- 出演者
- 辻浩平 藤重博貴 酒井美帆
オープニング映像。
「ガザ地区”100人以上死亡”」など主なラインナップを伝えた。
アメリカのトランプ大統領は3日間の滞在を経て、今日次の訪問国、韓国に向かった。明日には中国の習近平国家主席との首脳会談が行われる。2期目になって初めての日本訪問を終えたトランプ大統領。出発の前にSNSに投稿した写真には高市総理大臣がトランプ大統領と腕を組み話しているような様子が映っていた。昨日の首脳会談では防衛力の強化をめぐり日本が主体的に防衛費の増額に取り組む考えを伝えていた。今日、小泉防衛大臣と会談したヘグセス国防長官は「これは重要な前進であり、できるだけ速やかに実行されると信じている」と述べた。一方、具体的な数値目標については「アメリカから要求はしていない」と答えた。
日米首脳会談で注目されていた防衛費増額の要求。ヘグセス国防長官は具体的な要求はしていないと発言した。背景にあるのはそもそも日本が防衛費を増強してきていることだ。防衛白書によると2023年度から防衛関係費が急激に伸びているのがわかる。これは厳しさを増す安全保障環境に対応するために政府が2023年度からの5年間で43兆円を投じて防衛力を抜本的に強化する計画を進めてきたから。アメリカ国務省で2011年まで日本部長を務めたケビン・メア氏は「私が米政府にいた頃は日本政府にもっとやるべきと迫っていた。今それを日本がやってアメリカは高く評価している」と述べた。防衛費増額の動きが決まったのは2022年の岸田政権のとき。ロシアのウクライナ侵攻が始まり、世界的に安全保障環境が揺らいでいた年だ。トランプ大統領は日本には具体的な防衛費の要求をしなかった一方、NATOに対しては具体的な数字を出して迫っている。NATOと日本に対しての対応の違いメア氏は「NATOは数十年間増額に消極的だったが日本はすでに応じている。米政治は日本が政策を語るだけでなく、行動に移していると理解している」と分析した。一方で「重要なのは厳しい安全保障環境のもとGDP比で何%だという数字から入るのではなく、何がどれくらい必要なのかということを日本政府が検討し続けることだ」と指摘している。日本の防衛のために必要な予算を主体的に決めるのは、アメリカではなくほかならぬ、日本自身だ。
今日、韓国に向かったトランプ大統領は到着後、キョンジュで行われたAPECの関連イベントに出席。午後にイジェミョン大統領との首脳会談に臨んだ。冒頭、トランプ大統領は朝鮮半島の平和の実現に向けて取り組む考えを示す一方、今回のアジア訪問ではキム総書記との会談は実現しないとの見通しを示した。
明日、行われる中国の習近平国家主席との首脳会談。焦点は貿易摩擦の激化を回避する合意が得られるかどうかだ。フェンタニルなどの薬物の流入を理由にアメリカが課している追加関税について有力紙、ウォールストリートジャーナルは「中国側が、原料となる化学物質の輸出を規制するなど対応を強化した場合、アメリカ側が20%の追加関税を最大で半減させる可能性がある」と報じているまた米中間では、中国がレアアース関連の輸出規制の強化を発表したのに対抗し、トランプ大統領は中国からの輸入品に100%の追加関税を課す考えを示していて、協議が行われるものとみられる。
ガザ地区でNHKの報道を担うムハンマド・シェハダさんとサラーム・アブダホンさんの2人が記録した映像から現地の今を見つめる。停戦を受けてガザ地区北部へと帰還した住民は破壊された街を前に厳しい現実を突きつけられている。
