2024年3月31日放送 9:00 - 10:00 NHK総合

日曜討論
外国人材どう受け入れる 人手不足は 共生社会は

出演者
伊藤雅之 星麻琴 
(オープニング)
オープニング

日本で働く外国人労働者は204万人余(去年10月)と過去最高。人口減少が進む中、外国人材の受け入れをどう考えればよいのか。人手不足が深刻化する日本。2040年の外国人労働者は674万人必要。政府は技能実習制度を廃止し育成就労制度を設ける方針を決定。今月、出入国管理法などの改正案成立を目指す。

キーワード
国際協力機構岸田文雄
(日曜討論)
コーナーオープニング

人口減少が進む時代、外国人材をどう受け入れていけばいいのか考える。

外国人材 現状は 新制度どうみる

外国人材の受け入れをめぐり政府は新たな制度を導入する方針。現在の技能実習制度は目的を「技能移転による国際貢献」としているが実際は労働環境が厳しい業種の人手確保の手段となっていて、目的と実態がかけ離れているといった指摘もあった。新たな育成就労制度では目的を「人材確保と育成」に変更する。最長5年、働きながら技能を学ぶことができ実習終了後は原則帰国。新たな制度では基本3年で一定の専門性、技能を持つ水準まで育成し長期間産業を支える人材を確保する方針。制度の変更点を紹介。高橋進は「この先、女性や高齢者の活躍や生産性の改革をしても外国人労働者へのニーズは高まる。技能実習制度の問題を解消するため新しい制度に移行する」、指宿昭一は「新制度は技能実習制度の存続でしかない。今回の改定は極めて不十分」、万城目正雄は「制度は外国人がキャリアアップをしながら中長期にわたり日本で働き生活できる道が示されたこと、企業にとっても中長期にわたり学国人材を確保できる。帰国を前提とする技能実習制度とは大きく違う」などと考えを示した。

外国人材の受け入れに関連して討論。吉水慈豊は「重大な決断に敬意を表したい。しかし議論が本来あるべきだった技能実習制度の根本的な問題点と背景に焦点を当てながら問題解決につながる制度設計に進展すると期待していたが、そこに至らなかった」、毛受敏浩は「技能実習制度は日本に都合のよすぎる制度だった。外国人材の世界的な獲得競争の時代に入っている」、岡部みどりは「技能実習制度の人権侵害の観点から海外から批判されていた。真正面から対応する点では評価できる。他方で改正は2018年の特定技能制度を本格化させるものだと捉えている。労働や雇用政策、マクロ経済政策、外交政策など包括的な政策連携のための組織体制が必要」などと考えを示した。

技能実習制度の課題は「転籍制限」は

技能実習制度をめぐる課題は、法令違反の事業所が7247件あること。技能実習生の失踪は9006人に上る。要因の一つとして指摘されているのが別の企業などに移る転籍の制限である。監理団体のあり方についても見直す。許可要件を厳格化、外部監視の強化による独立性、中立性を確保するなどとしている。指宿昭一は「職場で問題があった時に転籍が制限されると離脱して制度の枠外で働くことになる」、高橋進は「やむを得ない場合、転籍できることになっていたが実態はできていなかった。激変緩和で分野によっては制限を設けることを経過措置都市て認めることも提言」「法改正しなくてもできるよう提言」、万城目正雄は「地方での人材確保をどうするか考えなければならない」、吉水慈豊は「監理団体に相談すれば転籍できるが機能していなかった」などと考えを示した。

キーワード
出入国在留管理庁厚生労働省
技能実習制度の課題は 監理のあり方は

外国人材の受け入れに関連して討論。吉水慈豊は「トラブルが起きた時に調査するが、実態がなかったかのようにされ足り改善が進まない」、万城目正雄は「(悪質なブローカーなどは)許可を厳格化していくことなどについてはまだ道半ば。監理団体の能力を向上していくこと。求人求職の斡旋を行う措置も盛り込まれた。監理団体、機構、ハローワークが連携してしっかり求人求職のあっせんをして行く」、毛受敏浩は「民間に外国人実習生の斡旋を任せていることが根本の問題。地域ぐるみで受け入れていく透明性を」、指宿昭一は「民間に丸投げすることで費用が発生し人権侵害も発生している。受け入れ企業が監理団体にお金を払っているので監理しろというのが無理」、高橋進は「監理団体の許可制を厳しくする。悪質な団体を排除する方向。一方、優良な団体にはインセンティブを与えることも考えている。外国人労働者に現地で日本の情報提供をすることも考えている」などと考えを示した。

外国人材の受け入れに関連して討論。岡部みどりは「各国とも成功していないというのが実情。送り出し国側の問題も大きい。ヨーロッパは包括的な政策パッケージで交渉しようとしているが相手の国は能力不足と逃げているパターンもある」、吉水慈豊は「悪いブローカーを撃退しようとしても言葉巧みにやってくる」、高橋進は「今からでも変えられることは多々ある」などと考えを示した。

