2025年10月4日放送 4:15 - 5:00 NHK総合

国際報道
2025 チェコ議会選挙 ウクライナ支援に影響か?

出演者
辻浩平 藤重博貴 酒井美帆 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像が流れ、酒井ら出演者が挨拶をした。

ニュースラインナップ

「ガザ“停戦提案”“近く立場表明”」などニュースラインナップを伝えた。

(ニュース)
イギリス マンチェスター ユダヤ教拝礼所 シナゴーグで凶行

ユダヤ教徒にとって最も重要なしょく罪の日“ヨム・キプール”にあたる2日、イギリス・マンチェスターにあるユダヤ教拝礼所シナゴーグの外で集まっていた人たちに車が突っ込み、車を運転していた男が現場にいた人を刃物で切りつける事件が起き、2人が死亡した。イギリスのBBCが事件の様子を伝える映像を紹介。男性2人が死亡、3人が重傷で入院中としている。警察は事件を「テロと認定した」と発表。男女3人をテロ行為の準備などの疑いで逮捕したと発表している。スターマー首相は「(ユダヤ人への)憎悪を英国は再び確実に根絶させなければならない」などと述べた。イスラエル・ネタニヤフ首相は「イスラエルはイギリスのユダヤ人コミュニティーとともに悲しみに暮れている」などとSNSに投稿した。

ユダヤ教拝礼所で凶行 “テロと認定”

ロンドン支局の山田支局長はイギリス社会の反応について「衝撃が広がっている。イギリス国内では事件を強く非難する声が上がっている。2日夕方にはロンドンでパレスチナに連帯を示すデモが行われた。イスラエルへの対応を巡ってイギリス社会に分断が広がっているようにも感じる」、「イスラエルとハマスとの戦闘が始まって以降、イギリス国内の反ユダヤ主義とされる事件の件数は高い水準となっている」などとコメントした。反ユダヤ主義と判断された事件は2024年に3,528件と過去2番目に多くなった。

米政府機関の一部閉鎖 “責任は民主党に”“政府職員 解雇の方針”

アメリカで続く政府機関の一部閉鎖。トランプ大統領は「責任は野党民主党にある」と主張している。ホワイトハウスのウェブサイト、労務症のウェブサイトを紹介した。アメリカ中小企業局に電話をかけると自動音声で「議会上院の民主党が予算案に反対し続けているため中小企業局が閉鎖しサービスを提供できなくなっている」と流れた。閉鎖が続く背景について専門家のシラキュース大学・グラント教授はは与野党対立の深刻化があると指摘した。トランプ大統領は2日、予算案が成立していないことを理由に政府機関の削減を検討する考えを示した。政府局員解雇の方針も示していて、ホワイトハウス・レビット報道官は「数千人規模になる可能性がある」と述べた。

米政府機関 一部閉鎖の影響 重要指標「雇用統計」公表されず

政府機関の一部閉鎖が続いている影響でアメリカの重要指標「雇用統計」の公表が予定していた日本時間午後9時半を過ぎても行われていない。雇用統計はFRBの金融政策を左右するとも指摘され、政府機関の閉鎖が金融政策の判断にも影響を及ぼしかねない状況となっている。

ハマス幹部“近くわれわれの立場を表明する”

トランプ大統領がガザ地区を巡って提示した停戦や人質解放を含む20項目の計画。イスラエルのネタニヤフ首相が支持を表明し、イスラム組織ハマスの出方に注目が集まっている。日本時間の今朝、中東アルジャジーラで放送されたハマス幹部のインタビューで、ハマス幹部は「近くアメリカの計画への立場を表明するだろう」などと述べた。トランプ大統領は回答を待つ期間について「3日か4日ほどだ」と述べていた。ハマス幹部は“戦闘と虐殺を止めるという観点から計画を検討している”としている。20項目の計画では撤退は時間をかけ段階的に行われるとされていて、ハマスがどのような回答を示すかが焦点。

