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オープニング映像。
宮崎県延岡市の延岡城・内藤記念博物館にシシド・カフカがやってきた。現在昆虫の魅力を伝える展覧会を開催している。さまざまな作家の虫たちのアートが展示されている。その中に彫刻家の福田亨の作品が2点ある。カメノコテントウは1センチほどで、実物大。これから飛び立とうとするかのよう。もう一つはゲンゴロウ。今まさに水中にもぐらんとする迫真。これまで独創的でユニークな虫たちを目指してきた福田さん。最新作が完成した。
一頭の蝶が羽を休めている福田亨の最新作。茶色、緑、オレンジとさまざまに彩られた羽に翅脈と呼ばれる黒い筋は1ミリにも満たない細さ。水を吸い上げてのどを潤している。きょうの作品は福田亨作「吸水」。地面におりた蝶が水を飲んでいるのは最も無防備で危険な行為。決定的な場面を捉えた木彫作品。
福田亨の「吸水」はイシガケチョウをモチーフにしていて、その羽根の模様は塗装ではなくすべて木を使って色の違いを表現している。美術史家の山下裕二は福田亨の作品について、細緻さに驚き、着色をしていないことのニ度の驚きがあると語った。Niwa -雪解け-という作品は、待ちわびた春に舞うクジャクチョウ。その造形の確かさと、羽の美しさ。顔を出したフキノトウの細やかさ。これほどの作品をどうやって作っているのか?
シシド・カフカが福田亨のアトリエへ。使うノミは50本、彫刻刀は89本、ノコギリは14本に使い分けている。現在製作しているのは「オオゴマダラ」。一個一個白い模様を埋め込む象嵌という作業をしている。象嵌は下地にある模様のくぼみを作り、同じ形のパーツを嵌め込む技法。彫刻に象嵌することで立体木象嵌になるという。象嵌したパーツを立体に組み上げることで新しいジャンルの彫刻。積み上げられたアトリエの木片があり、積み上げられたさまざまな木片が絵の具代わり。センノキは爽やかな薄緑色だが、倒木が緑腐菌になることでこの色になるという。現在、福田さんの手持ちの木材は全部で150色ある。
イシガケチョウは西日本一体に分布し、渓谷沿いの照葉樹林などで多く見られる。その名の通り、石崖のような羽模様が特徴。蝶の本体に使う木はソヨゴ。木材の中でもダントツの白さで工具で羽を広げた姿に切り出していく。ここから象嵌の作業だが、複雑な色が組み合わさった部分は、色が合う木を探しペロバロサを木材にした。模様の形に切り出し、羽に同じ形のくぼみを作り、はめ込んでいく。一度でうまくはいかず少しずつ形を合わせていく。形が整ったら接着剤を入れてはめ込んでいく。接着剤が乾いたら表面を削っていく。
94年に北海道小樽市に生まれた福田亨は豊かな自然の中で、生き物と親しみながら成長し、美術工芸を学ぶ高校へ進学した。恩師の手塚昌広先生は福田が製作した「立冬」という作品について語ったが、ただ石が地面に転がっているばかりの絵。しかしその絵に、先生は他にない才能を持っていると激励すると、福田がこれだというものを見つけたように、石一つ一つにこだわるように。その尽きない探求こそが福田の選んだ道。やがて木工へと興味を示し、加工の仕方を身に着けた。大好きな虫たちを培ってきた技で表現したいと、たどり着いたのが立体木象嵌だった、現在31歳で、妻がいて幼い子どもがいるパパだという。
イシガケチョウの奥の色が密集している部分は、あらかじめ複数の木を組み合わせてからはめ込む。赤茶、白、黒をそれぞれの素材でミリ単位の作業が続く。それぞれの素材で羽の模様が完成した。そして翅脈を作っていく。ほそさは0.3ミリで、限界まで補足薄くしていく。折れないように慎重に、丁寧に行った。羽の裏側を薄く削っていくが、象嵌した部分まで削ってしまうとそこから羽がバラバラになってしまう。ギリギリを見極めながら、模様も造形していく。
さまざまな器官が集中している頭部は、別パーツとして制作。面倒なのは、顔の中間に細いラインがあること。コクタンの木をカンナで薄く切り出し、薄く削ったコクタンを色の異なる木で挟み接着していく。頭部の形に削り、こうして頭部のパーツが出来上がった。脚部も作り、蝶本体のパーツが完成した。
次に作るのは水滴。
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福田亨の「吸水」ではコクタンが使用され、上部に紙をはりつけて水滴のあたり部分をつけたら周りを掘り下げる。残した水滴は2ミリ。彫刻刀で削りある程度丸みをつける。
水滴作りはヤスリの目を細くしながら、さまざまなヤスリの種類で磨いていく。最初のヤスリがけからどんどん目を細かくしていき、だんだん光沢が出てくる。最後は3000のヤスリで削っていく。こうして水滴が完成。
蝶と水滴の位置が決まったら必要な長さをはかり、口吻をつくっていく。カーブを付けるための型板にカンナで削り出したコクタンを挟み込んでカーブの形を定着させ細く削ってく。こうしてパーツが完成した。脚部などを本体に取り付けて完成。
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福田亨の作品「吸水」が完成した。凄まじい集中力と技の結晶。命の力強さと美しさがある。
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福田亨の作品「吸水」は工+藝 京都 2026という展覧会で展示される。
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