- 出演者
- 山中伸弥 タモリ 吉岡里帆
本日のテーマは「音楽」。タモリは学生の頃からトランペットをやっていた。ジャズ・ミュージシャンになりたかったが、先輩にお前のトランペットは笑ってる。喋りが面白いから司会にいけと言われ芸能界に入った。山中伸弥は高校の時にフォークのバンドを組んでいた。その時、観に来てくれていた観客のひとりが妻だという。
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- かぐや姫
オープニング映像。
3人の愛する音楽5曲を紹介。吉岡里帆の1位は椎名林檎の「ありあまる富」。タモリの1位はライオネル・ハンプトンの「Stardust」。山中伸弥の1位はビリー・ジョエルの「Pressure」。本日のテーマは「ヒトはなぜ歌うのか?」。チャールズ・ダーウィンは「音楽は生存のために直接役立たない。なぜヒトは音楽を手にしたのか?最大の謎の1つだ」と言っている。世界の音楽研究サイト「グローバルジュークボックス」で聞ける音楽を紹介した。
人類はなぜ音楽を生み出したのか。そのルーツを探るため音楽人類学者・矢野原佑史らはカメルーンにやって来た。矢野原佑史は人類の原初的な音楽の姿を探るため20年近く熱帯雨林の奥地に通っている。彼らの名前はBAKA(バカ)。「バ」は森。カは「人」。森の民という意味。BAKAの人々は矢野原佑史らを笑顔で迎えてくれた。住んでいるのは葉っぱと木の枝で作った家。食べ物を求めて森の中を移動しながら暮らす狩猟採集民族。BAKAの人々が集まると急に歌が始まった。言葉で伝えるよりも音楽で伝えるのがBAKAのやり方だという。朝、女性たちが洗濯をしていると急に川を叩き水太鼓を始めた。夕方、夕飯の準備の傍ら歌が始まった。「イエリ」は先祖代々伝わってきた大事な歌だという。みんなで歌うのがBAKAのやり方で誰も1人では歌わないという。長老は「ひとりで歌ってもいい歌にはならない」などと話した。皆で歌う歌を個別のマイクで録音し、その秘密を探った。
バカの人々の歌のこだわりは、全員バラバラで歌うこと。なぜバラバラで歌うのか?。タモリは「バラバラのほうが一体感が出るんじゃないかな」と話した。山中伸弥は「バラバラが調和した時に気持ちがいい」などと話した。
分析の為、バカの歌を楽譜にしていく。担当するのは民族音楽学者の古謝麻耶子さん。1音ずつ聞き取り音符にしていった。バカの人達の歌はポリリズムが特徴的だった。ポリリズムは「複数の異なる拍子が同時に用いられている状態」のこと。全員がバラバラのリズムで歌うことで複雑なポリリズムになっていることが分かった。ポリリズムは人類の脳に特別な影響を及ぼすという。音楽のリズムが聞こえると脳の中ではたくさんのことが起きる。まず予測機能が働き始める。繰り返されるリズムを聞いているうちに次にどんなリズムが来るか予測を始める。それによって脳の報酬系が快感物質を出すという。4拍子のリズムは予測が簡単なので脳はアキてしまう、そこに違ったリズムが重なると複雑なリズムになる。予測が複雑になると脳が喜ぶ。大量に放出された報酬物質が身体を動かす脳の運動野にまで働きをかけるため、踊りたくなるという。
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バカの音楽についてタモリは「こういう音楽は原始的で野蛮で単純な音楽って思われてるけどとんでもない間違いで、ものすごい難しいことをやってる」などと話した。吉岡里帆は「最近のJポップは予測が複雑になっている。快感物質が出るように作られている曲がヒットしてる気がする」などと話した。タモリは「音楽は心に響くんじゃなくて脳に響くんだ」などと話した。
人間以外の動物もリズムを気持ちよく感じるのか。それについて研究しているのがヘンキャン・ホーニングさん。ホーニングさんは音楽に合わせて踊るオウムの動画をみて他の霊長類にもリズム予測ができるのでは?と考えた。チンパンジーで調べてみたがリズムにはのらなかった。生まれたばかりの赤ちゃんにリズム予測の実験を行ったところ、脳波が反応することがわかった。音楽のリズムにはたくさんの人を同時に動かす力がある。ヒトに撮って音楽は進化の中で途付けた能力だという。
タモリは「バカの人達は、食べ物をとって無くなったら集団で移動する。集団で生きていくためには音楽は必要だった」などと話した。ホモ・サピエンスは生き残ったがネアンデルタール人は絶滅した。脳はネアンデルタール人のほうが大きかったという。ホモ・サピエンスは音楽を持っていたが、ネアンデルタール人は音楽を持たなかった可能性がある。今のち球場に存在する様々な文化や民族で音楽を持っていない文化や民族はほぼいない。音楽を持たない民族は進化の中でほろびたのでは?という仮説がある。タモリは「絆を強めるため音楽は生まれた。ダーウィンは間違っている」などと話した。
タモリ、山中伸弥、吉岡里帆がポリリズムに挑戦した。
