- 出演者
- 辻浩平 藤重博貴 野原直路 酒井美帆
オープニング映像が流れ、出演者が挨拶をした。
「気候変動訴訟、被害訴える手段に」などのラインナップを伝えた。
ブラジルのベレンで開かれているCOP30。日本時間の午前2時すぎ、日本や中国など各国政府のパビリオンが並ぶエリアで火災が発生した。少なくとも21人が煙を吸うなどして手当を受けたという。ブラジルのメディアは消防当局の話として、電子レンジなどの電化製品から出火した可能性があると見て、詳しい原因を調べていると伝えている。
COP30が行われているブラジル・ベレンより、サンパウロ支局長の吉永智哉が中継でリポート。自然災害への対応といった気候変動に適応するための途上国向けの新たな資金目標の設定が、最大の争点になっている。日本を含む先進国と途上国の間で温度差がある。専門家は、途上国向けの資金目標の設定に近づけるかどうかが、COPの成果を評価するうえで試金石になるとしている。ブラジルのアマゾンで暮らす先住民の人たちは、「自分たちの権利にもっと耳を傾けてほしい」と声を上げている。森林の保全の重要性やその保全のためには、土地の人たちの生活を考える必要があるという現地の実情を知ってもらう良い機会になった。ブラジル先住民連合代表のクレバー・カリナブさんは「我々はすでに気候変動の影響を肌で感じ苦しんでいる。地球全体の生物多様性を守っている我々だからこそ、その影響を誰よりも先に感じているのだ」などと語った。国レベルだけではなく、自治体や企業などが連携して対策をとることができるかが前に進む鍵になる。アメリカはトランプ政権が高官の派遣を見送った一方で、民主党のカリフォルニア州知事などが会場入りして対策を進める姿勢をアピールしていた。各国が立場の違いを乗り越え、歩み寄ることが求められている。
気候変動対策をめぐっては、近年「気候変動訴訟」が注目されている。気温や海面の上昇などで生活や健康が脅かされているなどとして、被害の賠償や温室効果ガス削減の取り組み強化などを政府や企業に求める裁判。国家間の枠組みで思い切った対策が見通せない中、気候変動訴訟は途上国の住民などが被害を訴える手段として拡大している。今年9月、インドネシアのパリ島の島民たちが大量の温室効果ガスを排出した大企業の責任を問う訴えを起こそうと、スイスの裁判所を訪れていた。標高が低く平坦なパリ島は、漁業や観光業などが島の生活を支えている。原告の1人のアスマニアさんは、魚や海藻などの養殖を家族で続けてきた。魚の養殖による収入は多いときで40万円ほどだが、ここ数年で水揚げが急激に減っているという。アスマニアさんは、海水温の上昇が原因だと考えている。さらに気候変動は海面の上昇を招き、島の生活を脅かしているという。原告団に加わるアリフさんは島で50年以上暮らしているが、ここ数年は高潮があると家の中にまで海水が押し寄せ、木や竹でできた家の壁が腐るなどの深刻な被害が出ていると訴えている。生活を支えてきた井戸にも海水が混じって使えなくなり、生活用水を買わざるを得なくなった。住人たちはスイスに本社を置くセメント企業「ホルシム」に対し、対策費用を含めた損害賠償請求と二酸化炭素の排出削減推進を求めている。スイスは「原告と被告が同じ国にいなくても、被告がいる場所などで訴状提出が可能」とする国際条約を批准している。住民を支援するNGOによると、企業が排出した温室効果ガスの具体的なデータを入手できたことも訴訟に踏み切った大きな要因だという。民間の研究機関の調査によると、ホルシムは1950年代以降約70億トンの二酸化炭素を排出していて、1750年以降に排出された全産業の二酸化炭素のうち0.42%を占めていて、この分の損害賠償を求められるとして1人あたり約70万円を請求した。一方ホルシム側は「環境に配慮したビジネスを行っている」としているが、今回の訴訟について取材を申し込んでも回答はなかった。気候変動をめぐる訴訟についてまとめているイギリスの研究所によると、企業を相手取った気候変動関連の訴訟は世界で年々増加傾向にある(グランサム気候変動・環境研究所)。気候変動と法律の関係に詳しい専門家は、こうした企業を相手にした訴訟は今後も増えていく可能性が高いと指摘している。パリ島のアスマニアさんは、訴訟を通じて被害の実態に目を向けてほしいと訴えている。
