2025年10月28日放送 4:15 - 5:00 NHK総合

国際報道
2025 レアアース産業 脱中国依存へ巻き返し図るアメリカ

出演者
辻浩平 藤重博貴 酒井美帆 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

ニュースラインナップ

トランプ大統領6年ぶりの来日などと伝えた。

(ニュース)
トランプ大統領来日

日本時間午後5時すぎ、羽田空港に到着したトランプ大統領。午後6時半すぎ皇居の御所に到着し天皇陛下の出迎えを受け、約30分間会見が行われた。あす午前には高市総理大臣と首脳会談を行う他、アメリカ軍の横須賀基地を訪れて、空母で演説した後、都内で財界関係者との夕食会も予定されている。大統領としての来日は大阪サミット以来4回目で2期目では初めて。当時の安倍総理大臣とはゴルフという共通の趣味もあり、親密な関係を築いていた。トランプ大統領は高市総理大臣について「安倍元首相の盟友だった」などと述べた。日米首脳会談では巨額の投資の実施方法や日本の防衛力の増額といった整備などをめぐり、意見が交わされる見通し。

中国念頭に日米で覚書も

トランプ大統領の今回のアジア歴訪。30日には中国の習近平国家主席との首脳会談を行う見通し。アメリカABCは「貿易合意とTikTokの売却合意は30日の両首脳の会談で最終合意に至るとみられる」などと報じた。一方あす行われる日米首脳会談、両政府は造船の世界シェアを伸ばしている中国を念頭に両国で造船の能力増強のための覚書を交わす方向で調整を進めている。特定の国への依存度を減らし、有事の際の海上輸送に支障が出ないようにする必要があるとして作業部会を設置して連携を強化。日米の企業が両国の造船所に投資し競争力や効率性向上を目指すことなどを盛り込む方針。レアアースなどの供給に関する覚書も交わし、中国に依存しないサプライチェーンの構築を目指すとしている。

辻’s Angle
どうなる?日米首脳会談

あす日米首脳会談。トランプ大統領は安倍元総理を最高の人物だったと言っていた。ベッセント財務長官も高市首相は安倍元総理大臣の後継者だと発言。ワシントン支局・稲田清の解説。トランプ大統領とゼレンスキー大統領との会談で関係が険悪になってしまった。各国の首脳たちは接し方に気を使っているようにみられる。トランプ大統領は自分の意見を聞いてくれる人を探している。日本からアメリカへ5500億ドル(約80兆円)の投資案件がある。日本の名目GDPの10%以上にあたる。アメリカのラトニック商務長官が赤澤経済再生担当大臣と協議を重ねた。高市総理大臣は防衛費と関連経費をGDPの2%にする目標について今年度中に前倒しする考えを示している。トランプ大統領にアメリカのコストを減らすことが出来ると実感させることができれば評価は良くなる。

SPOT LIGHT INTERNATIONAL
“脱中国依存”巻き返し図るアメリカ

トランプ大統領は今月30日に中国の国家主席との首脳会談に臨む。会談を前に中国が強化するとしたレアアース。アメリカのベッセント財務長官は中国による輸出規制の強化は1年間延期されアメリカによる対抗措置も回避されるという見通しを示した。中国がレアアースが含まれる鉱物の採掘では6割、精製では9割のシェアを占めている。アメリカは中国に依存しないサプライチェーンの構築に向けて巻き返しの動きを加速。ノースダコタ州で開かれたドローン産業のイベント。中国が輸出規制をすれば事業に影響が出るという。EV(電気自動車)やハイブリッド車のモーターなどに不可欠。自動車部品メーカーでつくる団体はトランプ政権に書簡を送った。戦闘機や弾道ミサイルなど軍事産業にも不可欠。安全保障にも深刻な影響を及ぼす。専門家は中国は30年間に渡ってしたたかに戦略を進めてきたことが背景にあると指摘。西部ワイオミング州で進められているのは約70年ぶりとなる新たなレアアース鉱山開発。精製ではカナダと連携。アメリカ国防総省はカナダの鉱物資源会社に30億円以上の助成金を支給。環境にも配慮した形で効率よく抽出できるという。来年半ば、アメリカ南部ルイジアナ州に設備を立ち上げて商業生産を始める方針。

米中 レアアースめぐる争いは

ワシントン支局・小田島拓也の解説。アメリカ国防総省がレアアースの大手資源会社に数十億ドルを投資し筆頭株主になる。契約内容は固定価格で買い取るという。アメリカは強い危機感を持ち、世界各国で進めている。中国にとってレアアースは国家戦略。とう小平氏が1992年に「中東には石油があるが中国にはレアアースがある」と発言。中国は投資、補助金も配るなど30年間進めてきた。強力な武器となっている。緊張緩和は。技術が覇権争いになっている。ベッセント財務長官はトランプ大統領が強気の発言の度に緊張を和らげようとアピール。西側諸国は連携していけばスピードを短縮できる可能性もある。

