- 出演者
- 山内泉
2011年に発生した福島第一原子力発電所の事故。大量の放射性物質が放出され、約8万人に避難指示が出される未曾有の事態となった。医療現場も混乱を極めた。原発構内で作業員が負傷。被爆した人も出る中、受入体制が整わず治療が遅れたケースもあった。さらに影響は避難した人々にも。高齢の患者など少なくとも約50人が死亡。深い反省を元に見直された原子力災害時の医療。その備えは今どうなっているのか。医療現場が直面している課題を探る。
オープニング映像が流れた。
東日本大震災で、地震・津波に加えて原発事故が重なる複合災害を初めて経験。医療現場は災害時の救急医療に加え、放射線への対応も迫られる。自らも被爆する恐れがある中で医療は崩壊の危機に立たされた。その結果、避難中の高齢者が病状を悪化させるなどし放射線以外の理由で亡くなる人が相次いだ。去年11月、四国電力伊方原発の周辺で約2万人が参加する大規模な訓練が行われた。年に1度、国が主催し原発が立地する地域から1箇所を選んで実施される。想定震度7の地震が発生、原子炉を冷やす機能が失われ放射性物質が放出されたという想定。原発から60km離れた病院は放射線の影響を受けにくく、原子力災害時には傷病者を受け入れることになっている。対応するのは専門の研修を受けた医師や看護師、放射線技師など。近隣の県から派遣されたチームと協力し約50人で分担。原発の作業員が腕を複雑骨折した想定。その場の判断で治療していき、さらに放射性物質が付着していないか測定機を使って探し出す。体内に吸収される恐れがあるため素早く除染しなければならない。これ以上下がらないとこまで除染し、しっかり覆えば応急処置が終わる。呼吸困難を起こしていた想定では、除染は後回しで救命措置が優先される。厳しくチェックするのは、広島大学の廣橋教授。各地で行われる訓練に赴き評価。熱心に指導する理由は、15年前の苦い経験にある。
2011年3月11日、東日本大震災が発生。廣橋さんは被災地で救急医療を行うDMATの一員として福島県に派遣される。当初の任務は、津波や地震による負傷者の治療。原発から60km離れた二本松市の施設に向かう。ところが、原発20km圏内に避難指示が出され逃れてきた住民が放射性物質で汚染されていないか検査するよう求められた。基準を超える汚染が確認された場合、体を洗い衣服を着替えれば移動できることになっていた。建物の中に入ると沢山の高齢の患者が硬い床に寝かされている光景を目にした。よく見ると死戦期呼吸をしている人がいたという。8人ぐらいが死にそうな感じだったという。この人々は原発に近い病院から避難してきた入院患者だった。体が不自由なため除染を受けることができず、ホールに隔離されていた。十分な医療を受けられず病状が悪化したり低体温症に陥っていたと見られる。DMATは原子力災害に対する訓練を受けていないため、対応しないのが原則だった。しかし廣橋さんは異を唱えた。8人の患者に救命措置を行い、受け入れてくれる病院を見つけ出した。しかしその後数名が命を落としたという。教訓を元に、国は原子力災害時の医療体制を抜本的に見直した。
原子力災害拠点病院は全国で51カ所指定されていて、汚染の有無に関わらず傷病者を受け入れることとなっている。各病院の医療スタッフの教育は全国6つの機関で担い、広島大学の廣橋伸之氏も教育にあたっている。特に重視しているのが放射線による汚染よりも患者の優先で、15年前の教訓を活かしている。
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福島県の教訓から国の原子力災害対策指針で汚染の有無に関わらず傷病者を受け入れる拠点病院を指定した。また屋内退避を重視するようにし、避難による高齢者などの健康影響を抑えることとしている。福島県で災害医療に従事した経験のある広島大学の廣橋伸之氏は「当時は指揮命令系統が混乱する中で適切な医療を迅速に届けることができなかった」、「現状原子力災害下での医療を担当する人員が不足していて、複合災害に伴う原子力災害にはまだ十分に対応できる状況にない」など話した。今年度から自然災害を専門としていたDMATと原子力災害医療派遣チームが連携する体制づくりについて国が検討を進めていて、こうしたことからより柔軟な原子力災害医療の提供につながることが期待されている。
島根県・松江市の松江赤十字病院は原発から9キロの位置にあり、原子力災害発生時は原則として屋内退避することとなる。松江赤十字病院では救命救急医の田邊翔太医師が業務継続計画作りを主導し、福島県立医科大学などから助言をもらいながら水や食料の確保や放射線量の監視体制などの検討を進めて一定の結論を得た。しかし屋内退避の安全性を高める陽圧設備の運転試験では病院全体の半分しかカバーできず、冷暖房が使用できなくなることが分かった。時期によっては熱中症や低体温症のリスクが被爆リスクよりも高まることから、屋内退避を継続する場合には陽圧化設備を使用しないことに決めた。また人員の確保も課題で、職員も被災する中で救急以外の患者受入停止などを検討しているという。
廣橋伸之氏は屋内退避について「原子力災害が発生した場合に実際に屋内退避ができるのか検証する必要があり、屋内退避者へ誰がどのように支援するのか現時点で決まっていないことも課題」など話した。
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