SPOT LIGHT INTERNATIONAL
ガザ攻撃2年イスラエル市民の本音に迫る

パレスチナ・ガザ地区への攻撃をイスラエル市民がどう受け止めているのかについて伝える。視聴者から「イスラエル市民の肉声を聞きたい」などの声が届いている。イスラエル市民への世論調査(THE ISRAEL DEMOCRACY INSTITUTE 7月調べ)では68.7%が「イスラエル軍はガザの住民に不必要な苦痛を与えないよう努力している」と軍を評価した。また、「ガザの住民の飢餓や苦痛についてどの程度悩んでいるか」について、「あまり悩んでいない」が20.7%、「全く問題ない」が46.5%と最多になっている。イスラエル人映画監督のデビッド・ヴァクスマンさんとパレスチナ人プロデューサーのモハマド・バハイさんはイスラエル市民の心理に迫ろうとしている。2人はこれまで双方の視点から対立にカメラを向け映画を制作してきた。今回はイスラエル市民の内面に迫ろうとイスラエル市民のリアルな日常会話に焦点を当てNHKと共同でドキュメンタリー番組を制作した。スデロット市に暮らすヤリンさんは子どもを連れてパレスチナ・ガザ地区が見える丘に来ていた。ヤリンさんは子どもに「私たちの軍隊は建物に潜むテロリストと戦っている」などと説明した。高校教師のシーマさんはこの2年、学校現場の変化を感じてきた。シーマさんは同僚の教師を自宅に招き、「生徒たちの考え方が右派寄りになったと思う」などと述べた。同僚との会話からせきららな本音が徐々に浮かび上がった。ガザで従軍経験があるユバルさんはリベラルな家庭で育ち、かつてはアラブ人との共生を信じていたが、おととしハマスとの戦闘で友人が重傷を負ってからその考えが完全に消え去ったという。兵役を経験した友人たちと夕食を共にし、ユバルさんは「思いやりをもって彼らを人間として見ていた。しかし結局我々はひどい平手打ちを食らったようなものだ」などと述べた。従軍する中で戦闘に疑問を感じ始めたという男性もいた。しかし会話はガザへの攻撃を正当化する方向へと向かっていった。

WOW!The World
高級ブランド店で盗難事件

フランス・パリの高級ブランド店で盗難事件があった。午前4時ごろ、何者かが車で突っ込みシャッターとガラス扉を破壊して侵入、商品のほとんどを持ち去った。警察によると犯人は少なくとも2人で、1kmほど離れた地下駐車場で別の車に乗り換えて逃走した。パリではこの2年ほど、高級店を狙った盗難が相次いでいて、被害額は100ユーロを超えることもあるという。(フランス・F2)

宇宙で活動か クモ形ロボット

シドニーで開催された国際宇宙会議に登場したクモ型ロボットは、建設現場で建材を作る大型の3Dプリンター。開発関係者は「必要な場所に必要なタイミングで建設資材を作る」などとコメントした。オーストラリアの会社が開発したこのロボットはまだ研究開発段階だが、月での活躍も視野に入れているという。(オーストラリア・ABC)

国際たこ揚げ大会

フランス北部の港町で開催された国際たこ揚げ大会。世界中から集まった400人余が想像力をかき立てる様々な凧を揚げた。全長25mのドラゴンやジャワ島から来た竹でできた龍の凧などがあった。2年に1度のこの大会には毎回多くの観客が訪れる。(フランス・F2)

(ニュース)
チェコはどこへ

チェコで議会選挙が行われている。焦点はウクライナ支援。これまで支援に積極的だったチェコが政権交代により方針を転換する可能性があり、大きく注目されている。第1党を争うのが2つの政党。まず、バビシュ前首相率いる最大野党でポピュリスト政党の「ANO」。ウクライナ支援に反対し、エネルギー価格の上限設定や減税などチェコ第一を掲げている。世論調査では約30%の支持を獲得し、首位に立っている。一方、フィアラ首相率いる与党の中道右派連合「SPOLU」は「ANO」に10ポイントの差をつけられている。ANOが政権を握った場合、チェコに避難している約38万人のウクライナ難民の生活に影響が出るおそれもある。チェコはどこに向かうのか、最新の情勢を取材した。

最大野党「ANO」のバビシュ党首は「ウクライナに武器を供与することはない」などと述べた。「チェコ第一」を掲げ、「チェコのトランプ」とも呼ばれている。自ら支持者と写真を撮るなど親密さもアピール。バビシュは、ウクライナ侵攻について“ロシア寄りとされるスロバキアやハンガリーと協力しなかったことで侵攻の状況悪化”として、フィアラ首相を批判。支持者はバビシュの姿勢を高く評価。これに対し、フィアラ首相はロシアによる侵攻開始以降、一貫してウクライナをしてきた。多くの難民受け入れのほか、砲弾を供与してきた実績を強調。地理的にロシアに近く、繰り返し脅威にさらされてきたチェコにとって“ウクライナを支えることが安全保障上、不可欠”としている。フィアラ首相は「長い間、軍事支援と民間支援の両面で最前線に立ち数十万人もの難民の統合を実現してきた」などと述べた。

