2025年11月12日放送 22:00 - 22:58 テレビ東京

ワールドビジネスサテライト

出演者
豊島晋作 竹崎由佳 田中道昭 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

(ニュース)
順次注文再開 アスクル本社を単独取材

サイバー攻撃の影響でほぼ全面的にサービスを停止していた通販大手のアスクルが今日からWebサイトを通じた注文の受付を一部再開した。東京・江東区にあるアスクル本社にサイバー攻撃によるシステム障害が発生して以降、初めてテレビカメラが入った。顧客対応などを行う部署の山口浩二統括部長は「初速としては非常に多くのお客さまから注文いただいている」と説明した。アスクルは今日およそ3週間ぶりに中堅・大企業向けに展開している「ソロエルアリーナ」でWebサイトからの注文受付を再開。受付開始から2時間余り経過した午前10時過ぎの時点で注文は7500件を超えた。先月、サイバー攻撃を受けてシステム障害が発生したアスクル顧客の氏名やメールアドレスなどの個人情報が流出したほか商品の出荷作業も全面的に停止した。その後、先月末には一部顧客を対象にFAXでの注文受付を再開今日からはトイレットペーパーといった日用品や医療機器などおよそ200万品目の注文の受付を再開した。ただ、取り扱い商品は通常時の7分の1程度。また、配達には数日かかる見通しで、個人向けのLOHACOの再開時期については未定としている。

アスクルを利用する企業側は注文再開をどう受け止めているのだろうか。今日からクリスマスセールが始まったトイザらスではおもちゃを配送する際に使用する緩衝材やトイザらスのロゴが入った買い物袋。宝箱をデザインしたオリジナルのダンボールなども購入していた。システム障害で注文ができなくなってからは紙不足となり、近くの量販店などで購入してきた。今日、受付を再開したアスクルのWebサイトにアクセスしてみると不足していたコピー用紙を無事注文できた。しかしほとんどの商品に「現在ご注文いただけません」の文字があった、宝箱をデザインしたダンボールも注文ができない状態だった。一方、注文再開の対象外となった現場はどのような状況なのか。備品の8割をアスクルに頼っていたという東京・北区の「いとう王子神谷内科外科クリニック」。ハサミやピンセットなどの医療器具もアスクルで購入。さらに、今の時期に使用頻度が高まるのがインフルエンザの検査に使う綿棒など。このクリニックは足りなくなった備品はAmazonなど別の通販サイトで購入している。しかし、アスクルよりも価格が割高なケースが多い。サービスが停止してからの3週間で加算な費用は5万から10万程度。これ以上復旧が遅れると経営にも影響が出かねないという。

9月にサイバー攻撃を受けたアサヒグループホールディングス。その影響も未だ続いている。今日からお歳暮売り場を開設したそごう横浜店。今年は若者などをお歳暮になじみのない層を開拓しようとクリスマス商品などを含めた2000点を超える商品を取りそろえた。そんな中、サイバー攻撃の影響で、アサヒビールは今年例年50種類近くあるお歳暮用の商品を3種類のみに減らした。アサヒ以外の各社も通常商品の安定供給のためお歳暮用の一部商品の販売を中止した。そごう横浜店では去年60種類扱っていたビールが今年は11種類に減少した。百貨店側は売り上げへの影響は読めないとしつつも各社の主力商品はそろっているため積極的に客にアピールしたいとしている。

サイバー攻撃を受けた日本の企業2社の対応についてまとめた。アスクルは今日から一部、オンラインでの注文受付を再開し通常時の7分の1程度の商品を購入できる状況。法人向けの本格復旧の時期は12月上旬以降を予定している。一方アサヒGHDは現在はビールについては手作業で受注作業を行い順次出荷をしているという状況でmスーパードライなど、およそ50品目の出荷が再開されている。ただ、先月から今月にかけて発売予定だった新商品は発売延期としていてシステム復旧のめども、まだ立っていないという。このように、サイバー攻撃の影響が長期化しているが、アスクルでは引き続きシステムのログを解析するなどして原因や障害の対象範囲などの詳細調査を継続しているという。

