- 出演者
- 塚原愛
発達障害などがある人たちからは災害の際に「大勢の人が集まる避難所には行けなかった」という声が聞かれた。こうした状況を理解されないことが当事者たちをさらに追い詰めている。
テーマは「『みんなで助かるために』発達障害がある人と災害」。発達障害などがある人が災害が起きたときに孤立する状況を変えるため「発達障害などがある人は災害時にどんなことに困るのか」「みんなで助かるためにそれぞれできること」というポイントで考える。スタジオで小倉優子、古坂大魔王、田中真理教授を紹介した。
ペアレント・サポートすてっぷは発達障害などがある人の保護者のための「うさぎカフェ」を運営している。代表の安藤さんにも発達障害などがある子どもがいる。保護者たちはうさぎカフェで情報交換をしたり思いを共有したりしている。西日本豪雨のとき安藤さんは支援に入る知り合いに「障害児と家族の状況を教えてほしい」と頼んだが「障害児が見当たらない」と返ってきたという。安藤さんたちはSNSで真備町の近くで臨時のカフェを開くと呼び掛けた。すると4日間で35人が訪れた。避難所には行っておらず親戚の家を転々としたり車の中で生活していた。精神障害当事者会ポルケ主催の防災ワークショップで熊本地震を振り返った際、発達障害などがある人からは「慣れない環境でパニックになった」「ルーティンが崩れてつらかった」といった声が聞かれた。
発達障害は幼少期から現れる脳機能の障害で、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症など。自閉スペクトラム症だと対人関係が苦手でこだわりが強い、感覚が過敏などの特性が挙げられる。発達障害はプラスして社会生活を送るうえで支障が出ているかどうかで判断される。
発達障害などがある相良さんは発達障害当事者で作る団体を運営しており、熊本地震の直後も避難所で相談活動を行った。その際に大勢の人のざわめき、におい、日差しに加え白い紙から受ける刺激で体調を崩した。障害が見た目でわかりづらく負担を訴えても周囲がどう反応するか不安に思うという。
スタジオで凸凹ライフデザインを運営する相良さんと精神障害当事者会ポルケ代表理事の山田さんを紹介。相良さんは避難所でエコノミー症候群を予防するためステージで体操が始まり大音量で音楽が流れ、音にびっくりしてうずくまる人もいた、5分後に体操を始めますとアナウンスがあれば対策をとれたと話した。山田さんは東日本大震災を経験した精神障害の人から避難所から追い出された、始めからダメになっちゃうと対話もできないので問題という話も出た。東日本大震災ではほかにも、感覚過敏の人がざわつきが耐えられずステージのカーテン裏スペースを使っていたら不公平という声が挙がった例なども聞かれた。
家族にも理解されなかった例。発達障害がある30代女性が熊本地震の際に両親と在宅避難をしていたが、相次いで鳴る緊急地震速報の音で女性は体調を崩し自傷行為を繰り返すようになった。両親からは「何でそのくらいで」「怖がるな」と言われ、親との喧嘩は続き自傷行為は収まらなかった。
キーワードは「知ること」。相良さんは「話を聞いて答えてくれるという安心感があれば話せる」と話した。田中教授は「安心して自分のことを言える環境とか社会の大切さを感じた」と話した。障害がある人に対しては福祉避難所がある。一般の避難所での生活が困難な人、特に配慮を必要とする人のための避難所だが、支援者確保や個人情報の取り扱いなどの課題がある。
外出時に被災して家族が離れ離れになった場合の備えについて。ポケット防災カードは避難先や待ち合わせ場所、アレルギーの情報などを書き込むようになっている。ランドセルやポーチなどに携帯する。
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みんなで助かるためにそれぞれできることを考える。キーワードは「日常からの関係性」。ペアレント・サポートすてっぷの安藤さんは、福祉関係者らとも協力して災害時でも障害のある人が孤立しないように考えられた「かがやき手帳」を開発した。避難先としてどこがあるか、災害時でも大事にしたいことは何かを書き周りと共有する。障害のある人の就労支援を行っている佐藤さんは、これまでに関わった障害のある人たちの手帳を今後一緒に作っていく予定。安藤さんたちは福祉関係者に向けて手帳の作り方に関する勉強会を開いた。単独で書くのではなく支援者と相談しながら書くことが大事だと強調した。熊本県発達障害当事者会リルビットの須藤さんは、熊本地震の際に発達障害者の居場所を作ろうとアパートの部屋を借りるために家主の元を訪れたが「住民から反対された」と断られた。そうした中、知り合いから声をかけられ困窮者支援や子ども支援を行う人たちで作られる混成チームに発達障害がある仲間と参加した。障害のある人もない人も一緒になって夜回りや車中泊調査などを行った。その時活動仲間から「頑張ってるね」という言葉をかけられ心に響いたという。この体験を通じて安心できたからこそ特性のことを話せたという。須藤さんらと一緒に活動した男性は「ネットワークを日頃から協力しながら作っていくのが大事」などと話した。
田中教授は「平常時の知る、気づき、理解、共感のループが非常時につながる」「日常からの関係性がでるような地域活動から知る、気づき、理解、共感のループを作る、困りごとを安心して言える社会作りが重要」などと話した。
番組では防災力向上に向けた取り組み「BOSAIアクション」を起こすことを応援している。アクションを起こした人からチャレンジ報告動画を募集中。
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番組ではBOSAIアクションチャレンジ報告動画を募集中。詳しくはHPまで。
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2023年11月23日(10:05)