「気候変動訴訟」について取材したヨーロッパ総局の野原直路記者が、パリより中継でリポート。企業を相手取った裁判の多くはまだ継続中だが、気候変動による被害と特定の企業活動との因果関係の立証は一般的には難しく、訴えが棄却されたケースもある。例えば南米・ペルーの住民が氷河が溶けたことによる洪水の安全対策費用をドイツ大手電力会社に求めたケースでは、裁判所はこの原告が洪水の被害にあうリスクは高くないとして訴え自体を棄却した。ただ「被害が差し迫っている場合は、企業が過去の温室効果ガスの排出量に応じて賠償責任などを負う可能性がある」とも指摘して注目された。また今年7月にはICJ(国際司法裁判所)が、企業による温室効果ガス排出について「国が十分な規制を行う必要がある」との判断を示した。企業を相手取った訴えには補償を得るだけではなく、被害に目を向けてもらうという目的もある。こうした訴訟が増え、裁判を通じて企業活動と気候変動との因果関係が明らかになれば、企業側が温室効果ガスの排出を削減しようとする動きにつながる可能性もある。ただ個人の権利がどのような場合にどれほど守られるかは、国によって法律が異なる。また個人自身もどのような消費活動を行うのか、どの企業の商品を選ぶのかなども無関係ではない。社会全体が取り組みを続けていく必要がある。
ウクライナ情勢について、アメリカが提示した和平案はウクライナ側に事実上の領土の割譲など大幅な譲歩を求める内容とされているが、ウクライナのゼレンスキー大統領は「これらの案に取り組むことで合意した」と述べ、和平案をめぐって近くトランプ大統領と話す予定だと明らかにした。和平案について、アメリカ・ホワイトハウスのレビット報道官は記者会見で「まだ流動的であるため詳細には踏み込まないが、トランプ大統領はこの計画を支持している。ロシアとウクライナにとってよい計画で、受け入れ可能だと思っている」と述べた。ドイツの公共放送ZDFは、和平案について「外交的侮辱」だと伝えている。ゼレンスキー大統領は20日に首都キーウでアメリカのドリスコル陸軍長官と会談し、今後の和平をめぐって協議した。和平案は東部と南部の4つの州や、ロシアが一方的に併合したクリミア半島など領土などについてウクライナに大幅な譲歩を迫る内容と伝えられている。
20日、国連の安全保障理事会では緊急の会合が開かれ、アメリカのウォルツ国連大使は意見が対立するウクライナ、ロシア双方が停戦を受け入れる必要があるなどと述べた。ウクライナのハヨビシン次席大使は和平案を正式に受け取ったとした上で、我々の領土は売り物ではないなどと述べ、領土の割譲や軍事力の制限、同盟に加わる権利を含めたいかなる主権の侵害も容認しないと強調。ロシアのネベンジャ国連大使はウクライナについて、停戦に向けた交渉に前向きな姿勢は見られないと批判。ウォルツ国連大使は今後もアメリカが停戦に向けた動きを主導していくと強調。
オーストラリア等の先進的な価値観はどこから生まれるのかと視聴者から質問。シドニー支局長の松田伸子がシドニーからの中継で答えた。取材したオーストラリア国立大学のフランクボンジョルノ教授は2つの理由を挙げた。1つ目は18世紀以降にイギリスなどから入植した際の社会構造。階層構造などの古い国々に見られる制約がほぼ存在せず、新しいことを試せる場所という感覚がある。2つ目は各州政府の権限の強さ。連邦政府とは別に都道府県にあたる8つの行政区域が存在し、相当な権限を持っている。大都市に人口が集中していることも理由の一つ。オーストラリア学会元理事の杉田弘也神奈川大学教授は、都市部は一般的に進歩的、先進的な考えが生まれやすいなどと話す。アメリカなど他の連邦制の国と比べても都市部に住む人口が多いというデータもある。NHKには世界29の総支局がある。視聴者から特派員への期待や激励の声を紹介。世界経済フォーラム発表のジェンダー格差最新ランキングでニュージーランドは5位、オーストラリアは13位、日本は118位。議員や企業の管理職に占める女性の割合などから算出。女性の選挙権はニュージーランドで、参政権はオーストラリアの州で世界で初めて認められた。オーストラリアでは1850年代に無記名での投票を実施。完全に投票者がわからない形での投票はオーストラリアンバロットと呼ばれた。松田支局長は現地で新しいことをやってみようという機運とそれを受け入れる土壌に先進性を感じるという。来月から子どものSNS利用を禁止する法律が施行。アルバニージー首相は変化をもたらすことができると発言。2012年に世界で初めてたばこのパッケージにブランドロゴを載せるのを禁止。高い税金をかけているため1箱5300円以上。
科学者たちがキスの起源は2100万年前まで遡るという研究結果を発表。生物学者は、ヒトもチンパンジーもボノボもキスをするなどと話した。共通の先祖を持つヒトとネアンデルタール人がキスをしていた可能性もあるとのこと。キスをする本当の理由はまだ解明されていない。
