2023年12月3日放送 9:00 - 10:00 NHK総合

日曜討論
“地球沸騰の時代”脱炭素社会への道筋は

出演者
山下毅 星麻琴 
(オープニング)
オープニング

ヨーロッパ史上で最大規模の森林火災がギリシャで起きた。ケニアでは干ばつが起きた。観測史上最も高い平均気温になったイタリア。国連のグテーレス事務総長は、地球沸騰の時代が訪れたと述べた。世界では異常気象による被害が多発。COP28が先週開幕。平均気温の上昇を1.5度に抑えることが目標となった。岸田首相も気候変動問題に取り組むという。脱炭素社会への道筋を話し合う。

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(日曜討論)
津波注意報 気象庁が全て解除と発表

地球沸騰という言葉を使って強い危機感を示した国連のグテーレス事務総長。経済成長と環境問題をどう両立させるのか。議論していく。気象庁は鹿児島県の奄美群島、トカラ列島、伊豆諸島、小笠原諸島、九州から千葉にかけての太平洋沿岸に発表していた津波注意報を解除した。

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COP28 気候変動対策は

気候変動の現状を見ていく。国連の機関によると、世界の平均気温は、観測史上最高の見込みだ。産業革命前と比べ、1.4度上昇している。日本の平均気温は、今夏の平均気温+1.76度となり、125年間で最高。UAEで、COP28が開幕。化石燃料の削減、再生可能エネルギーの拡大、被害を受ける途上国に支援する基金、対策の進捗・評価などが焦点だ。再生可能エネルギーについては発電容量を3倍に引き上げる。伊藤環境大臣は、気候変動は気候危機と言える状況だとのこと。温室効果ガスが原因だろう。75パーセントは二酸化炭素だ。この削減が喫緊の課題となる。パリ協定で決めた-1.5度以内の上昇に抑えるには、かなりの削減が必要となる。日本は2035年までに二酸化炭素の排出削減を46パーセントという目標がある。できれば50パーセント削減をしたい。2050年には0にするという。すでに20パーセントの削減ができている。日本には省エネ技術がある。さまざまな国々に提供することもできる。分断が起きないような役割も日本は担っているとのこと。

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国際NGOのメンバーの小西さんに聞く。気候変動の問題は取り返しがつかないという途上国側。損失と損害に特化した基金は合意された。気候変動の被害を受ける途上国を支援するという。日本などは620億円拠出表明している。パリ協定はユニバーサルな協定だが妥協している。自主性に委ねられている。このままでは2.5度ほど気温は上昇する。西村康稔経産相は、損失損害の基金が決定したことは多くの国に歓迎されている。UAEがリーダーシップを発揮したという。大きな意義がある。日本の技術で世界をリードしていくべきだ。諸富さんは、日本の気候変動対策は、現在削減はされてきているので、さらに進めるべきだ。今後、難易度は上がるだろう。政府のインセンティブ、支援策は追加導入しなければいけない。目標実現に向けて動かさなければいけない。夫馬さんは、食品企業なども多くUAEに入っているという。世界の動向がどうなっているのかを見極めようとする企業は多いという。

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温室効果ガス削減 日本の目標は

グローバル・ストックテイクとは、各国の対策で、5年に1度、進捗を評価し、COP28で初めて実施するという。COP21のパリ協定の目標で、世界の気温上昇を産業革命前と比べ、1.5度以内に抑えることが上げられた。各国の対策強化に繋げられるかが焦点となる。各国は温室効果ガスの排出削減にむけて、2030年までに、目標を掲げた。日本は、2013年度比で、46パーセント削減。アメリカは2005年に比べ50-52パーセント削減する。EUは19901年比で少なくとも55パーセント減らす。中国は減少に転じさせるという。目標を達成しても、今世紀末までに2.5度-2.9度上昇する見込みだ。伊藤環境大臣は、あらゆる政策を導入し、達成させるという。行動変容が必要となる。ひとりひとりが環境に配慮することが必要だ。環境省は地域に置いた目標を上げている。省エネ技術も大事になってくる。小西さんは、日本の現状について、いまのところ、順調だという。それでも、先進国は50パーセントを目指さなければいけない。日本は2035年の目標である60パーセントを目指してほしい。夫馬さんは、46パーセントについては懐疑的だ。日本の政策が、達成できると答えた企業はわずか9パーセントだ。現状の政策レベルでは達成できないと考える民間人は多い。西村康稔大臣は、再生可能エネルギーについては太陽光は世界で最大級の普及率だという。規律も強化している。これからは、ビルの上などに張り巡らせることになる。日本発の日本の材料で開発・普及を急ぐという。風力については浮体式の洋上風力の開発を進めている。地域産業の育成も含めてすすめていく。原子力発電所は今12基動いている。原子力規制委員会の許可はあと3基ある。再稼働をすすめたい。審査中のものもある。20数機が稼働できるようにしたいとのこと。環境省、国交省と連携をしながら、省エネを家庭でも実施してほしい。

