について双日総合研究所・吉崎達彦は「ひと言で言えば無難な内容だったと思う。大企業、それから自動車も前期比で僅かにプラスになってる。それから非製造業全体がプラスの34と高水準を維持していると10月の利上げに向けて一つ大きなハードルを越えたかなと思う」とコメントした。

10月からどう変化?医療や育児…変わる暮らし

今日から10月となり暮らしに関わる、さまざまな制度や価格が変わる。今月、値上げを予定している食品は3024品目に上る。さらに3ヶ月間続いてきた政府による電気ガス料金への補助金も終了し、光熱費も上昇が見込まれる。一方で、先ほどのニュースでもあったように最低賃金は今月から順次引き上げられることになり全国平均は1121円と、昨年度と比べて66円高くなる。また、医療や育児など、さまざまな分野で仕組みの変更も行われる。東京・北区にあるクリニックで医師が説明していたのは医療費の窓口負担額について。3年前、政府は75歳以上が対象となる後期高齢者医療制度の医療費負担の仕組みを変更。原則は1割負担のところ年金などの所得が単身世帯で200万円以上。複数世帯では320万円以上ある人について2割負担に引き上げた。一方で、急激な負担の増加を避けるため月3000円を上回る増加分については支払いを免除する配慮措置を適用していた。この措置が今日から撤廃された。今回、窓口負担が増える患者は推計およそ310万人。政府は今回の変更による窓口負担の増加額を年間で平均9000円程度と試算している。ただ、高齢者の中には大きな負担増となるケースも見込まれると現場の医師は指摘する。福岡厚労大臣は今回の変更について全世代で公平な社会保障を構築するために必要な対応だと訴えている。

第一生命ホールディングスでは今日から育休など休職する人の業務を引き継ぐ社員に手当を支給する制度をスタート。番組が取材した赤塚さんの場合、合わせて40万円を仕事を代替するメンバーの人数で分け合うことになる。この他、育休から早期に復帰した女性社員の支援策も拡充した。こうした制度を始めたのは今日から全面施行された改正育児介護休業法がきっかけ。企業は今月から、3歳から小学校入学前の子供がいる従業員に対し柔軟な働き方ができるよう対応をとることが義務づけられた。具体的には、就業時間の変更や月10日以上のテレワークを認めるなど、5つの中から2つ以上の対応をとることが求められるという。

WBS Quick
111郵便局に行政処分 軽貨物の使用停止

日本郵便が配達員の点呼を適切に実施していなかった問題で国土交通省は111の郵便局に対し188台の軽貨物自動車を使用停止とする行政処分を通知した。8日から最長で160日間使えなくなる。今後も順次処分される見通しでおよそ2000局に及ぶ可能性がある。日本郵便は、郵便やゆうパックのサービスは他社への委託や近隣郵便局からの応援などでめどがついていて、年末年始の繁忙期も支障はないと説明している。

アサヒ 新商品発売延期 障害復旧のめど立たず

アサヒグループホールディングスはおととい発生したサイバー攻撃によるシステム障害の影響で今月予定していた新商品の発売を延期すると発表した。対象の商品は炭酸飲料の「ウィルキンソン ドライジンジャエールレモン」や、タブレット菓子の「ミンティア ブリーズシャインマスカット」など合わせて12商品。サイバー攻撃の発生から2日たった現在も復旧のめどは立っておらず受注や出荷ができない状況が続いていて、多くの工場で生産が停止しているという。

NHK 新サービスで不具合 「ONE」登録手続きで

NHKは今日から開始した新たなインターネット配信サービス「NHK ONE」の一部手続きで不具合が発生したと発表した。アカウントの新規登録や旧サービスからの移行手続きの際に必要な認証コードがGmailなど一部のメールアドレスに届かなかったという。NHKは「短時間にアクセスが集中したことで認証コード入りのメールが大量に発信され、Gmail側でスパムメールと判定された可能性がある」と説明している。

アマゾン 生成AI対応の家電発表

アマゾンドットコムは最新のAIに対応した新たな家電を発表した。AIの機能を活用することで、人と会話をするように家電の操作できるという。スマートスピーカーのエコーシリーズはアメリカで先行導入されている最新のAIサービス「アレクサプラス」に対応し利用者の習慣を覚えて、自ら家電の操作を提案する。一方、防犯カメラやインターホンを組み合わせた「リング」は映った人物をAIが判別し、不審者の訪問などを通知する。

(ニュース)
三菱UFJ 統合20周年 さらなる成長のタネは?

