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ことしで公布から80年となる日本国憲法。前文に掲げられた平和主義と戦争の放棄を定めた9条はこれまで日本外交の礎となってきた。冷戦終結を受け世界が大きく変わっていく中、日本は憲法のもと国際社会で何ができるか問われ続けてきた。また日本を取り巻く環境が厳しくなる中、安全保障関連法の成立によって歴代内閣が認められないとしてきた集団的自衛権の行使が可能となった。いま中東情勢が不透明さを増す中で日本の対応が再び問われている。現在政府は防衛力を抜本的に強化するため安全保障関連の3文書の改定を目指している。憲法記念日のきょう、各党が討論する。
自由民主党・安全保障調査会顧問の小野寺五典は日本国憲法は出来る時の前提というのはかなり国連憲章を意識していた。したがって交戦権を否定したり戦力についても一定の制約があった。国連憲章では自衛権が認められている中で日本国憲法は自衛権を認めないというかたちになった。また軍の保有にも制約があり自衛隊というかたちで今まで運用してきたなどと話した。日本維新の会・安全保障調査会長の前原誠司は、憲法の公布が行われたのは1947年。その時はGHQが日本の再軍備を阻止するというかたちで軍の創設を認めなかった。しかし戦略環境の変化の中で自衛隊を認めるに至った。自衛隊は軍隊ではないということにしたがそれについて様々な矛盾が出来てきていると思うなどと話した。国民民主党・玉木雄一郎代表は、現実的な安全保障環境の変化に応じて当初は個別的自衛権も認めない。それを認めるようになり現在集団的自衛権も解釈で認めているということを続けてきたなどと話した。中道改革連合の階猛幹事長は、皆さん国家の安全保障という見地から議論されているがもう1つ感がえなければいけないのは人間の安全保障だと考えているなどと述べた。
エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の安全な航行をどう確保していくか。3月に行われた日米首脳会談では、トランプ大統領から航行の安全に貢献するよう要請があった。これに対し高市総理大臣は、法律の範囲内でできることとできないことがあり、可能なことには対応すると説明。この時のやり取りについて、その後の国会で日本の憲法についても言及したと明らかにした。また国会では、自衛隊の派遣を巡って停戦し事態が沈静化したあとの課題として、機雷掃海を目的とした自衛隊派遣の可能性があるかと問われ、現時点で決まっていることはないとしたうえで、将来的な派遣の可能性はその時々の状況を踏まえ法律にのっとって判断する考えを示した。
自民・小野寺氏は、停戦後であれば過去にもあったが自衛隊の機雷掃海の活動はできるという。その他、停戦が行われてる中であればやれることはあるので、まずは停戦を求めていくことが第一優先だという。維新・前原氏は、平和が安定的に継続され終息に向かっていくことが大前提でなければ派遣できないと考えている。立憲・小西氏は、憲法の規範の枠内で国際貢献を行うべき。参政・神谷氏は、自衛隊が海外で何ができるかをルール設定をやるべき。公明・西田氏は、外交努力に徹するしかないなどと述べた。小野寺氏は、アメリカからの要求がまだ具体的に来てるわけではなく、主体的な対応で考えていくという。ホルムズ海峡について、万が一停戦が合意され、危険なものがあるとすれば日本政府としても協力して掃海することは大事だという。国民民主・玉木氏は、日本関係船舶を出すことを現実的に話さないと限界が来てるなどと述べた。9条があったから派遣しなくてという指摘について、小野寺氏は実際は9条の問題以前に、日本が攻撃を受けてるわけではないので基本的には外交努力で解決することだという。
事態が長期化した時日本はどのような対応ができるかなどについて。自民・小野寺氏は、ホルムズ海峡の一部封鎖という状況の中で日本政府はかなり努力をして一部通れるようになったが、それ以外にも石油の確保は大事なので、ホルムズを通らずに石油を積み出すやり方などがあり、今はアメリカからも購入できてるので一定の解決はできるという。仕入れの安全保障を保つことは重要とし、中道・階氏は、長期的な対策も必要だが、目下の国民あるいは中小企業などをどう救うかに、政府に補正予算の編成を求めている。同時にタンカーの通航を助けるために、防衛省設置法にある調査研究活動がどこまで今の状況で可能なのかを考える必要があるとした。国民民主・玉木氏は、ペルシャ湾内に入って行くことは現行の憲法や法律の中ではできないので分けて考える必要があるとし、安全保障の目的は国民の命と生活を守ることなので、湾内にいる人をどう助けるか。夏の電気・ガス代対策を含め早急に経済対策が必要だとした。公明・西田氏は、派遣できるようになったときの備えを今から準備する必要があるなどとした。参政・神谷氏は、個別にイランと交渉すべきだとしている。石油製品のサプライチェーンも見直すことも必要。維新・前原氏は、今回NATOはアメリカの要請に一切応じていないのは、大義がないからだと考えてるからだという。エネルギーは85%、食料は60%以上海外に依存してる日本が、憲法があるから何もできないではなく、憲法を変えてでも権利としてやれるような状況にするかが憲法改正の議論のポイントだという。立憲・小西氏は、日本主体の和平仲介、日本国民の生存戦略を行うべきなどと考えている。