野党に支持が集まる背景には物価の高騰もある。ウクライナ侵攻以降、ロシアの安価なエネルギーへの依存度を下げた結果、食料品や電気代が30%以上値上がりした。住宅価格も高騰し、先月発表された世論調査では国民の8割以上が今の住宅事情を“悪い”と回答。“他国を支援している余裕はない”という。バビシュの政党が政権を握ることを最も懸念しているのがウクライナからの難民たち。チェコは侵攻開始以降、人口あたりでは国別で最も多い約38万人を受け入れ、所得の低い人には住居や食料などを支援する追加の給付金を支払うなど手厚く保護してきた。しかし、これまで通りの支援が受けられなくなるのではないかと懸念している。ウクライナから首都プラハに避難したテティアナ・ボルコベツは7歳の娘・カテリーナと2人で暮らしている。3年前にチェコに逃れた後、政府の支援で住宅や仕事を探し、今は正社員として働いている。侵攻の長期化で故郷に帰るめどが立たない中、選挙結果がどんな影響を及ぼすのか不安を感じている。「チェコ市民とウクライナ難民の対立を意図的にあおる動きが進むことを懸念している」などと話した。

どうなる ウクライナ支援

ヘルシンキ支局長の堀征巳がプラハからの中継で解説。チェコで議会選挙にはウクライナの難民から不安の声が上がっている。政権交代の行方は選挙後の連立交渉次第になりそう。プラハ中心部の小学校に設けられた投票所では1時間ほど前から投票が始まり、次々と有権者が訪れて一票を投じている。選挙戦の終盤になっても最大野党と与党連合の支持率の差は縮まっておらず、地元の複数のメディアはウクライナ支援に反対するバビシュの政党が第1党になるとの見通しを伝えている。ただ、いずれの政党も単独で過半数を確保するのは難しい情勢で、連立政権となる公算が高いとみられている。これまで親欧米路線でウクライナを積極的に支援してきたチェコの政治に変化があるのか。先行きはまだ見通せない。

バビシュの政党を中心とする政権が発足した場合、ヨーロッパ全体にはどんな影響があるのか。連立を組む相手によってはEUやNATOと距離を取る可能性も否定できない。バビシュはNATOが掲げる軍事費の増額目標には反対する一方、EUやNATOからの離脱など過激な行動は取らないとしている。ただ、連立相手の候補には反EUや反NATOを掲げる政党もあがっていて、交渉次第では政権の方向性に影響を与える可能性もある。ロシア寄りの姿勢で知られるハンガリーのオルバン首相と距離が近いことでも知られていて、専門家はバビシュの政党が政権を担うことになればウクライナ支援に影響が出ることは避けられないと指摘。ニューヨーク大学プラハ校のイリ・ペヘ教授は「チェコは極めて強い親欧米路線から転換するとみられる」などとコメント。今後の動向次第ではヨーロッパで合意形成を進める上で新たな障壁となる可能性もあり、結果が注目される。

INTERNATIONAL NEWS REPORT
フランス タンカー船長ら拘束 ロシア「影の船団」か

フランスの検察当局はロシアへの制裁を回避してロシア産の石油を運ぶ「影の船団」と疑われるタンカーの船長ら2人を拘束したと明らかにした。“大量の石油を積載し、ロシアからインドに向かうタンカーに先月下旬、軍が立ち入り、中国籍の船長など2人拘束”と2日、明らかにした。このタンカーは過去に度々名前を変えている。マクロン大統領はロシアによるウクライナへの軍事侵攻を終わらせるために、影の船団への圧力を強めることが重要だという考えを示し、「ロシアの戦争資金の調達能力を低下させるからだ」などと述べた。

プーチン大統領 トマホーク供与検討に反発

ロシアのプーチン大統領はロシア南部で開かれた国際情勢などを議論するバルダイ会議に出席し、世界各国の有識者などとの質疑の中で、アメリカがウクライナに対し長距離攻撃が可能な巡航ミサイル「トマホーク」の供与を検討していることについて「米露関係の悪化につながる」として強く反発。

(エンディング)
皆さんの声募集中

ガザ情勢などについて視聴者の声を募集。

今後の特集予定

「皆さんの声と考える ガザ戦闘2年」など、10月6日から10日までの今後の特集予定を伝えた。

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