(ニュース)
トランプ大統領 “ASEAN各国と連携強化”

きのうマレーシアに到着したトランプ大統領は熱烈な歓迎に満面の笑みで応えた。タイとカンボジアの武力衝突をめぐる和平合意の調印式では、自らの関与で停戦が実現したとアピール。トランプ大統領は「戦争解決が好きだ」、カンボジアのフン・マネット首相からは「トランプ大統領をノーベル平和賞に推薦した」などとコメント。さらにタイとの間で鉱物資源に関する協力についての覚書にも署名。貿易などを促進するとしている。その後に行われた首脳会議では再び笑顔。中国がこの地域での政治的、経済的な影響力を強める中、ASEANとの関係を重視する姿勢を強調。一方の中国はASEANと日中韓3か国の首脳会議がきょう行われ、李強首相はトランプ政権の関税政策を念頭にアメリカをけん制。「中国は東アジアの発展に向けた新たな輝きを作り出していきたい」と述べ、この地域の国々との連携を強化する姿勢をアピール。きょうとあすの2日間、一連の首脳会議に臨む予定。トランプ大統領が去ったASEANを舞台に存在感を示している。

ASEAN各国の思惑/ASEAN 米中のはざまで

クアラルンプールからの中継でアジア総局の青山悟が報告。ASEAN側がトランプ大統領に花を持たせようとしているのは、良好な関係を築きたいという強い思いの表れ。トランプ政権はASEAN各国に高い関税をかけていて、関税によってさらなる負担を強いられることへの警戒感がある。タイとカンボジアの衝突をめぐっても当初、両国は36%の関税をかけられていた。トランプ大統領が仲介した停戦の後には19%に引き下げられた。トランプ大統領が首脳会議に出席したことで一定の信頼を勝ち取ることができたとASEANは考えているはず。一部の国はアメリカと重要鉱物に関する協定を結んで経済的な結びつきを強めていくことになった。一方、ASEANにとって最大の貿易相手国である中国との関係をどうしていくのかも重要な課題。習近平国家主席は今年4月、ベトナムやマレーシアを相次いだ訪れ、トランプ関税を念頭にASEANに連携を呼びかけた。ただASEANは南シナ海で海洋進出する中国に対して懸念も深めている。伝統的に特定の国の影響力が強まることを嫌う傾向があり、バランス外交を駆使して立ち回っていくことになりそう。

WOW!The World
アイスランド 初めて蚊を確認 温暖化の影響?

北欧の島国アイスランドで今回初めて発見されたのが蚊。 クーリセタアニュラータと種類の蚊、メス2匹、オス1匹が確認。生物学者は「どこにでもいる蚊」などとコメント。地球温暖化の影響で水たまりが凍結するのに時間がかかり生息に適した環境になってきたという。この蚊は船で運ばれて到着したとの推測もあるが、温暖化が進む世界では蚊がどこでも生息できるようになっている可能性があるとスペインのTVEは伝えている。

サントロペの祭典に帆船集結

フランス南部の保養地サントロペにおよそ250隻の帆船が集結。ヨットレースの祭典が開催。まずは港で入念に準備。ブロンズなどを磨きロープや帆をチェック。風が出るのを待って出港。100年近く前の帆船から新しいヨットまである。2時間ほどの航海の後、港に戻った船のデッキはダンスフロアに早変わり。レースは賑やかに締めくくられた。

ドイツ カボチャで「偉大な女性」像

ドイツのベルリン近郊にある農場で恒例のカボチャ祭り。カボチャで作られた作品が展示。今年のテーマは偉大な女性。20世紀を代表するメキシコの画家フリーダ・カーロやテレビアニメに出てくるキャラクターもいた。ここではハロウィーンに向け、飾りにもなり食べられるカボチャを販売。

Monday Biz
オランダ 欧・車向け半導体に懸念

ヨーロッパの自動車メーカーの間で車向けの半導体調達への懸念が広がっている。背景に半導体メーカーNexperiaをめぐるオランダと中国の対立。オランダに本社を置く中国資本のメーカーで、ここの半導体は世界で生産される車の部品に使われている。ヨーロッパで基板を作り中国で最終製品にしている。オランダ政府は今月、このメーカーについて経済安全保障のリスクを理由に管理下に置いた。背景に中国への技術の移転や緊急時の半導体価格への懸念があるとみられる。これに中国政府が反発。最終製品の輸出を禁止する措置をとり、自動車や部品メーカーは困っている。現在、オランダと中国が政府間で協議を続けていて、EUも事態を注視。