イラン情勢が憲法9条を巡る議論にどんな影響を与えるかについて。中道・階氏は、憲法9条はアメリカと日本の国力に差がある同盟関係において大きな役割を果たしているという。憲法9条という制約があることがアメリカの戦争に巻き込まれるリスクを回避することに繋がっているという。9条を守ることにより、アメリカと一定の距離を保ちながら同盟関係も維持できることにつながると思っている。9条2項を変えた場合日本のできることについて、維新・前原氏は大きく変わるという。本当に我々の食料やエネルギーが入ってこなくなったときにどう対応するかについて、更地から議論するという意味においては議論することは必要だとした。国民民主・玉木氏は、自衛隊明記論で改憲したとしても自衛隊ができることに変わりがないことになっているので、大事なことは変えることで追加で何がしたいのかなどを明確にしていく冷静な憲法議論が必要だという。自民・小野寺氏は、今の9条2項の規定であれば自衛隊は何をするかという組織が明確ではないとし、我が国の平和を守るのが自衛隊の役割ということ、必要な自衛の措置ができることを明確にすることが重要などと述べた。
政府は先月、防衛装備移転三原則と運用指針を改正した。これまで防衛装備品の移転は非戦闘目的の5類型に限定してきたが、これを撤廃して殺傷能力のある武器の移転が原則可能になった。移転の可否は案件ごとにNSCで審査する。また移転が際限なく拡大しないようにするための歯止め策として、移転先は装備品の輸出に関する協定を結んだ国に限定する他、戦闘が行われている国への移転は原則不可としている。一方、安全保障上の必要性を考慮し、特段の事情がある場合は例外的に認めるとしている。また国会の関与のあり方については、政府が移転を認める決定をした際に全ての国会議員に事後的に通知するとしている。
玉木氏は「我が党は賛成している。国内の防衛産業育成のためにも類型で縛る必要はない。類型ではなく対象国ということで一定の歯止めがかかったことは評価したい」などと話した。山添氏は「戦争・紛争を助長するような内容になっており撤回すべきと考える」などと話した。前原氏は「同盟国・同志国との連携強化と日本の防衛産業の育成が大きな目的」などと話した。西田氏は「国民の半分が反対していることを政府は重く受け止めるべき」などと話した。小西氏は「憲法との適合性や政策上のデメリット等について十分な議論がなされていないのが問題」などと話した。小野寺氏は「防衛装備の共有は抑止力の強化につながる」などと話した。古川氏は「国民に対して今回の見直しがどういった意味を持つのかについて正しい情報が伝わっていないと感じるので、丁寧な説明が必要」などと話した。神谷氏は「武器を買うけど与えはしないではこの先協力は得られない。また自国で作れるようにしておかないと防衛力は高まらない」などと話した。階氏は「戦闘中でも特段の事情があれば輸出できるのは非常に問題。移転を決める前に国会の決議を行うようにすべき」などと話した。奥田氏は「戦争に巻き込まれた時に誰が責任をとるのか。そこを定めてから軍拡の議論を行うべき」などと話した。
政府は防衛力を抜本的に強化するため国家安全保障戦略など安全保障関連の3文書の年内に改定を目指している。主な論点は無人機の大量導入やAIの活用など新しい戦い方への対応。継戦能力の構築。経済安全保障分野での取り組みの強化など。また、3文書に防衛費の新たな水準が書き込まれるかも焦点。現在の3文書取りまとめの際に責任者だったという自民党・小野寺氏は「ウクライナへの侵略戦争や中東での戦い方を見て向き合えるように戦力を上げなければ日本を守れない。今までは弾道ミサイルの防衛はやっていたが今は大量のドローンも飛んでくる。ウクライナを見ても弾薬の供給など戦争の長期化に備える必要がある。石油やレアアースなど経済安全保障部門も含めた形で戦略を作っていきたい。」などとコメントした。
