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オープニング映像。
今回のガリバーは複合材を始めとした建築資材を製造する「フクビ化学工業」。樹脂を原料にさまざまな形の断面を持つ製品を手掛けている。
フクビ化学工業は年商397億円、従業員数981人。主力事業は樹脂製建築資材の製造。熱で溶かした樹脂に圧力をかけて金型に通すことで連続して成形できる異形押出成形が事業を支えている。長さが必要な建築資材に適した工法だ。顧客のニーズに合わせて3000種近くの金型がある。
フクビ化学工業の金型を紹介。金型は入口が広く、出口に向かって徐々に狭くなっている。単純に押し出すだけでは樹脂は断面が太い所に流れやすく、細い所に流れにくくなる。その結果、細い部分がもろくなり製品として使えない。金型は全て自社で設計・製造しているため、樹脂の細かな流れを迅速に調整できる。1つの金型が完成するまで1カ月半かかるという。金属製の芯と溶けた樹脂を金型に同時に通すことで金属の周りに樹脂を被覆できる。福井駅前のテラスに敷かれた床材には福井県にある間伐材を利用している。廃棄していた樹脂を混ぜて原料にしている。
フクビ化学工業の設立は1953年。塩化ビニール製の床材などを製造していた。創業者が床材に代わる事業を模索していたところ、ジョイナー(見切材)を目にした。天井と壁の隙間を埋めて見栄えよく仕上げる建材で、当時は金属製が主流だった。1955年、ジョイナーが押出成形の製品第1号となり以来、本格的に建築資材製造に進出した。金属製に比べて樹脂製の建材は軽くて価格も安いことから、高い競争力を得た。一方で押出成形以外の工法についても研究し、手すき越前和紙を使用した化粧板を作った。新規事業開拓の中で獲得した樹脂パネルの反射を抑えるコーティング技術を応用して、和紙に不燃材などをコーティングし燃えにくくさせた。
フクビ化学工業の手すき越前和紙を使用した化粧板では和紙に不燃材などをコーティングし燃えにくくさせている。カーボンニュートラルに向けてプラスチックに逆風が吹く中、再価値化の取り組みからうまれたのが「サイレントドロップ」。捨てられるはずの壁紙の端材を粒状に加工したもので、重量床衝撃音を軽減する。遮音のためにコンクリートの床を厚くすると重さに耐えられるように設計の見直しが必要だが、この製品は1袋約4kgと軽量で施工法も簡単だ。
「人々の暮らしを変え、世界を少しずつでもよきモノにしていける」と森社長は語った。
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知られざるガリバーの次回予告。