2025年11月14日放送 4:15 - 5:00 NHK総合

国際報道
2025 パキスタン アフガニスタン 続く緊張

出演者
辻浩平 藤重博貴 酒井美帆 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像と出演者の挨拶。

ニュースラインナップ

「インド・爆発の瞬間渋滞の道路で・・・」などラインナップを伝えた。

(ニュース)
インド政府「テロ事件」と断定 ニューデリー 爆発の瞬間は…

監視カメラの映像の紹介(NDTV)。観光客が多い、世界遺産近くの道路の真ん中で何かが光り、爆発。8人が死亡、複数人がけがをした。インド政府は12日反国家勢力による凶悪なテロ行為だと決議を採択し、テロ事件と断定した。容疑者や背後関係については明らかにしていない。今後の捜査の焦点になる。

G7外相会合 ロシアへの制裁強化 具体的に踏み込まず

カナダで開かれていたG7外相会合が12日閉幕した。共同声明ではウクライナ状勢を巡り、ウクライナが領土の一体性を守ることを支持し、即時停戦の必要性を強調した。ロシアへの制裁強化については“ロシアの資金源となる国や団体に対して措置を検討する”とし、検討する方針は盛り込まれたが、具体的に踏み込まなかった。アメリカ・ルビオ国務長官は米ロ首脳会談の可能性について「戦争が終わることを臨んでいるが会談のための会談を続けるわけにはいかない」と述べ、首脳会談の実現にはロシア側の具体的な対応が必要との考えを示した。一方イギリス政府はロシア産LNGについてイギリスの船舶による海上輸送、関連する保険などのサービスを来年禁止すると発表した。イギリスはおととしからロシア産LNGを輸入禁止にしているが、ロシアの第3国への輸送手段も制限、ウクライナ侵攻の資金源に打撃を与える狙いがある。

米 麻薬密輸対策で原子力空母など展開 緊張の高まりに懸念の声

アメリカ海軍の空母打撃群は麻薬密輸船だとする船への攻撃を繰り返してきたが、中南米・カリブ海担当の南方軍管轄区域に到達した。ベネズエラは軍事演習を開始し、トランプ政権を批判した。各国の外相は緊張の高まりに懸念。フランス・バロ外相は11日アメリカの軍事作戦について“国際法を無視している。懸念を持って注視している”と述べた他、ドイツ・ワーデフール外相は“さらなる危機は誰の利益にもならずベネズエラも自制すべきだ”と呼びかけた。

辻’s Angle
緊張高まる米・ベネズエラ

トランプ政権は今年9月以降ベネズエラ沖の公海などで相次いで小型船を攻撃、炎上する様子の紹介。攻撃は15回以上、70人以上が死亡した。アメリカ側はこれらの船は麻薬の密輸船で、麻薬対策の一環と主張している。アメリカ軍は最大の原子力空母を派遣。麻薬対策に原子力空母は必要ないので、ベネズエラへの圧力を強めるためだ。空母を始めとして、アメリカ軍兵士1万人規模が派遣されていると言われ、異例の規模だ。アメリカは麻薬対策を主張。ベネズエラ側は、アメリカの目的は資源だという。ベネズエラは原油の埋蔵量は約3000億バレル、サウジアラビアを凌ぐ世界最大。またレアアース、金も豊富。ベネズエラ原油の最大輸出先は中国で、アメリカは面白くない関係だろう。ベネズエラ側はマドゥーロ政権の転覆が本当の狙いと疑いを強めている。かつてアメリカが実際には存在しなかった大量破壊兵器を名目にイラクに侵攻したことになぞらえ、マドゥーロ大統領は、「アメリカは“ベネズエラが大量破壊兵器・生物化学兵器を隠し持ち核兵器を持とうとしている”と主張できないから(麻薬密輸対策という)おかしな主張を作り上げようとしている」と話す。きのうはアメリカを牽制する目的でベネズエラは全国規模で軍事訓練を行なった。国連憲章では国連安保理決議に基づく措置や自衛権の行使などをあげているが、アメリカの攻撃はこうした要件を満たしていないという指摘も出ている。トランプ政権側は、ベネズエラの犯罪組織をテロ組織と指定しているので問題ないという立場だ。