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今の政策では1.5度に抑えられないという指摘もある。諸富さんは、電力のエネルギー転換が問題だという。石炭火力発電が最大に寄与している。石炭火力からの排出をどうやって下げていくのか。それが課題だ。国際的にはフェイスアウトという。段階的廃止をするという。日本はこれを拒否している。段階的廃止の議論は避けられないだろう。鉄鋼産業などのエネルギー集約型産業からの排出をどう削減していくのかも課題となる。水素還元方を導入することも考えなければならない。製法転換も必要だ。期待をしている。自動車の交通セクターについては、EVを増やすことは避けられない。日本は遅れている。EVで発展することは大切だ。小西さんは、目標を出していくことが大切だという。日本の場合、9割がエネルギー起源のCO2となる。日本が温暖化削減目標を考えるときに、多くの省庁がいっしょになって話し合う体制が必要になるという。伊藤環境大臣は、COP28の結果を受けて、目標を決めていくという。西村康稔大臣は、再来年のCOPを目指して、目標を提出するという。来年には、2035年の議論をはじめるという。46パーセント削減を取り組む。原子力発電所の再稼働などにも取り組むという。送電網の整備を急ぎたいという。各地に送れるように設置するという。再エネ、原子力を車の両輪で進めるという。

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化石燃料の削減は

COP26では、石炭火力発電所について、段階的削減で合意している。COP28では、EUはなどは化石燃料全体の段階的廃止を訴えている。各国の間には意見の隔たりがある。今後の交渉の焦点になっている。小西さんは、日本は段階的廃止を推進してほしいという。石炭火力の廃止計画を持っていないのは日本だけだ。対策をとっていない。アンモニアを20パーセント混焼するというが、高いコストになる。世界のスタンダードからは離れている。日本は脱炭素にむけ、石炭や天然ガスを用い、アンモニアや水素を混ぜ、温室効果ガスを減らそうとしている。西村康稔大臣は、石炭火力発電については、新設しないという。日本は石炭火力発電のシェアが30パーセント。2030年までには19パーセントまで減らすという。イギリスは10年間で2パーセントに減らした。電気料金がイギリスは高い。ドイツも電気料金は高い。石炭火力発電を減らしながら、アンモニアについては段階的に引上げる。アンモニア専焼にするという。マレーシアでは、IHIの技術で、アンモニア専焼にする。アジアの国々に日本の技術でCO2削減で貢献するとのこと。夫馬さんは、機関投資家の多くは、石炭火力発電のアンモニア混焼が、日本のCO2削減に繋がるかはわからない、もしくは貢献しないと言っているとのこと。国内の機関投資家の中でも混焼は懐疑的だ。日本はトランジション・ボンドという国債を発行できるようになった。脱炭素社会への移行に資する使い道に限る債権だ。アンモニアが石炭と同等の価格水準になることが条件になっている。アンモニアを混焼することについては、政府としては検討が必要になるだろう。民間企業は厳しい目で見ている。

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IHIイギリスドイツマレーシア岸田文雄

化石燃料の段階的廃止について、COP28に日本はどのような姿勢で臨むのか。日本はかつて化石賞に選ばれている。化石賞とは国政的な環境NGOが気候変動対策に消極的だと判断した国を選ぶ賞だ。石炭については、新規の国内石炭火力発電の建設はしないという。石炭火力は、アジアでは69パーセント使われている。これをやめたら、経済は成り立たない。実現可能な目標にするという。財政支援、技術協力をアジア各国へ行っていくという。1.5度の目標を達成することが大切だ。諸富さんは、石炭火力を減らすことなく、温室効果ガスを減らすことは不可能だという。水素とアンモニア混焼で石炭火力を使い続けるのが日本の方針だ。製造プロセスが問題だ。製造プロセスでは大量にCO2が出る。コストが高い。輸入が想定されている。エネルギー安全保障の面から、海外依存が増える。アンモニアは有毒性だ。大気汚染物質を放出することになる。CO2は減っても、新たな大気汚染問題が起きることになる。段階的廃止をしながら、再生可能エネルギーに置き換えていくことが必要だ。コスト的にも環境的にもいい。西村康稔大臣は、COP28の冒頭で、原子力の容量を3倍にすることが合意されている。再エネと原子力を車の両輪ですすめていくという。石炭火力についてはマクロン大統領が、イニシアチブをとって無くしておこうとしている。ドイツもイギリスも、石炭火力は伸ばしている。フランスも伸ばしている。エネルギーの安定供給を考えてのことだという。石炭はCO2の排出量が多い。技術のイノベーションで克服していく。アンモニア、水素などは課題はあるが、中東に依存するわけではない。世界各国が競争をしている。多角的な供給源を求めて、進めていく。EVも市場を確保する。水素自動車も世界から先行してはじめている。水素は市場が広がれば価格は下がる。法整備も考えている。アンモニアも肥料で使われている。船舶用アンモニアの利用も広がっている。水素、アンモニアも進めていくという。ガソリン補助金などの延長は、脱炭素の流れに逆行しないかと司会者が西村康稔大臣に聞く。激変緩和措置として継続していくという。省エネ型の経済に変えていくことが必要となる。EVでも水素自動車でも、開発を進める。急速にすすめると、電池の鉱物を特定国に依存する形になってしまう。太陽光パネルは8割が中国製になっている。全固体電池は日本がリードしている。日本の技術で克服をすると考えているという。

