- 出演者
- 小泉孝太郎 林修 弘中綾香
2025年の詐欺の最新手口を紹介。
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- トビラシステムズ
弘中さんは「警察の正体が詐欺師だったらどうしますか?」、小泉さんは「何を信じたらいいのか」などと話した。
2000年代から、「オレオレ問題」などが社会詐欺となり、その後は還付金詐欺や架空請求など様々な手口が増えた。今、「ニセ警察詐欺」が横行しているという。今年8月末までによる被害は6577件563.7億円で、1回あたりの被害額は平均800万円を超える。実際にあったニセ警察詐欺のケースを紹介。今年1月、愛知県在住の女性のもとに、国際電話の番号から「利用中の携帯電話を2時間後に停止します」と連絡があった。女性は電話の指示通りにボタンを押し、録画・録音を開始したという。電話相手は女性の生年月日や名前などを聞き出し、事件性があるため福岡県警につなぐと言い出した。
携帯電話を2時間後に停止するという電話がきた女性は、自称「福岡県警」を名乗る男に電話がつながった。女性はメッセージアプリに誘導され、ビデオ通話をすることになったという。そして、「女性が住む地域の管轄となる愛知県警に切り替わる」と言われ、結局ビデオ通話で事情聴取の名目で住所や家族構成などプライベートな情報を聞き出された。その後、女性はマネーロンダリングの関与の疑いをかけられ、「この聴取には守秘義務があるので家族などに話してはいけない」と守秘義務契約書にサインを求められる。実際は、警察が電話で事情聴取をすることはないという。
マネーロンダリングの関与を失われた女性は、電話の相手に近くの警察に相談したいと訴えても「守秘義務違反になる」と断られる。しかし、実際は一般人が警察から守秘義務を強要されることはない。長く続く電話で疲弊した女性は、銀行など金融資産について伝えてしまった。
警察を名乗る電話相手から様々な情報を聞き出された女性は、「警察官の上司」と名乗る男から4日間の行動を逐一連絡をするよう強要される。そして、「この状況を抜け出すには査察調査(国税庁が行う脱税犯罪摘発のための強制調査)が必要。あなたの口座にどこからお金が入ってきたかを辿るので、紙幣番号を調べるために全額こちらに預けてください。銀行員に振り込む理由を聞かれたら、自宅のバリアフリーのリフォームなどと答えるように」と指示を受けた。だが、女性は冷静になり、「逮捕を電話であらかじめ知らせてくることがある?」、「紙幣番号からお金の流れがわかるのか?」などと疑問に思い、結局金を振り込まず、詐欺の注意喚起のため最後まで録音・録画を続けたという。元埼玉県警の佐々木成三氏は「ニセ警察詐欺も、被害者に銀行に行って振り込ませる手口がかなり減りました。インターネットバンキングがターゲットになり、被害額が大幅に増加している理由もそこにある」などと話した。
小泉さんは「警察は心理的に大きいですよね。僕は子供の頃から警察が家を警備してくれていたので、比較的近い存在ですが…。でも、警察ってワードを使うと信じやすい」などと話した。今年1月~8月までの特殊詐欺の被害額は831.4億円で、その6割以上がニセ警察詐欺だという。また、被害の約4割は20代~30代と若者世代で、着信番号の末尾を「110」に偽装することで、若い人も電話に出てしまうという。
ここ数年、急激に増加し世間を震撼させている詐欺が「SNS型投資ロマンス詐欺」。X・インスタ・LINEなど様々なSNSで気軽に接触し、恋愛感情をほのめかしながら投資に誘導。しかも1~3か月という短期間で金銭をだまし取る詐欺だ。10月にも男性が暗号資産1625万円相当をだまし取られる被害も起きている。認知件数は前年に比べ1181件アップ。被害額は約84億円もアップした。2023年7月。茨城県の大手メーカーで働く川崎由紀子さん(仮名)は忙しい日々に終われ、これまで何度か結婚を意識した男性はいたものの縁がなく独身のまま母親と2人で暮らしていた。そんな由紀子さんのSNSに見知らぬ男性からメッセージが届いた。由紀子さんは那須御用邸のツツジをアイコンにしていた。普段あまりメッセージが届くことがないので気になってその男性のSNSを見てみると出かけた場所や食べ物、さわやかな笑顔の写真があった。好感をもった由紀子さんは御用邸のツツジについてメッセージを返した。すると1分もせずすぐに返事が来た。男性は台湾出身のリンハオという人物で、仕事で大阪に着ていて日本語を勉強したいため友達になってくださいと言ってきた。由紀子さんは了承し、リンハオとのやり取りが始まった。SNSを通じてどんどん仲良くなっていった由紀子さんとリンハオ。そもそも詐欺師はどうやって由紀子さんをターゲットに決めたのか。由紀子さんを実際にカウンセリングしたという国際ロマンス詐欺ジャーナリストの新川てるえ氏は「ターゲットはランダム。偽のアカウントをつくりランダムにお友達申請する。次の“グルーミング(育てる)”という段階になったときに相手がどんな人なのか見極めてストーリーを作っていく。」などと説明した。知り合ってから毎日リンハオからメッセージが届くようになった。リンハオは頻繁にメッセージを送ってきては自分のことを包み隠さず話してくれ、そんなリンハオにますます好感を持った由紀子さんは自分の身の上話もするようになっていた。そしてやり取りを始めて4日後、メッセージアプリのID交換をしようと言ってきたが由紀子さんは断った。しかし何度も迫られついにIDを交換してしまった。