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きょうの世界遺産はヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々。地震による大きな被害から蘇った町並みが世界遺産になった。
ヴァル・ディ・ノートとはシチリア島南東部に広がる地域の名前。古くから農業や牧畜が営まれてきた田園地帯。17世紀の大地震で被災し、再建された8つの町は当時流行のバロック様式で造られた。ラグーザの町は外周4キロほどの岬のような土地に古代から町が築かれてきた。現在、この断崖の町には約1500人が暮らしている。旧サン・ジョルジョ教会の一部は地震の被害を免れ今も残っている。1693年1月11日、シチリア島を襲った大地震では5万人を超える島民が命を落としたと言われている。世界遺産エトナ山の活発な火山活動が地震を引き起こし、数百年ごとに激しい揺れが島を襲ってきた。17世紀の震災で生き残ったのはラグーザの人口の半数約5000人。大地震で壊れたサン・ジョルジョ教会は場所を変え町の中心に再び建てられた。サン・ジョルジョ教会はバロック建築の傑作として知られている。再建には住民や貴族が資金を出し合い、この教会を作り上げた。大地震が町を襲った1月11日には毎年祈りの儀式が行われている。
教会の再建に多くの資金を出した貴族の館が残っている。バロック様式の建物は時代に合わせて改装が重ねられてきた。歴史的価値が高いことから、一部を博物館として公開している。秘密の階段の先にあるのは劇場。サン・ジョルジョ教会は横から見ると薄くて書割りのようだ。
ラグーザは300年ほど前の大地震から復興し、シチリア独自のバロック様式の町並みが築かれた。壮麗で迫力ある造形のバロック様式は支配者や教会の威光を誇示するために発展した。一方、シチリア島では独自のバロック様式が生まれた。震災後のラグーザでは権力者の特権的な空間よりも住人のための都市空間にバロック様式が多く使われている。特徴の一つが、起伏に富んだ地形を利用し町全体をドラマティックな構造にしたこと。教会は階段を利用して建物を高く見せている。教会だけでなく町のあちらこちらにバロックを取り入れている。震災後の資金不足の中でも、町行く人のの目に触れる家の角を派手に飾った。
ラグーザは300年ほど前の大地震からの復興によってバロック様式のドラマティックな町並みが築かれた。建物にはユーモラスな彫刻がある。一種の魔除けで、グロテスクな怪物が地震などの災いを遠ざけると信じられてきた。再建当時、石工たちが自由な発想で顔を作ったためバラエティ豊かなデザインとなった。
ラグーザの元市長は代々600年以上この地に暮らし続けている。震災の中、燃えずに残されていた本を見せてもらった。大地震の苦難を乗り越えて築かれたバロックの町並みが評価された稀有な世界遺産だ。
「世界遺産」の次回予告。
「ベスコングルメ」の番組宣伝。