フランス・バロ外相は「(アメリカは)国際法を無視している」と指摘した。CNNは“イギリスはアメリカとの情報共有を停止した”と報じた。イギリスはカリブ海に領土を持っている。麻薬密輸戦などの情報収集もしている。こうした情報をアメリカと共有するのをやめたという。イギリスは“アメリカの軍事攻撃に加担することを望まず、攻撃は違法だと考えている”と関係者の話だ。軍事行動に法的な妥当性があるのか、はっきりしないまま両国の緊張だけが高まっている。

皆さんの声 募集中

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(ニュース)
ルーマニアでNATO大規模演習

ルーマニア中部で行われたNATOの大規模な演習。ルーマニアに駐留するフランス、スペイン、ベルギー、ルクセンブルクの4カ国を中心とした10カ国が参加した。アメリカ軍はロシアのウクライナ侵攻以降ルーマニアにローテーション方式で部隊を派遣。先月末部隊再編の一環として部隊の規模の縮小を発表した。トランプ政権が世界各地に展開するアメリカ軍の体制の見直しを進める中、欧州のNATO加盟国は地域の防衛への負担増加を迫られている。今回の演習は有事を想定し、部隊を5000人規模に迅速に拡大する展開力を高めることなどが目的。無人機で敵の位置を把握、ヘリコプター・戦車投入などで反撃していた。

米軍 兵力削減 欧州の受け止めは?/トランプ政権 防衛戦略見直し 欧州は?

トランプ政権はヨーロッパ主導のNATOを訴えてきたので、ルーマニアでの動きは想定内。アメリカの駐留軍規模縮小の発表後なので、アメリカ軍は後方支援にあたる部隊が参加した。NATO関係者は「ヨーロッパがこれまでよりもNATOの防衛に積極的な役割を示すものだ」としている。ヨーロッパ、NATOの安全保障をアメリカに頼り続ける事はできないという心構えができつつある。ヨーロッパは、ヨーロッパの防衛関与の低下が打ち出される可能性があると身構えている。とはいっても、アメリカがヨーロッパから劇的に引き上げることはなく、ロシアによるウクライナ侵攻前の水準よりは多くの兵士を引き続きとどめておくのではないかという見方も強い。ただ、NATO関係者は「アメリカは欧州各国にないインテリジェンスや監視能力を持っている」と話していて、肩代わりがきかない役割を担っていると指摘している。

アメリカ つなぎ予算成立 “過去最長”政府機関の閉鎖 解除

12日夜アメリカ議会下院で来年1月30日まで連邦政府の資金を確保するつなぎ予算案が賛成多数で可決した。アメリカ・ABCは閉鎖の影響が大きかった空港の変化を伝えている。ABCは「2週間ぶりに全米ほぼすべての空港で適切な人数の管制官が業務についた」「航空会社は感謝祭までには通常運行に戻れるとしている」と報じた。今回可決された予算案には民主党が求めてきた医療保険の補助延長は盛り込まれていない。アメリカ・ワシントン・ポストは“民主党の敗北だ”とし、“医療保険の補助延長をめぐる与野党の対立は長期的には共和党に危険な結果をもたらす可能性があり、補助を延長しなければ1年後の中間選挙でトランプ大統領にも大きな政治リスクになる”と指摘している。トランプ大統領が署名し予算案が成立、政府機関の閉鎖は解除されたが、“閉鎖の責任は野党・民主党にある”と繰り返した。

WOW!The World
台風通過で14~16世紀の木造船

今月猛威を振るった台風25号。ベトナム中部ホイヤンの砂浜に14~16世紀の木造船(全長17mで骨組みがほぼ完全な形で残っている)が現れた。シルクロードの交易で活躍したとみられ、2年前一部発見されたがすぐに砂に埋まってしまったものだ。現在好奇心が強い人が直接触ったりしているので、損傷が避けられない中、ホイヤンでは文化財を保護管理するセンターが緊急に発掘したいと地元当局に申請している。

第1次世界対戦中の機関車を展示

第一次世界大戦終結記念日にあわせ、フランス・ナンシーにお目見えしたのは第1次世界対戦中の機関車。この機関車は歴史遺産でもある。

毛虫で“冬の天気”を占う

アメリカ・ノースカロライナ州で半世紀近く開かれている毛虫の祭りの紹介。毛虫が糸をのぼり、速さを競う。少女の、毛虫のビリーが優勝。ビリーの13本の縞模様が今年の冬の天気を占う。祭りの主催者は「(毛虫による)冬の天気の予想は86%の確率で当たる」という。ビリーによると、はじめ寒く、4週間おだやか、その後雪で厳しい寒さに戻るというものだった。