街の人達はどんなメロディーが好きなのかを聞いた。「奥田民生 イージュー★ライダー」「スピッツ ロビンソン」などの声があがった。人間はいつからメロディーを愛していたのか。人類最古の楽器は4万年前。最古の土器は1万6000年前。土器を使う前にメロディーがあったのでは?と言われている。A、Bどちらが心地よいメロディーかスタジオで検証。全員がAと答えた・パキスタンにいるカラシュ族はBと答えた。心地よいメロディーは人類共通ではないことがわかった。4800人のあらゆる年齢の人に愛する5曲を聞いてみるとどの年代でも10~20代前半に聞いていた曲が最も愛されているという結果になった。国籍を問わず同じ結果が出た。その人が愛するメロディーは思春期に聞いていたものという共通の結果が見つかった。脳の報酬系が最も発達するのが思春期であることに関係していると考えられる。メロディーはその人ならではの郷愁やエピドードと結びついて記憶される特徴を持っている。音楽の持っている記憶は大きく3つくらいに分けて整理するとわかりやすい。1つ目はヒトという種に共通の記憶「リズム」。2つ目は集団によって異なる記憶「メロディー」。3つ目はは個人によって異なる記憶「メロディー」。音楽は本能的に働きかけるものと、生まれてからの経験とかに働きかける2種類ある可能性があるという。
フランス「ニオー洞窟」、マルタ島「ハル・サフリエニ神殿」など地球音楽遺産を紹介した。これらの建造物に共通するのは特殊な音の響きだった。その特性をいかして音楽を使った儀式の場に使われていた可能性が最新の考古学で明らかになっている。トルコのアヤソフィアもその1つ。建設したのはユスティニアヌス1世。ユスティニアヌス1世はある音の響きの仕掛けをアヤソフィアに施し民衆の心を1つにまとめにようとしたのでは?とビセラ・ペンチェーバは語っている。アヤソフィアで風船を割ったところ最大17秒間も音が響き続ける特殊な構造になっていた。それが残響音だった。アヤソフィアで歌うために作られた聖歌の分析からも明らかになった。神という単語すべてをメリスマで歌えと書いてある。メリスマは音程を細かく変えながら歌う歌い方。これにアヤソフィアの響きをプラスすると異なる音階の音が重奏的に響いているのが分かる。ユスティニアヌス1世は霊的な存在、オーラを演出したという。
タモリの自宅のオーディオルームを紹介した。音楽を聴くことについてタモリは「聴くこと自体が、落ち込むことも含めて音楽だから。感情が豊かになる。ハッピーになることだけではない。落ち込むことも楽しみ」などと話した。音楽は認知症の脳を変えれるかもしれない。
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イギリス・リバプールに住んでいる認知症のトミー・ダンヌさん。トミーさんは人と会話するのが難しいという。トミーさんの楽しみは同年代の認知症の友人・ポール・ヒッチモウさんと音楽を楽しむことだった。ポールさんはビートルズの曲は全部覚えているという。トミーさんは「音楽が始まると頭の中のカーテンが開き光が指してくる。元の世界に戻ってこられた気がする」などと話した。65歳以上の健常者に毎日1時間ずつ8週間好きな音楽を聴いてもらったところ、内側前頭前野に大きな変化が見られた。内側前頭前野は他人のことを思いやりその人の気持になって考える時に働く領域。内側前頭前野は歳を取ると最初に衰えやすい場所の一つで、認知症で影響を受けやすい所。音楽を聴くだけで聴覚野とのつながりで内側前頭前野が強化されていることが分かった。トミーとポールは月2回、認知症患者を集めての歌の会をボランティアで始めた。トミーは「みんなこの日のことは全部覚えていない。でも歌った楽しさは覚えている。また会うことを楽しみにしてくれている」などと話した。
音楽は芸術やエンターテインメントだけでなく、脳に作用する刺激的として使うことも可能。聴くだけで集中力がアップする音楽を紹介した。聞こえない音も脳に作用している。いろんな楽器に人間の耳では聞こえない超高周波が含まれている。超高周波がある音楽は脳の深い所が活性化することが分かった。チェンバロや尺八の音は超高周波が含まれている。超高周波をイヤホンで聴いただけでは脳の活性化は起こらなかった。スピーカーで全身に浴びせた時だけ脳が活性化した。詳しいメカニズムはまだ分かってないという。認知症患者を対象に「超高周波」音で徘徊や興奮を抑えられるか現在研究中。
あなたにとって音楽とは?という質問。エイサーを守る若者は「三線の音をきいてるだけで落ち着く」などと話した。アフリカで暮らす民族の女性は「先祖が教えてくれた歌」などと話した。サラ・ブッチャードは「音楽には集団の結束を強くする力がある。しかし同時に危険性もはらんでいる。戦争のような醜いものでも栄光や美にすり替えてしまうことすらできる」などと話した。タモリは「俺自身のことでいうと1人になるために音楽を聴いてるような感覚。演奏者に対して何を言いたいんだ?と思って聴いてる感じがする」などと話した。トミーの愛する曲は「スウィート・キャロライン」。トミーは「歌いながら妻と金曜日の夜に一緒に出かけていた頃のことを思い出した。元気だった頃の記憶がフラッシュバックしてきた。音楽は私達が出会った17歳のころに引き戻してくれる」などと話した。
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- スウィート・キャロライン
エンディング映像。
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