成長戦略の重要分野 技術革新を支える素材力

高市政権が掲げる「強い経済を実現するための戦略分野17項目」の1つとなっており、日本の技術革新の源泉ともいえる素材力を取材した。きょうから幕張メッセで始まった最先端の素材技術が集まる展示会「高機能素材Week」。人だかりができていたのは「曲がるガラス」と書かれたブース。そこでは、薄いガラスが折り曲げられている。日本電気硝子が手がける「化学強化専用超薄板ガラス」は20万回折り曲げても折り曲げた跡が残りづらいといい、中国のスマートフォン大手シャオミの折りたたみスマホなどにも採用されている。さらに独自の技術で薄く滑らかにしたことでロール状にもできる「超薄板ガラス」は軽くて折り曲げが可能な次世代太陽電池、ペロブスカイト太陽電池に応用ができる。一方、総合化学メーカー大手のUBEが今力を入れているのはバイオガスを作る際に生じる二酸化炭素を分離する装置。バイオガスから二酸化炭素を分離するのは、電子回路などの絶縁体として使われているポリイミドと呼ばれる素材。UBEは40年以上にわたり一貫生産しているがヨーロッパや北米を中心に、バイオガスの普及が進んでいることからエネルギー分野でも需要が急速に高まっている。

「高機能素材Week」会場には、京都大学や企業などが共同で製作したコンセプトカーも展示されている。ボンネットや内装に使われているのは木材や植物を原料とした、セルロースナノファイバーと呼ばれる新素材を使用している。特徴は鋼鉄の5倍の強度を持ちながら、重量は5分の1という軽さ。新素材セルロースナノファイバーを製造している大王製紙は自動車メーカーに向けて提案している。自動車メーカーにとっては燃費性能の向上に繋がるとともに植物が原料ということも環境負荷が少ない素材としてアピールできる。自動車メーカーなどからの需要を見越し今年7月には国内では最大というセルロースナノファイバー樹脂の量産プラントを立ち上げた。研究や実証から実用化へと着実に歩みを進めている。またアイカ工業が開発した高機能フィルムは車の車体などへの塗装の代わりになる素材だ。担当者は塗装ではなくフィルムにするメリットについて「塗装の乾燥作業が不要になり、CO2が削減できる」と説明している。車の製造段階で発生する二酸化炭素のおよそ3割が塗装や塗った塗料を乾かす工程だと言われている。この製品を使えばフィルムをセットし、真空状態の中で下から部品を押し付けることで貼り付けが完了。全て自動で行うことができ複雑な形にも対応できる。この会社では、世界が直面する課題にもこの技術は貢献できると期待をのぞかせる。

政権初の諮問会議 財政でも「高市カラー」

今週開催された成長戦略会議と両輪となるのが財政などについて議論する経済財政諮問会議が今日、高市政権で初めて開催された。この会議でも積極財政の高市カラーが見えてきた。午後6時過ぎ、総理官邸に集まったのは日銀の植田総裁に経団連の筒井会長など。今週別に開催した成長戦略会議は、閣議決定を経て設置が決められるため高市総理と考えの近い積極財政派のメンバーと財源論と切り離した成長投資について議論できるなど高市カラーを出しやすく、実際に17項目の重点投資先の具体化などを打ち出した。一方、経済財政諮問会議は経済や財政を議論する場と法律で決まっているため、成長投資の裏付けとなる財源論を議論する必要がある。さらに、金融政策や物価動向についても話し合うため、日銀総裁もメンバーに入っている。

経済財政諮問会議でも高市カラーを発揮した部分が民間議員の人選。経団連会長に加え、新任のディー・エヌ・エーの南波智子会長、早稲田大学の若田部昌澄教授も新たに選んだ。黒田前総裁を支えた日銀の前の副総裁で拡張的な金融財政政策を訴えるリフレ派の若田部氏。彼が会議で提出した資料には「P.B.黒字化目標はデフジレ時代の歴史的産物で歴史的使命を終えた」と明記されている。P.B.とは、国債の利払いなどを除いた国と地方の歳入と歳出の収支いわゆるプライマリーバランスのこと。政府はこれまで、このプライマリーバランスの黒字化を財政健全化の目標としていたが物価高の時代を迎えた今、これを撤回すべきと提言した。高市総理も先週国会で、単年度での黒字化目標の見直しに言及していて方向性は一致している。さらに、同じく新任の第一生命経済研究所の永濱利廣氏も「単年度目標見直しは非常に理にかなっている」と言及した。この会議は今後、経済財政運営の指針となる来年の骨太の方針の策定に向け議論を進める方針だ。

