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オープニング映像。
岡部たかしは20代半ばで役者を夢見た。オーディションに落ち続けたが、いつしか仕事が増え始め、49歳の時にドラマで演じた強烈かつ愛すべきキャラクターでついにブレイク。存在感を光らせて得難い脇役の1人に躍り出た。売れっ子となった今も気負いや気取りとは縁が無い。朝の連ドラには2期続けて出演中。善人も悪人も自在に演じ分ける男の素顔はどこにでもいそうなおじさん。岡部は演じ方も生き方も自らの基準に従って生きてきた。
去年夏、岡部は舞台稽古に入っていた。岩谷健司らと立ち上げた演劇ユニット「切実」は結成から13年。演出家を置かず、役者と脚本家だけで活動を続けている。衣装担当も美術スタッフもなし。テレビや映画の華やかな現場を縫ってでもこんな手作りの芝居を続けている。一人息子の岡部ひろきも俳優として活躍中。岡部は「人間は複雑で滑稽だから、どの役を演じても面白い人間やなって思われるようにしてますね。それが軸」と語った。
岡部は1972年、和歌山生まれ。高校を出て建設会社に就職したが1年ほどでフリーターに。状況し一時は劇団東京乾電池にも所属した。「役者はおもろい」という一心で報われない20年近くをやり過ごした。台本を覚えるのはもっぱら喫茶店。マネージャーによればセリフ覚えの早さはダントツ。セリフは覚えるが言い方は考えていかないという。現場で監督の狙いに耳を傾け、相手との間合いをはかりながら自らの引き出しを探る。演技プランを立てて現場に臨むことはまずない。そんな岡部の柔軟さには小さな秘密が隠れていた。
大阪で岡部が行きつけの店に案内してくれた。以前、撮影の合間に立ち寄り、店主や女将とすっかり意気投合したという。昔は飲み屋で稽古をしていたようなものだと岡部は話した。自分より遠いもののせいにばかりしていたが、40歳になって諦め「面白いことしかしない」となっていったという。すると、その頃から出演依頼が増え始めたという。
精神をリードするのは肉体。秘密の一端にはヨガがあった。始めた動機は姿勢を良くして体幹を鍛えたかったから。本人も驚くほど長続きしているという。2004年の公演から参加してきた演劇ユニットの新作の稽古が始まった。
台本はまだ完成していない。演出家の不在中は稽古の流れは岡部が見る。息子・岡部ひろきとは芝居の上でも親子の設定。本番の日、出番を待つ間に岡部はヨガで鍛えた体幹を試すようにしばし逆立ちして本番に向かった。
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