外国人の獲得競争は

日本で働く外国人労働者は204万8675人。2040年の外国人労働者は674万人必要とされている。アジア諸国から海外に移動する労働者を巡っては国際的な競争が起きている。岡部みどりは「日本という国に魅力がないと人がやってこない。基本的には日本人が暮らしやすい国。賃金が高くて物がきちんと買えて裕福な暮らしができるという評判が対外的に認知されることで有望な外国人が集まる」、高橋進は「日本の給料は上がっていない。円安にもなっている。一方、送り出し国の所得は増えている。台湾、韓国も人手不足で日本と競合している国もある。日本を選んでもらえる理由は何か考えること。どうやって共生社会を作るか」などと考えを示した。

キーワード
出入国在留管理庁厚生労働省国際協力機構
技能実習制度の課題は

技能実習制度では母国送り出し機関や仲介者に多額の手数料を支払うことも課題になっている。育成就労制度は受け入れ企業と費用を分担する。 指宿さんは借金が人権侵害の原因となっているとした。年収の3、4年分あり借金を返すために日本で働くため辞めたり帰国したりすると借金が残る。企業と分担するのではなく企業が担い、労働者から手数料を禁止するべきだとした。吉水さんはベトナムで調査をすると給料以上にセンターの教育費などをとっている。80万円の借金をして日本で来た場合、受入企業が雇用条件通りのお給料を払っていて2、3年目以降は貯金になるシステムが日本側で守られていれば技能実習制度の廃止にはならなかったとした。万城目さんは仲介斡旋する業者にお金を払うことは韓国や台湾でも発生するという。アジアの抱える共通課題であるため国際移動ルールの情報交換を協議する必要があるとした。高橋さんは労働者に負担をさせないことが原則で事務手数料はある程度必要であるが高額の手数料が発生しているため止めたいとした。

キーワード
ベトナムミャンマー国際協力機構技能実習制度育成就労制度
外国人材にどう向き合う

日本の人口に外国人が占める割合は2020年時点で2.2%である。2070年には10.8%にまで増える。育成就労制度が導入すると永住者が増えることから出入国在留管理庁は故意に税金や社会保険料の未納や滞納を繰り返した場合は1年以下の懲役や禁錮になった場合は永住許可を取り出す他、他の在留資格に変更できる制度を見直す方針をだした。NHKが2020年に行った外国人が増えることで期待できることの世論調査では新しい考えや文化がもたらされるが37%などとなっている。不安については言葉や文化の違いでトラブルになるが34%などとなっている。

キーワード
世論調査出入国在留管理庁国立社会保障・人口問題研究所日本の将来推計人口日本放送協会育成就労制度

毛受さんは多文化共生が行われ、国の方針が無い中で限界も来ているとした。新宿区は条例で外国人共生のまちづくり条例をつくり協議をしている。昨年、アンケートをとると日本人向けのアンケートでは近所に外国人が住むことが好ましいと答えた人は好ましくないが4倍多いポジティブな結果となった。新宿区は日本語学校が多いことや外国人がビジネスやレストランをすることで活力になっている。地域に外国人が増えることで新宿区のようになるのかそうでないのかで対立や分断になるのかは日本の将来の問題になるため国が方針を出すべきだとした。高橋さんは在留資格に対する見直しの必要性について有識者会議で出たわけではないが他の制度と整合性がとれるようになるとした。悪質なケースや海外でもある制度があるためこれから国会で議論すべきだという。指宿さんは永住の取り消しは外国人に選ばれない国にしたいのかと驚いたという。定住化を阻止したいことを多くの外国人に発信していることと同じで在留資格を不携帯なだけで入管法違反でとりけされるかもしれない。税金も払えないかもしれないことは取り消しは辞めるべきだとした。岡部さんはアメリカでも似たルールがあり厳しいルールを作るのは移民のことが多いという。偏見で見られるのは生活が苦しくなり、抑止効果もあるとした。吉水さんは驚いたが保険料や年金未払で建築カードがとれないためルールぎめは必要だとした。

キーワード
新宿区

万城目の研究チームによる都市と都市以外の生活と給与の満足感に関するアンケート調査では、特定技能の人の都市部での満足度がいずれも低かったとのこと。万城目は理由についての分析には至っていないとしたうえで、地方の技能実習は社内レクや地域の祭りへの参加など地域で生活する支援が行われているのではないかなどとして、満足感が何に左右されるのかを検証しながら考えることが必要などと話した。一方毛受によると47都道府県のうち22の道県で在留資格として最も多いのが技能実習生だそう。そのため安心して働ける環境があることが重要で、一時的な労働力ではなく外国人材を育成して企業の重要な一員にするという認識に変える必要があるなどと話した。また今後の受け入れに必要なこととして岡部は、単に来やすいためではなくあえて日本が選ばれるような魅力作りを行う必要があるなどと話した。指宿は現在の制度は使い捨て前提の共生となっているので、希望者が定住化できる制度を考えなければいけないなどと話した。また異なる言語や文化の人が日本の社会に入ってくるため、日本も変わることが前提での共生であり受け入れのための覚悟が必要になるなどと話した。

(エンディング)
エンディングトーク

星麻琴アナが番組卒業とのことで挨拶を行った。

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