解説 高市政権 “成長と投資”先行 歳出膨張のリスクも

過去の政権、財源の裏打ちがある政策で経済を成長させていくという考え方だったと思うですけれど高市総理は済を成長させれば、財源が生まれて財政運営もうまくいくとある種、因果関係を逆転させてきたと思われる。田中道昭は「今夜の会議でも人選に表れていたと思うが、ズバリですね政治が経済をつくるというイメージなのだろう。高市総理の方からは強い経済という言葉があったが、今回は政治が主導して強い経済を作るという意気込みが感じられるし、成長と投資を先行させてそれによって財源を生み出して財政運営を行うという、いわばこれまでの逆転の発想とも言えると思う」とコメントした。高市総理は国会でも「経済があっての財政」を強調しているが、田中は「財源の裏付けが曖昧になっているということと、歳出膨張のおそれがあるし、成長が進まずに財政赤字だけが膨らんでしまった結果として物価高、金利高、それから株価が下落する、あるいはそういったリスクを狙って市場が攻撃する。官僚が反発する恐れもあるので、こういった政策の実行が遅れる」とリスクについて説明した。今後、財務省などがおそらく反撃に出てくるような場面もあり得るが、成長と投資と財政規律のバランスをうまくとれるのか。そういう意味で麻生副総理が入ってバランスを絶妙に取っていく可能性を指摘した。

WBS Quick
補正予算でクマ駆除支援

高市総理大臣は参議院予算委員会で各地で相次ぐクマによる被害を受け今年度の補正予算案に、自治体への支援策を盛り込む考えを示した。猟友会への委託費やクマの捕獲費用など自治体が必要とする経費の支援を拡充する方針だ。一方、自民党も政府への提言を取りまとめ、自治体への財政支援やガバメントハンターと呼ばれる狩猟免許を持つ自治体職員の人件費についても支援を求めることを盛り込んだ。

鴻海7~9月最高益 AI市場は「非常に楽観的」

台湾の電機大手、鴻海精密工業は今年7~9月までの純利益が1年前と比べて17%増え576億7000万台湾ドル、日本円でおよそ2870億円になったと発表した。アメリカのNVIDIAなどから生産を請け負うAIサーバーの需要が好調だった。劉揚偉会長は決算説明会で来年のAI市場の発展について「非常に楽観的だ」との見方を示した上で「顧客との協力はさらに緊密になる」と強調した。

複数の医師による自爆テロか インドの車爆発

インドの首都ニューデリーにある世界遺産の近くで車が爆発し多数の死傷者が出た事件で警察は11日、複数の医師による自爆テロの可能性を視野に本格的な捜査を開始した。地元メディアによると、事件現場で検出されたものと同じ化学物質が捜査当局に別件で拘束された医師の自宅で大量に押収された。また、爆発した車を運転していた医師はインドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方出身で警察当局はイスラム過激派と繋がりがあると見ているという。

一票の格差 7月参院選は合憲 東京高裁

今年7月の参議院選挙を巡りいわゆる「一票の格差」が最大で3倍を超えて実施されたのは憲法に違反するとして弁護士のグループが選挙の無効を求めた裁判で、東京高裁は今日、訴えを退け、合憲とする判決を言い渡した。同様の裁判は全国の高等裁判所などで16件起きていて今日までに違憲状態が8件、合憲が5件と裁判所の判断が分かれている。

政府 庵野監督などと意見交換 日本発のコンテンツ産業強化

高市総理大臣が「コンテンツ産業への投資拡大」を表明したことを受け、政府は俳優の大沢たかおさんやアニメーション監督の庵野秀明さんなどの有識者と意見交換を行った。会議では、映画やアニメなどの制作現場の人材不足や労働環境の是正に向けた支援を求める声などがあがった。また「日本発のコンテンツの海外展開を強化する上で2000億円規模の支援が必要だ」とする意見も出され、政府は複数年度にわたる大規模な予算や税制の活用を検討する方針だ。