今日、三菱UFJフィナンシャルグループの20周年を記念するロゴが発表された。2005年に日本最大の総合金融グループとして発足し世界で15万人が働く企業に成長した。2026年3月期には純利益2兆円を達成する見込みだが、更なる成長のタネはどこにあるのだろうか。20年前のきょう、三菱東京フィナンシャルグループとUFJホールディングスが経営統合。総資産190兆を超える総合金融グループとして発足した。バブル崩壊後の金融不安をきっかけに都市銀行と呼ばれた大手行は3つのメガバンクへと集約された。日本では超低金利が続き金利で収益を上げる銀行業にとっては厳しい環境に置かれた。2008年にはアメリカのリーマンブラザーズが経営破綻、世界的に金融不安が高まる中、MUFGは当時アメリカの証券会社で2位だったモルガン・スタンレーに出資しアメリカでの投資銀行事業を飛躍的に拡大させた。また、東南アジアの新興市場にも積極的に展開し現地のフィンテック企業への出資も続けている。

MUFGの純利益は発足当時から倍以上となり2026年3月期には初めて2兆円の大台に乗ると見込んでいる。さらに国内でも個人向けに特化したサービスを提供する店舗「エムットスクエア」を出店。土日祝日も営業し、日銀がマイナス金利政策を解除したことで金利のある世界が復活する中で、企業に貸し出す原資として預金の重要性が高まってきたため20年ぶりに新規出店した。岡三証券の田村晋一氏は「強弱をつけて国内で収益を上げていこうという動きを強めている。東南アジアだけでなくインドにも進出し、新たな成長の舞台を広げていくことは可能だと思う」とコメントした。

解説 三菱UFJ統合から20年 課題は国際的な存在感

三菱UFJフィナンシャルグループが20周年を迎えた。双日総合研究所・吉崎達彦は「2005年という年は、その年の3月にペイオフが解禁されて、やっとこれで金融不安終わったかと思ったら金融庁の検査でUFJ銀行の不良債権というのが見つかり10月に合併が決まる事実上の救済合併だった。翌年3月になると今度は日銀が量的緩和政策をやめると。この銀行の誕生がまさに日本がこの金融不安から脱出する最後の山場だった」と振り返った。UFJ銀行の前身の三和銀行は「3つの地銀が集まってできたちょっと庶民的な銀行」で三菱銀行は逆に伝統があって、ちょっとお堅い社風だったので、うまく文化としてかみ合ってたんじゃないかと評価した。一方でプライマリーディーラーの返上とか、お上に物申す、そういうちょっと気骨があるところもある。一方、国際的な存在感という意味ではまだ今ひとつなところがあると指摘した。

WBS X NEXTテック
「第2の地球」が台風・豪雨を予測

海や地球に関する研究を行う海洋研究開発機構。施設内にあったのは直径およそ3mの大きな地球儀。地球と日夜向き合っているのが主任研究員の土井威志さん。これまで、東京大学やプリンストン大学で研究を行いその取り組みは海外でも高く評価されている今、注目の研究者だ。彼が研究している「第二の地球」とは何なのか。見せてもらった画面に映っていたのは、色鮮やかな地球。土井さんが気象予測のために使っている「デジタルツイン」と呼ばれる技術だ。現実世界の物やシステムをデジタル空間に再現するもので、ここで第二の地球を作って、未来の気象を予測している。自然災害が激しさを増す中、鍵を握るのは、台風や激しい雨につながる熱帯低気圧の予測だ。今は数ヶ月前から発生を予測すべく精度を高めている途中だという。

未来の予測を可能にするのが「地球シミュレータ」とよばれるスーパーコンピュータ。1秒間に1京9500兆回の計算が可能だ。地球にまつわる44年分の膨大なデータがあり、それを活用することで、あらゆる状況をシミュレーション未来を予測するという。現在も気象に関わる、さまざまなデータを収集していて大きく関係する海水温などを計測。およそ4000台が世界中の海に投入されている。こうした機械などを使い、およそ100万か所のデータを集めている。土井さんが技術の実用化に向けて民間の気象会社などとも共同研究を実施。世界各地で起こる豪雨や洪水といった自然災害と向き合っている。

WBS Quick
空飛ぶクルマ一般公開 きょうから万博会場で

ANAホールディングスとアメリカのジョビー・アビエーションは大阪関西万博の会場で空飛ぶクルマのデモ飛行を今日から一般公開した。機体は5人乗りで高度およそ120m、時速180キロのスピードで飛行した。ANAは2027年度以降にエアタクシーサービスの実現を目指している。

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