イスラエルはハマスに対して残る人質13人の遺体の返還を求めている中、首相府は28日「前日にハマスが人質とは別人の遺体を引き渡したことが合意違反にあたる」と主張。ネタニヤフ首相がガザ地区への攻撃を軍に指示したと発表した。パレスチナのメディアによるとイスラエル軍は29日にかけてガザ地区の各地を攻撃。中部ヌセイラトの住宅への空爆で子どもや女性を含む18人が死亡したほか北部ガザ市でも住民が避難する建物への爆撃で7人が死亡したという。現地の保健当局はガザ地区全体で合わせて104人が死亡したほか250人あまりがけがをしたと発表した。一連の攻撃のあとイスラエル軍は声明を発表し「数十のハマスの拠点などを攻撃した」と主張したうえで「再び停戦の状態に戻り、さらに合意違反が確認された場合は断固とした対応をとる」としている。一方ハマスは「イスラエル軍の攻撃は合意違反にあたる」と激しく非難していて、停戦の維持に向けて不安定な情勢が続いている。
ガザ情勢の今後を読み解く鍵の一つとして、今回注目したのはイスラエルメディアの報道について。イスラエルにある4つの主要なテレビ局がガザ地区をめぐる戦闘が始まってから先月までの2年間人質問題とガザの飢餓について言及した回数を比べたもの。人質問題に比べてガザの飢餓についての報道の回数が極端に少ないのが分かる。ガザ地区での軍事作戦が続いていた先月中旬、取材が許されたのは急速に視聴率を伸ばしている民間放送局「チャンネル14」。廊下に貼り出された視聴率を見ると、過去2年でおよそ2割伸ばし国内2位に躍進している。報道にはハマスの壊滅を理由に攻撃を正当化する政府の主張が色濃く反映され、住民の被害については「ハマスの責任だ」と主張している。この日の編集会議で話し合われていたのはネタニヤフ政権の主張をどう効果的に伝えるかという内容だ。ガザ地区の被害については伝えなくてもよいのか、ニュースキャスターのアミル・イブギ氏に尋ねると「政府を批判することはメディアの重要な役割で、軍の役割や人質の扱い方については批判している。一方は自分は誇り高いイスラエル人として軍と政府と支え、強くする役割があると考えている」と答えた。
ネタニヤフ政権はこれまで「チャンネル14」を手厚く支援し、自身や国防相ら閣僚も、たびたび独占取材に応じてきた。さらにガザへの軍事作戦が行われる前と比べ政府広告は3.8倍に増加している。一方で、政権に批判的なメディアに対しては政府広告を取りやめたりボイコットを呼びかけたりしたこともあった。市民は「チャンネル14」の放送について「真実を知りたければ見ている」と称賛し、「チャンネル14は偏っていて道を見失っている」とチャンネル14を批判する人でもガザの被害については「彼らはハマスのせいで苦しんでいる」と答えていた。今年5月に行われた世論調査では、メディアはガザの民間人の状況をより多く報じるべきかという問いに対し「報道はバランスがとれており満足している」と回答した人の割合は64%に上った。こうした世論を背景に政権に批判的なメディアの中でもガザの実態を報じることに難しさを感じる記者もいた。公共放送局KANの記者ロイケイスさんはアラビア語が堪能でアラブ諸国の取材を長年続けてきた。先月中旬、ガザ市への地上作戦が始まった日、KANは1時間のニュース番組のうちガザの映像のほとんどは軍が街を攻撃する様子。この日の攻撃で90人近い死者が出ていたがそうした実態は伝えられていなかった。
報道姿勢に耐えられず退職を選んだ人もいる。イスラエルで最も視聴率が高い民間放送局で編集アシスタントをしていたマタン・メロンさん欧米の通信社が配信したガザの被害の映像を集め編集者に渡す仕事をしていた。しかし、そうした映像はほとんど採用されることはなかった。今年5月、退職したマタンさんは会社前でデモを始めた。シンクタンク「モラド」のマヤ・イラニ局長は、メディアがガザの実態を伝えないことで市民が正常な判断をする機会を奪っていると話している。