WBS X NEXTテック
“サイボーグAI”が未来を予測

人工知能の急速な発展で人型ロボットがスケートボードで滑るところまで進化している。情報通信分野で最先端の研究を行う京都・精華町の「国際電気通信基礎技術研究所」。ここで実験していたのはスケートボードを滑らかに滑る人型ロボット。その大きさは身長152センチ体重40キロ。人と同じように、ロボットも重心を移動させ、バランスを取りながら滑ることができる。障害物を置いてみても軽々と乗り越えていく。このロボットの頭脳に当たるAIを開発した石井信所長によると、スケートボードは温度によって車輪のゴムの硬さや走行する路面の状況が常に変化する。さらに、秒速2mと素早く動くため瞬時に状況を判断しなければならない。この瞬時に判断して動くことは従来のロボットにとって難しい問題だという。石井所長らはまず、スケートボードを滑る人の動きを真似し次に、その人の動きをデータで再現。そして鍵となっているのが「未来予測」というキーワード。AIが予測したロボットの動き。現在の姿勢や位置をもとに500通りのルートを考え、その中から最適なルートとAIが判断した青色の線を走行する。このAI予測を100分の1秒ごとに繰り返し常に最適な軌道を選ぶため安定した走りが可能になっている。実際の走りと比較してみると、AIが予測した軌道がまとまっているときは安定して走っていることがわかる。人間の動きを学習して真似する独自の人工知能であるサイボーグAI。石井所長はサイボーグAIを活用して、人とロボットの共生を目指している。例えば、測定した脳波で他にどのようなタイミングでどういう介護をして欲しいのかを解析する。サイボーグAIと組み合わせられれば介護ロボットの開発にいかせるとみている。

解説 AI進化“考えて動く” 介護や災害救助に活用も

サイボーグAIについてスタジオで解説。田中道昭は「技術のポイントとしては、AIが考えて動くロボットにということだと思うが、やっぱり社会実装の可能性としては介護、工事現場災害救助、やはり動きながら判断する仕事に応用したい。介護の現場では人の気持ちが理解できたら、さらに素晴らしい展開できる。来年ぐらいから社会実装計画している会社が非常に増えてきている。」とコメント。「フィジカルAI」っていう言葉がおそらく来年の最大のメガトレンドになってくるんじゃないかと指摘した。一方で、このロボットというと中国のEVメーカー、シャオペンが今月「次世代ヒューマノイド」を発表して話題になった。まだ何ができるかは明らかになってないものの、田中は「このヒューマノイドロボットも社会実装を来年中に行うと発表しているので非常に脅威だし、何よりもNVIDIAが今年の年初のCES2025でコスモスというロボット用の無償の基盤を公開している」と指摘した。

WBS Quick
三菱UFJ×オープンAI AIコンシェルジュで需要拡大

三菱UFJフィナンシャルグループは今日、アメリカのオープンAIと戦略的な協力に向けた契約を結んだと発表した。チャットGPTと銀行のアプリを連携させ、家計や資産についての相談をチャットGPT上でできるようにして需要の拡大を目指す。また、来年度に開業予定のデジタルバンク内にAIコンシェルジュを実装することも目指す。さらに三菱UFJ銀行の全行員がチャットGPTの日常業務で利用できるようにし、社内文書の作成や分析業務などの効率化を目指す。。

知床沈没 社長側無罪を主張 検察側「沈没する恐れを予見」

北海道知床半島沖で観光船が沈没し乗客と乗員合わせて26人が死亡、行方不明となった事故の初公判が開かれ、業務上過失致死の罪に問われている運航会社社長の被告は謝罪する一方「沈没は予見できなかった」として無罪を主張した。これに対し検察側は「強風波浪注意報が発表され船が沈没するおそれを予見できた」と主張している。

尾上松也氏など4人表彰 スーツ・オブ・ザ・イヤー2025

ビジネスやスポーツ、アートなどの分野で大きな功績を残した人を称えるスーツオブザイヤー2025の授賞式が都内で開かれ、歌舞伎役者の尾上松也さんや競泳の池江璃花子さんなどが表彰された。アート&カルチャー部門を受賞した尾上さんは「黒いスーツ姿で登場しスーツの似合う男になっていかなければいけない。身の引き締まる思いだ」などと述べた。

1 - 2

© 2009-2025 WireAction, Inc. All Rights Reserved.