その後、これまで以上にメッセージが頻繁に届くようになった。リンハオはシンガポールにある父親の会社で自然科学テクノロジーの仕事をしていて、今は日本に支社をつくる準備で滞在しているとのことだった。由紀子さんがその会社のHPを検索すると全部英語で詳しいことは分からなかったが最先端の大きな会社だと感じたという。さらにホームパーティーの写真、愛車の高級車や飛行機のファーストクラスの写真など次々とセレブな日常が送られてきた。リンハオは一流企業につとめ華やかな生活を送る資産家。しかも見た目はさわやかなイケメン。由紀子さんはリンハオを男性として意識せずにはいられなくなっていた。知り合ってから11日後、リンハオから呼び方を「由紀子さん」から「ハニー」にしたいと言われた。由紀子さんは悪い気はせず特別扱いされていると感じたという。さらに2人で会おうという話になり「銀座であなたに結婚指輪を買いたい。僕と一緒に人生を歩んでほしい」と言われたそう。由紀子さんは指輪の話をされてから好きという気持ちが出てきて、由紀子さんもいつしか「ダーリン」と呼ぶようになっていた。その後も結婚をほのめかすメッセージが次々に届き、由紀子さんも結婚したいと思うようになっていった。新川さんは「頻繁なメッセージで一緒にいるような錯覚にさせられる。写真の本人は実在する人物でと台湾の俳優の写真を勝手に使用していた。SNSから写真を盗んで偽のプロフィールをつくる。」などと説明した。そしてリンハオに「会いたい」と伝えると来週会うことになり、由紀子さんはその日が来るのを心待ちにしていた。しかしここからが悪夢の始まりだった。
由紀子さんは、ある日リンハオから「排出権取引(二酸化炭素など排出量を企業間などで売買するる取引)」の投資を誘われ、儲かっている様子を見て始めることにした。
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由紀子さんはリンハオの指示通り専用アプリをダウンロードし、指定された口座に10万円を入金した。それが、総額約1500万円の被害につながる。
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オープニング映像。
東京・江東区の山崎芳恵さん(76)を紹介。山崎さんは元々は薬剤師で、60歳のときに薬局を閉めた。山崎さんは地域の活動室で行われる「おもちゃ作り」を楽しみにしているという。できたおもちゃは、子どもの支援施設に送られる。10年前、年配者の居場所づくりのため、このような活動を始めたという。
「私の幸福時間」の次回予告。明日の舞台は東京・渋谷区。
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- 渋谷区(東京)
由紀子さんはリンハオの指示通りに投資を始めたが、儲かっているように見える画面も全て偽物だった。由紀子さんは何回かに分けて貯金を全て投資し、さらには母を巻き込む事態となった。
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リンハオと知り合って5週間。由紀子さんは、投資した資金を入金しようとしてカスタマーセンターに連絡を取ると、「マネーロンダリングの疑いがあるため、検証金として300万円をお振込みください。48時間以内に支払われない場合は警視庁に連絡する」と言われる。リンハオに相談すると「振り込んだらすぐ戻ってくるから心配しないで」と言われたため、由紀子さんは母に300万円を借りて振り込んだ。今度は「300万円の所得税が必要」と言われたため、由紀子さんはカードローンで借金をした。その後も手数料などを求められ、由紀子さんは追い詰められていった。
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由紀子さんは約1500万円を投資する事態となった。リンハオと知り合って2ヶ月後、実家に帰ってきた弟に相談すると「それは詐欺だよ」と類似の被害事例のニュースを見せてきた。これで、由紀子さんは詐欺と気付いたという。由紀子さんは、この体験を生かし、詐欺被害者の支援活動を始めたという。ロマンス詐欺では、AIを使ったディープフェイクで他人になりすまし、ビデオ通話などをするケースも多い。林さん・小泉さんがディープフェイクを体験した。
スタジオでディープフェイクを実演した。簡単に手に入るソフトで、写真があれば他人になりすますことができるという。ディープフェイクを見破る方法は、相手を横に向かせたり手を振ったりすること。
今年9月、奈良県で、ニセ警察官による「このスマートフォンを貸すので、連絡を取り合いましょう」と言われる「スマホ貸し出し詐欺」が起きた。70代女性は、ニセ警察官から借りたスマホで詐欺師とやりとりをし、約1630万円の被害に遭った。スマホ貸し出し詐欺は、詐欺師側のスマホなので、返却すると証拠が残らなくなってしまう。実際は、警察がスマホを貸し出すことはありえないことだという。
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特殊詐欺に騙されたふりをして逮捕に至ったケースもあるが、今年10月、群馬県で、「あなたの家に詐欺の犯人が入っていくのが目撃されている。我々も見張っているので、騙されたふりをしてお金を払ってもらえますか」と頼み、金を騙し取る「ダマされたふり作戦詐欺」が起きたという。もし金を要求されても絶対に渡さないことがポイントとなる。