取材VTRではジャーナリストの視聴者はガザ地区で起きていることを知らされていないということだった。これは停戦合意が実現した今も変わっていない。背景には一昨年10月の攻撃でイスラエル側で1200人が殺害されたことから、ハマスだけでなくガザ地区の住民に対しても不信感が根強く残っていることがある。イスラエルの主要メディアではガザ地区の被害や人道状況は今もほとんど伝えられていない。逆に人質の遺体の返還が遅れていることが合意違反にあたるとしてハマス側を非難する内容が多くなっている。イスラエルでは停戦を支持する世論が多数派ではあるがだからといってガザ地区の住民が置かれた状況への共感が広がっているわけではないというのが実感だという。メディアの報道内容と同様にハマスへの攻撃や支援物資の搬入の制限を訴える世論も広がっていて停戦が維持されるかは、今後も予断を許さない状況が続くという。メディアが伝えるか伝えないかによって同じ世界の中で確かに起きていることがまるで起きていないかのように伝わってしまう。メディアの責任が改めて問われている。
皆さんの声の募集。
エベレスト北壁傾斜50℃をスキーで約4時間滑走したジム・モリソンさんはアメリカ・ABCに出演し、「(危険な瞬間は)ほぼすべて」と話した。
アメリカで巨大な家庭用トイレットペーパー“FOREVER ROLL”が発売された。
アメリカ・オレゴン州の動物園の生後8か月のゾウにカボチャをプレゼントした。ボールのようにしていたが、パパとお兄ちゃんが潰して食べることを教わっていた。ミシガン州の動物園では生後3か月のユキヒョウがカボチャと初対面。ママも興味津々。
去年10月スペイン東部バレンシア州では記録的な大雨のため洪水が発生。230人以上が犠牲になった。パイポルタの様子の紹介。4本の橋のうち通行できるのは1本だけ。洪水で被災したエルネスト・エスピさんの紹介。州政府の対応に住民の怒りは今も収まっていない。警報の遅れで犠牲者が増えたとみられるも州トップは責任を取っていない。今月5万人以上のデモがあった。被災者の精神的ケアも課題。バネサ・コルドバさん、息子・ビセンテくんの紹介。ビセンテくんは雨が降ると落ち着かなくなり専門家による精神的なケアを受けている。
バレンシア州の心理士で作る団体は洪水の後少なくとも5500人が精神的なケアを受けたという。復興が遅れている背景は復興に必要なインフラが戻っていないこと、人手不足もある。市民の災害意識は高まっている。
アメリカ・ルイジアナ州・湿地帯「バイユー」では気候変動の海面上昇などの影響で陸地が失われ、人々は移住を余儀なくされている。影響は動物にも。50年以上漁業を営んできたテレサ・ダーダーさんの紹介。かつては農業、狩猟も行われてきたが、今では海水が流れ込み、漁業のみ。隣の地区では98%以上の土地が海に沈み、ほとんどの住民が土地を後にした。テレサさんはそれでも土地を離れないという。海面上昇に加え、ハリケーンによる高潮の影響で海岸が侵食され海が広がっているという。バイユーは過去100年で千葉県とほぼ同じ約5200平方キロが消失した。ルイジアナ沿岸再生連合・カースト氏は「消失の早さは世界で類を見ない」「100分でアメリカンフットボール場1面」、「ブルーカラーコミュニティーの人々が転居余儀なくされている」、ワニハンター・ジェイソンさんは「ワニが多すぎる」「ワニは裏庭にも現れる」「ワニに対して、特別な思い入れがある、同時に一定の数を間引かないといけない」と話す。肉は食卓に、皮は加工品として生活の糧にしている。
パキスタン政府とタリバン暫定政権はパキスタン・アフガニスタンの国境付近で11日から武力衝突が相次ぎカタール・トルコの仲介で19日即時停戦で合意した。双方の代表団は25日トルコ・イスタンブールで停戦維持に向けた協議を実施していたが、パキスタン・タラル情報・放送相がきょう協議が決裂したと明らかにした。パキスタン・ハワジャ国防相は合意に達しない場合、戦争開始という選択肢もあるとタリバン側を強く牽制していて、緊張の高まりが懸念されている。