オーストラリア 金の輸出急増

資源国のオーストラリアで金の輸出が急増。輸出量、輸出額ともに伸びている。オーストラリア政府は今月、資源やエネルギーに関するリポートを公表。今年7月から来年6月までの2025年度、金の輸出額は前の年度よりも日本円で1兆3000億円あまり増えておよそ6兆円になる見通し。背景には金の価格の高騰がある。今年5月からの近先物価格グラフでは右肩上がり。トランプ政権の関税政策や米中の貿易摩擦など世界経済の見通しの不透明さから、安全資産としての金に世界のマネーが集まっている。ニューヨークの金の先物価格は今月初めて1オンス4,300ドル台を突破。オーストラリア政府は今後も金の価格は高い水準を維持するだろうと分析。新規の金の採掘プロジェクトの動きもあるとしている。

香港 “世界の頭脳”獲得へ

アメリカのトランプ政権が留学生の受け入れを厳格化する中、香港がその受け皿を狙っている。イギリスの教育専門誌による世界の大学ランキングで香港の大学は上位100校のうち5校ランクイン、日本の2校をしのいでいる。レベルの高さや英語が公用語であるという強みを生かし積極的な受け入れ策を打ち出している。香港大学で開かれた留学生の交流イベントを紹介。この秋入学した香港以外からの学生は約1,600人で過去最多。香港の各大学は特別チームを設置し奨学金の提供などをサポート。香港大学 留学生担当責任者の厳志堅は「教員の国際化も進んでいる」などとコメント。香港政府トップの李家超行政長官は先月、香港以外からの学生受け入れ上限を50%に引き上げると表明。科学技術をめぐるアメリカとの覇権争いを見据えた中国政府の思惑もある。香港の政治評論家である劉鋭紹は「世界とつながることは香港だからできる」などとコメント。香港では中国の統制が強まる中、学問の自由が後退しているといわれる。しかし専門家は科学技術の発展に寄与する理系については政治的影響をあまり受けていないと指摘。

INTERNATIONAL NEWS REPORT
イスラエル “人質の遺体捜索でエジプトがガザ入り”

パレスチナのガザ地区をめぐるイスラエルとハマスの合意では、ハマスが今月13日の期限までに48人の人質全員を解放するとされていたが、死亡した人質の遺体の返還が遅れている。これに強く反発しているイスラエル政府は26日、遺体の捜索を支援するためエジプトのチームがガザに入ることなどを認めたと明らかにした。NHKガザ事務所が26日、ガザ地区南部ハンユニスで撮影した映像では、エジプトの捜索チームが建設用の大型機械を使って地下トンネルの付近を掘り起こしていた。イスラエル側は残る13人の遺体の返還を求めているが、ハマス側は一部の遺体は返還が困難としている。

ルーブル美術館 宝石類事件 関与疑いで複数人拘束

ルーブル美術館で約150億円相当の宝石類が盗まれた事件をめぐり、捜査当局は組織的な犯行とみて実行犯とされる4人の行方などを捜査していた。パリ検察庁は26日、事件に関わった疑いで複数の人物を拘束したと発表。現地の複数のメディアは、拘束されたのはいずれも30歳前後の男2人で、過去に強盗事件などに関わり警察が把握していた人物だと伝えている。2人は遺留品などからDNA鑑定によって特定。1人はパリ郊外の空港からアルジェリア行きの飛行機に搭乗しようとしたところを拘束。もう1人はパリ郊外で拘束。盗まれた宝石類はこれまでのところ見つかっていないということで、当局が捜査を続けている。

スーダン 準軍事組織 ダルフール地方で“軍本部を制圧”

スーダンでは一昨年4月、軍と準軍事組織RSFの武力衝突が始まり、大規模な戦闘に発展して人道危機が続いている。26日、RSFは、1年以上包囲してきた北ダルフール州の主要都市ファシェルにある軍本部を制圧したと発表。ファシェルはダルフール地方の軍の最後の拠点。イギリスの公共放送BBCは、今回の制圧でRSFが実質的にこの地域を掌握することになると伝えている。RSFは、ダルフール地方で独自の統治機構を展開するとしていて、国の分断が進むことや人道状況のさらなる悪化が懸念される。

赤澤経済産業相 米ラトニック商務長官を歌舞伎座に案内

あすの日米首脳会談を前に赤澤経済産業大臣はきょう、アメリカのラトニック商務長官を歌舞伎座に案内。2人は近くの寿司店で昼食をともにし、日米合意に基づく投資などについて協議。

米FRB 2会合連続利下げか

アメリカのFRBは今週、金融政策を決める会合を開き、日本時間の30日未明に結果を発表。金融市場ではFRBが、雇用情勢が悪化するリスクを重視して2会合連続の利下げに踏み切るという見方が強まっている。

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