立憲民主党・小西氏は「日本を侵略から守るために政策的に合理性のある防衛力の整備は進めていくべき。ただ、前回の安保3文書では安全保障経費を5.5兆円から11兆円まで増やすとしており、防衛省は5年間で43兆円とした。根拠を求めたが143項目の施策と費用を並べた紙しか出されず、対GDP費2%ありきで予算を決めたとしか思えない。今回の検討では憲法9条の範囲内か、予算上の積み上げをチェックしていく。」などとコメント。参政党・神谷氏は「賛成。国際情勢が変わっており、本来は冷戦が終わった辺りで議論しないといけなかった。憲法も含めて国防体制を考える必要があリ、国民も巻き込んで議論するべき。」などとコメント。中道改革連合・階氏は「43兆円の防衛費の財源をどうするかで苦しい議論を続けている。これからNATO諸国はGDP比3.5%にするといった議論もあり、それを念頭に置いた改定であれば難しく、現実的な事も考えた議論をしてほしい。」などとコメント。
れいわ新選組・奥田氏は「軍事大国のカロリーベースの自給率は70~100%を超えている。平和憲法の防衛は25条とセットで考え、生存権をまずは守るべき。6人に1人は貧困で、そこを抜きにして軍拡はあり得ない。」などとコメント。日本維新の会・前原氏は「先ほど武器の話があったが、一番大きな防衛産業である三菱重工も全体の売上の5%で、どんどん防衛産業から企業が撤退しており、自国を守れる基盤が失われてきたから三原則を見直した。3年前の文書の見直しの際はアクティブ・サイバー・ディフェンスなどが中心で、AIで脆弱性を見つけて攻撃するようなものなども出ている。新たな時代に備えるためにも3文書を見直すことが大事。」などとコメント。共産党・山添氏は「三菱重工などは軍事部門が3年で倍増している。厳しい安全保障環境を理由に日米同盟の抑止力強化だと政府は言ってきた。平和のための抑止力だと言いながら抑止の破綻を想定して戦争準備を進めるのは矛盾。アメリカが求めるGDP比3.5%の軍事費は今の倍以上。軍拡ではなく対話外交こそが必要。」などとコメント。
国民民主党・玉木氏は「防衛力の強化など総合的な安全保障体制が必要。また、新しいAIモデルの登場により現行のシステムなどが全部破られる想定で組み立てないといけない。核抑止がAI抑止に代わりつつあり、核の不拡散を国際的に閉じ込めたようにAIに対しても一定の国際的な管理などを考える必要がある。」などとコメント。チームみらい・古川氏は「時代に合わせた形で防衛のあり方を見直すことは必要。AIがインフラにサイバー攻撃を仕掛けるのが現実にあり得る中で対応に向けた整備などが必要。一方で防衛力を強化する際に法的な手続きを軽視することなどはあってはならない。国民の理解も得ながら進めていくことが重要。」などとコメント。公明党・西田氏は「トランプ戦争後を見据えた戦略の見直しが必要。専守防衛や非核三原則の堅持は必要。10年前の平和安全法制について与野党の5党で合意した文書では国会の関与などについてどうしていくかという宿題が残っており、こうした事態への関与などについて練る必要がある。」などとコメント。自民党・小野寺氏は「与党で一定のあり方をまとめ政府に提言し、政府が改定を年内にやっていく。今後の防衛費の水準や財源についても議論が出てくる。今日の指摘を受けて党内でも対応するように検討していきたい。」などとコメントした。
社会民主党・福島瑞穂氏は「日本は平和外交に徹し戦争ではない選択をすべき。憲法を変えさせてはいけない。憲法9条に自衛隊を明記することは世界で戦争をする自衛隊の明記。緊急事態条項や国会議員の在任期間の延長は国民の選挙権を奪い、基本的人権を制限する」、日本保守党・百田尚樹氏は「世界情勢とか関係なく自国は自国で守る基本的な考え方を取り返そうと思う」などと話した。
れいわ新選組・奥田さんは「安全保障や防衛は軍備という刷り込みを今すぐ捨てて下さい。憲法の檻に政治家を閉じ込められるのは主権者のあなただけ」、日本共産党・山添さんは「どの世論調査でも改憲は政治の優先課題として求められていない。憲法を守り活かす政治に力を尽くしたい」、チームみらい・古川さんは 「時代の変化に合わせて憲法を変えるための議論をすること については前向きに捉えている。手続き面の整備も求めていきたい」、公明党・西田さんは「憲法改正論議を進化させていく必要があると思う」、参政党・神谷さんは「権力を縛るだけでなくて、これから我が国をどういうふうに国民ともっていくかを議論してこれからの厳しい国際情勢のなかで生き残れる日本の形を考えていく必要があると思う」、立憲民主党・小西さんは「憲法の三大基本原理を守り、権力を制限する方向で議論し、かつ国民の自由や権利を守る方向で議論するのが方針」、中道改革連合・階さんは「時代に対応した憲法改正の議論は必要」、国民民主党・玉木さんは「民主主義の基盤を整えるような憲法改正をまず優先的にやってはどうか」、日本維新の会・前原さんは「 9条の2項の削除をしっかりやっていかなくてはいけない」、自民党・小野寺さんは「憲法改正は必要だと思う」などと話した。
エンディングの挨拶をした。
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