(ニュース)
パリ同時テロ事件から10年

2015年11月フランス・パリや近郊で130人が犠牲になった、パリ同時テロ事件。過激派組織ISのメンバーらがコンサートホールやレストランなど次々と襲撃し130人が犠牲になった。事件から10年になる13日、パリ中心部の広場に朝から多くの人が集まり、犠牲者を追悼していた。

LIVE>>パリ

パリ・バタクランの前から中継。きょうはこのあとここで追悼式典が開かれる予定で、多くの遺族や関係者が集まっている。付近一帯は慰霊の場になっている。きょうは10年前を思い起こし、犠牲者を追悼する一日になっている。

フランスの若者 思想過激化か

テロ関連で起訴される未成年のグラフの紹介。去年19人、今年17人と若者の思想の過激化が警戒されている。今年8月エッフェル塔やシナゴーグを狙ったテロを計画していたとして15歳と17歳の少年が起訴された。2人はSNS上で過激派組織ISに強い関心を共有し、インターネットで武器調達を画策していたとされる。

SNSで若者の思想 過激化?

フランス・ボルドーで、10年前に設立された市民団体ではイスラム教の過激思想や極右の思想に引き込まれた若者などを対象にカウンセリングを行なっている。20代女性が相談に訪れた。友人の男性が今年に入りインターネットを通じ女性の権利の制限などを訴えるイスラム原理主義的な思想に強く影響されるようになったという。女性にもみてほしいと動画のリンクが送られてきた。友人は特定な宗教には関心を示さず、寛容な性格だったが、言動が変わっていったという。彼は「性的マイノリティーの人々は怪物のようで同性愛者も異常者だ」といった。女性は「彼がなにかするかも。誰かに危害を加えるのではないか心配だ」と話す。市民団体は“SNS特有の機能によって若者たちが過激思想に取り込まれやすくなっている”と指摘している。ユーザーの興味・関心・分析する機能は特定の宗教、思想を閲覧すると似た投稿が次々と表示されるようになる。だんだん過激思想の沼に引き込まれる恐れがあるという。まだ価値観が定まっていないことの多い若い世代は特に影響を受けやすいとみている。市民団体「カプリ」経堂創設者・フワッド・サーナディさんは「現代のインターネットはプロパガンダや情報操作に拍車をかける。使い方に寄って若者を心理的に崩壊させてしまうこともある」という。更に懸念されるのは、SNSを入口により過激なコミュニティーに誘導されること。秘匿性の高い通信アプリのコミュニティーだ。市民団体が身元を隠して監視している。市民団体「カプリ」デジタル専門家・ワセフ・ルムシさんは「アルカイダ関係の文書がPDFでアップロードされている」と話した。投稿されていたのはテロを扇動する内容の刊行物、ユダヤ人を狙ったテロが呼びかけられていた。ワセフ・ルムシさんは「爆発や標的を攻撃するためのマニュアル、投稿の説明文では爆弾の作り方も解説されていた」と説明した。

フランス・テロ対策検察のトップ・オリビエ・クリステンさんはかつてのテロと比べ対応が難しくなったと指摘、「脅威は変化している。完全に孤立し大量のプロパガンダに洗脳された人物を見つけるのは非常に困難な任務だ」という。市民団体では若者たちに多様な価値観や意見に触れてもらうことが過激派の防止につながると地域の人々と交流イベントを開いている。市民団体「カプリ」経堂創設者・フワッド・サーナディさんは「あの(同時テロ)事件が二度と起こらないように教育や国民的な結束の問題に対処しなければならない」と話す。

 LIVE>>パリ

未成年の起訴数が増えている。VTRで紹介した市民団体の創設者は、「今起きている紛争や戦争も関係している」との見方を示した。その一つの例がフランスでも意見が分かれているイスラエルとハマスの衝突、ガザ地区の人道状況だ。社会の分断が深まる中で、孤立感や不満を抱く若者がインターネットを通じて過激な思想に触発されていくことが背景にあるとみられる。これに拍車をかけているのがテクノロジーの進歩だ。AIが文章を翻訳することでSNSなどで外国から発信されたプロパガンダを簡単に見ることができる。テロを企てたとして逮捕された若者の1人は自宅で生成AIのチャットを使って大量の爆発物を運ぶ方法を調べていたと供述していた。フランスの世論調査では回答者の7割以上がテロの不安を感じているという。

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