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再生可能エネルギー拡大は 課題は

再生可能エネルギーをめぐってはCOP28の議長国UAEが2030年までに再生可能エネルギー容量を3倍まで引き上げエネルギー効率を2倍に改善するという誓約に110カ国以上が合意したと発表した。原子力の利用についてアメリカ政府は2050年までに世界の原発発電容量を3倍に増やすことを目指す宣言を発表した。日本など20カ国以上が賛同した。日本の電源構成は2022年度は再生可能エネルギーは21.7%、原子力は5.6%で国は2030年度までに再生可能エネルギーを36~38%、原子力は20~22%に拡大するとしている。伊藤さんは「日本は太陽光は世界第3位で面積に対しては世界1位となっている。日本の 再生可能エネルギーを3倍は必ずしもそうではないが、世界で3倍にすることは必要。 日本は発展途上国に技術供与などで協力していきたいと考えていて、発展途上国で減った分を按分すること進めていきたい。諸富さんは「日本では太陽光発電が停滞している。資材高などでコストが上がってきている。化石燃料価格の高騰で電気代が高くなってきているので太陽光で自家発電で自分で消費することで電気代を節約すれば経済性を持つタイミングに来ている。30年代にかけては洋上風力に国運かけて開発し産業化していくべき」などと話した。

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京都大学第28回気候変動枠組条約締約国会議

小西さんは「再エネのポテンシャルを追求してほしい。日本産業のサプライチェーンのプレッシャーもあるので再エネが難しいといっている」などと話した。伊藤さんは「再エネはなるべく伸ばそうと思っている。理想論を見れば再エネで賄えればいいが、現実は1年後に3倍はできない」などと話した。西村さんは「再生可能エネルギーの投資のチャンスは広がっていると思う。多くの企業が太陽光などに投資をして企業側が直接買うことで企業側も価値が上がるのでこの取り組みを歓迎している。今後、いろんなものが国民の負担をかけることなく導入進めるような状況も生まれてくるのではないかと思う。地熱ではケニアなどで日本の企業が協力して進めている。風力でも参画して進めている」などと話した。

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WWFジャパン環境省
「GX推進法」 ねらいは 課題は/脱炭素社会へ 経済との両立は

GX推進法について議論。諸富さんは「大きな前進だと思っている。20兆円という規模も良い規模」と評価。その一方で「カーボンプライシングの導入が遅すぎる。10年待ってる間に勝負が決してしまうのではないか」と懸念を示した。夫馬さんは「GX推進法の中でエネルギー以外の重工業もたくさんのことが記載されており、ここは高く評価したい」とコメント。一方COPでほとんど二酸化炭素の話しかなく、そこが残念だと話した。諸富さんの発言に対し、西村大臣は「先行すべきはイノベーション。勝負は技術開発。先行的に企業には排出削減に取り組んでもらい、取り組まない企業は結果的に2026年以降に向け負担が高くなるという制度設計にした。まずは積極的に排出削減に取り組んでもらうことが、企業にとってもプラスになる」と話した。

脱炭素社会 実現へ 何が必要か/気候変動対策 日本はどう臨む

脱炭素社会実現へ向けて何が必要か。小西さんは「重工業の移行の色々な道筋を出すのは大事だが、1番大事なのはグローバルスタンダードであること」などとコメント。諸富さんは「日本の企業や産業には先んじて取り組んでもらい、勝利を収めて欲しい」とコメントした。夫馬さんは「中堅・中小企業の対策もぜひ進めてもらいたい」などと強調。そして日本は世界に対してどう貢献していくか。西村大臣は「技術・イノベーションで世界をリードし貢献していきたい」と意気込みを語った。また経済安全保障の概念や、中小企業への支援についても言及。さらに原子力の再稼働や次世代型の原子力についても進めていきたいとしている。一方伊藤さんは「まず日本がパリ協定に則した二酸化炭素削減、色々な制作を推進していきたい。またもっとグローバルスタンダードを主体的に作っていく役割を果たしたい」とコメントした。

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