11月の第3木曜日、フランス産ワインの新酒ボージョレ・ヌーボーの販売が解禁。東部リヨンでは川を船で運ばれてきたワイン樽を中心部まで転がして運ぶのが伝統。広場には新酒を味わおうと待った人々が集まり、この祭りをみんなで祝うのが大切と話す人もいた。若々しく軽やかなボージョレ・ヌーボーは去年、世界中で1400万本販売。
ドイツ東部ライプチヒにある教会で、音楽の父と呼ばれるドイツの作曲家バッハのオルガン曲2作品が演奏された。30年以上前にベルギー王立図書館で発見され、調査の結果、バッハの初期の作品だと確認。バッハゆかりのこの地で世界で初めて演奏。
日本の自動車メーカーが多く進出する中国南部の広東省で、広州モーターショーが始まった。中国のEVメーカーのモデルなど1,000台余りが展示。中国のEV最大手BYDは独自の運転支援システムをアピール。スマートフォンメーカーのシャオミは最新の運転支援技術を披露。中国政府はいわゆる台湾有事をめぐる高市首相の国会答弁への反発を強め、日本への渡航を控えるよう呼びかけている。出展している日本の自動車関連のメーカーは、販売環境が厳しさを増すことに懸念を示す。担当者は大きなマイナス、デメリットが出てくると困るなどとコメント。
ナイジェリアで一体何が起きているのか現地取材。今年6月に襲撃を受けた中部の村イェルワタは、ほとんどがキリスト教徒。襲撃したのは銃や刃物で武装した数百人のグループ。多くがイスラム教徒とみられ、村の幹部によると子どもを含む260人近くが殺害。デビッドウケイマは妻と3人の息子を殺された。自らは体中に深い傷を負いながら6歳の娘とともに命からがら逃げた。今は現場から50キロほど離れた町の避難所で暮らしている。大きな刃物を持っているのが見えたなどと話した。トランプ大統領はナイジェリア政府がキリスト教徒の殺害を容認し続けているなどと発言し、軍事的措置を警告。ナイジェリア政府は誤った認識に基づいたものだと反発。ナイジェリアは人口2億超、経済規模のアフリカ有数。キリスト教徒が多く暮らす石油資源が豊富な南部に対し、イスラム教徒が多い北部は経済成長から取り残されている。地域間の格差が広がりイスラム過激派台頭の要因となった。2014年、イスラム過激派組織ボコハラムがキリスト教徒とみられる女子生徒200人以上を連れ去った。組織の分裂や治安部隊による掃討作戦で、ピーク時よりボコハラムの勢力は弱まったとみられる。土地などをめぐる民族間の対立から発展した暴力にキリスト教徒が巻き込まれるケースも相次いでいる。地元のカトリック教会代表のウィルフレッドアナベ司教は去年から今年にかけてアメリカを訪問し、キリスト教徒が置かれた厳しい現実を訴えた。トランプ大統領の発言を歓迎しながらも軍事的措置は現実的ではないと考えている。アイシャハマンはボコハラムの暴力から逃れるためアブジャに避難。現地ではイスラム過激派による暴力が今も続いているため長引く避難生活を強いられている。過激派は独自に解釈したイスラム法に基づく社会の実現を主張しているため、賛同しないイスラム教徒も襲撃の対象。専門家の間では犠牲者の数はキリスト教徒を上回るとの見方もある。アイシャはトランプ大統領の発言は実態を反映していないという。
トランプ大統領は20日、ブラジルからの輸入品に課している40パーセントの追加関税について、コーヒー豆や牛肉など一部の農作物を対象から外す大統領令に署名。対象外とする範囲を拡大し13日にさかのぼって適用。トランプ大統領はブラジルのボルソナロ前大統領が罪に問われたのは不当として、高い関税を課してきた。関税措置などの影響による根強いインフレに米国民の不満が高まり、政権は政策修正。ブラジルはコーヒー豆最大の輸入元で、食料品などを関税対象から外し価格低下につなげるねらいか。
野党民主党の軍や情報機関出身の連邦議会議員が憲法に反する命令には従わないよう呼びかける動画を投稿。これに対しトランプ大統領が、反逆行為で死刑に値すると反発し、波紋を呼んでいる。アメリカではトランプ政権が治安対策のため各地に州兵などを派遣してきたのに対し、民主党は違法性を指摘するなど批判。ホワイトハウスのレビット報道官は、指揮命令系統を通じ軍に下すすべての命令は合法などと述べた。民主党側は動画を投稿した議員の身辺警護を警察に要請。
パレスチナのガザ地区をめぐりアメリカが主導する和平計画で停戦監視など重要な役割を担う施設CMCCがメディアに公開。先月イスラエル南部に設置されたもの。20か国以上の軍関係者や人道支援にあたる国連や民間団体の関係者などが活動。
視聴者の声を募集。
戦争のルール“民間人を巻き込むな”など、今後の特集予定を伝えた。
出演者がエンディングの挨拶をした。
