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オープニング映像。
本日の世界遺産はオーストリアの「ヴァッハウ渓谷の文化的景観」。
世界遺産「ヴァッハウ渓谷の文化的景観」を流れるドナウ川はドイツから黒海まで全長2850kmの長さがある。ヴァッハウ渓谷の文化的景観はその中間あたりの約36kmほどが該当する。ドナウ川は今も昔も西ヨーロッパに物資を運ぶ重要な輸送ルートとなっている。ヴァッハウ渓谷には12世紀に創建された「シェーンビューエル城」や11世紀に創建された「メルク修道院」が存在する。ヴァッハウ渓谷の文化的景観の川岸では3月下旬になると「杏(アプリコット)」の花が咲き始め春の訪れを伝える。7月下旬になると杏の木々は緑に色づき収穫のシーズンが訪れる。
ヴァッハウ渓谷はドナウ川の中間に位置しヨーロッパ交易の要所となっていた。一方軍事的にも重要な役割がありその痕跡が川岸に残されている。あるのは古代ローマ帝国の城壁があり川の向こう側には敵対するゲルマン人が住んでいた。城壁のそばでは現在も発掘が進められて中には杏と並ぶ名産品となるワインに関係するものとして古代ローマ時代のワイン容器が見つかっている。
ヴァッハウ渓谷を見下ろす高さ320m地点に12世紀頃に創建されたのが「アッグシュタイン城」。この時代、ヴァッハウ渓谷は争いが絶えない地でもあり見晴らしの良い場所に建てることで有事に備えていた。城を築いたのは渓谷を納めていた貴族クエンリング家。他にも丘の上にも城が9つあり有事の際には狼煙を上げ連絡を取り合っていたとされる。デュルンシュタインの街にはクエンリング家の痕跡としてデュルンシュタイン城がある。山の上に建てられている城で斜面には城壁が存在する。城からは街を見渡せるようになっている。城からは船を監視していて通行税を徴収していたとされる。
水の門と呼ばれる場所を抜けると街に出る。この小さな街にはドナウ川を通じて木材などが運ばれた。また青い教会川から見てもよく分かるようにとこの色にされ船や商売の守護聖人ニコラウスの像が建てられている。中世時代に栄華を極めたヴァッハウ渓谷であるがその前から人が住んでいることが分かっている。
ヴァッハウ渓谷にある村ヴィレンドルフでは世界史の教科書にも載る「ヴィレンドルフのヴィーナス像」が発掘された。現在はウィーン自然史博物館で展示されている。像には子沢山への祈りが込められていると考えられている。また最近の研究で判明したこととして像に使われている石はヴァッハウ渓谷にないものでイタリア北部、黒海沿岸地域の2つの候補がある。ヴァッハウ渓谷の文化的景観は先史時代から続く文化の交流があったとし世界遺産に登録されている。
焼け落ちたノートルダム大聖堂の修復事業に携わる8つのステンドグラス工房の一つを訪ねている杏さん。洗浄を終えたある1枚のステンドグラスを見せてくれた。汚れているように見えるがあえて古めかしく見えるようにされているという。実はノートルダム大聖堂のステンドグラスは何度も張替えられておりフランス革命ではステンドグラスなどが多く破壊され、19世紀に作り直された。杏さんが中世から続くステンドグラスづくりを体験した。
世界遺産の次回予告。
ベスコングルメの番組宣伝。