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第102回全国高校サッカー選手権大会決勝は青森山田と近江の戦いとなった。
4大会連続出場となった石川・星稜。2回戦で優勝経験のある四日市中央工を撃破。しかし3回戦の前日、能登半島地震が発生。多くの家屋が倒壊し応援団のバスも出発も断念した。その状況をしり立ち上がったのが日大藤沢の選手たちだった。スタジアムに駆けつけ黄色い袋で星稜カラーのユニフォーム作った。対戦相手の市立船橋も350個の応援用メガホンなどを提供、石川県に向けたメッセージボードも作った。監督の河合伸幸はロッカールームで「市立船橋も応援してくれてるしmみんなサッカーファミリーって感じ。対市立船橋っていう構図よりも。この1試合をみんなで楽しんでやる。思い切ったプレーを出して下さい」などと激を飛ばした。試合は4-1で星稜は負けてしまった。
14大会連続出場の強豪「米子北」。3年間叩き込まれるのは過酷な砂浜ダッシュを通じて最後まで走ることと諦めない気持ち。現日本代表・昌子源や佐野海舟などもここから羽ばたいていった。今大会を特別な思いで10番を背負うのは3年生・森田尚人。3人兄弟の真ん中に生まれた森田は体が大きく地元の少年団でもエースだった。しかし小6の時母・愛子さんが病気でなくなる。以来父・好人さんが男で一つで3人を育ててきた。森田は父のことを考え一度は大阪の高校に通うことも考えたが、父の一言で米子北に行くことになった。成長した姿を魅せる晴れ舞台が冬の選手権となった。
迎えた全国大会初戦を勝利した米子北は埼玉の昌平と対戦。森田のプレーでチームに勢いがもたらされ、後半7分には先制ゴール。後半アディショナルタイムにピッチを去るときまで森田は走り続けた。だがその直後、最後の1プレーで昌平が同点に追いついた。そしてPK戦の末に敗北し森田の選手権が幕を閉じた。最後に3年間の感謝を伝えるため父の元へ。好人さんは「すごい走ってたし、良いシュートも打ってた。チームに声掛けもしていた。すごい成長したと感じた」などと話した。
4大会ぶり5回目の出場となった茨城の明秀日立は、夏のインターハイ王者として臨んだ今大会、初戦の徳島市立戦。後半出場の根岸に続き、エース石橋もフリーキックから鮮やかなゴールを決めてリードを奪った。明秀自慢のタフで粘り強いディフェンスで、ゲームキャプテンの山元を中心に徳島の鋭い攻撃をシャットアウトした。明秀日立には、サッカー部の部長でベンチ入りメンバーの若田部礼という、もう1人リーダーがいる。出場機会には恵まれないが、ピッチ外のまとめ役として常に前を向き、影でチームを支え続けてきた。2年制の夏まではセンターバックのレギュラーだった。しかし他の選手の台頭により出場時間が減少したが、部長としてチームのためにできることを探して率先して動いている。萬場監督は、間違いなく最重要人物、初動が早い。3年間で彼が積み上げてきた信頼は揺らぐことはないなどと話す。若田部と山本、2人のリーダーがいるからこそ、チームは1つになれた。地区大会優勝の後も、山本は若田部にキャプテンマークを巻き、感謝を伝えた。山本は、「選手権でもキャプテンマークを若田部に巻かせたい」という想いを背負い、ピッチに立つ。
大阪・東海大仰星との2回戦では、1点ビハインドで迎えた後半27分に3番の飯田朝陽がヘディングでゴールを決めた。攻め続け、同点に持ち込むと、決着はPK戦にもつれ込んだ。キャプテンの山本が落ち着いて決めると、2年生の守護神シゲマツが東海大仰星7人目のキッカーを止め、逆境を乗り越えて3回戦に進出した。その試合後、難しい試合を物にし、メンバー達は歓喜に湧いた。だが、1人冷静だった若田部はロッカーに残り、下級生と一緒に最後まで後片付けをした。3年制で最後の選手権の試合に出たい気持ちを押し殺し、部長としてチームにできることに徹していた。
勝てばベスト8となる3回戦の相手は、優勝候補の神奈川・日大藤沢を破り 、勢いに乗っている志賀の近江。若田部がベンチから見守る中、前半22分石橋鞘のシュートが決まり、幸先よく先制した。いつでも交代ができるように若田部もアップを続ける。しかし、押し込まれる展開が続き、後半7分に明秀日立側のハンドがとられ、近江・山門立侑のPKが決まる。近江の勢いに押されゴールを許すと、明秀日立は勝ち越せないまま1対1で終了となり、勝負はPK戦に持ち込まれた。PK戦では、石橋鞘のシュートが阻まれ、近江側がゴールを決めた。夏の王者である明秀日立は3回戦で力尽きた。選手権のピッチに1度も立つことなく、若田部の高校サッカーが終わった。それでも、若田部はチームメイトを励まし続けた。明秀日立を引っ張った山本と若田部は、次のステージでも支え合い、共に羽ばたく。
前回王者の岡山学芸館は、3回戦で起死回生の同点ゴールでPK戦となるも、止められ連覇の夢は潰えた。高原監督は、「去年はこの思いをせずに最後まで行き切った。この悔しい思いはお前らが真剣に頑張って高校サッカーに人生かけてきたから味わえること。本当よく頑張った。そしてありがとう」などと語った。
6大会連続出場の福井の丸岡は、1回戦に佐賀東との壮絶な死闘をするも、後半アディショナルタイムでPKをとられ敗北した。小阪監督は「頑張っても報われないことはある。けどやり続けていくしか無い。サッカーは何が起こるかわからない。人生だって何が起こるかわからない。だから最後の最後までちゃんと終わるということは、これからお前らが大事にしなきゃいけないこと」などと語った。
日大藤沢は、初優勝を目指し意気込むがPK戦に敗れ2回戦敗退。試合後、3年生達が後輩たちに残す最後のメッセージは、「今年よりももっと全力でいって後悔が残らないよう頑張ってください」「心から応援してるから、来年頼みます」「みんなと日大藤沢として戦えたことを誇りに思います」などと語った。
初芝橋本は8人目までもつれ込んだPK戦。あと一歩届かなかった。阪中義博は「いろんな夢も見させてもらった。すごい経験をさせてもらった、ほんまにありがとう」と部員に伝えた。
名古屋は競合相手にゴールを狙い続けるがベスト8で終わりを迎えた。監督は最後のロッカールームで非日常が充実しているから日常の勉強を充実させよう、保護者にありがとうと伝えてくれと話した。
2大会ぶりの決勝進出を決めた青森山田は過去3度の優勝をしている常勝軍団である。前回大会は準々決勝敗退であった。原動力は限られた選手しか立てないフィールドで全員がプライドを持っている。初戦は重圧から1点ビハインドの終盤足がつるアクシデントもあった。後半34分に米谷が決めた。3回戦では米谷が本領を発揮しハットトリックを決めた。準々決勝では米谷が極上のアシストで壁を超えた。準決勝の相手は得点ランキングトップのストライカー郡司璃来を要する市立船橋。前半11分には小泉が決める。流れは市立船橋となり後半の34分に追いつかれる。決勝はPK戦へと持ち込まれ、3人全員が決めた青森山田の4人目がとめられるもキーパーがとめ、5人目の米谷が決め勝利した。
滋賀県の近江は圧倒的な攻撃力を武器に初の決勝進出を決めた。初戦の相手はインターハイ4強の日大藤沢で、PK戦の末に勝利を収めた。3回戦の相手はインターハイ王者の明秀日立で、こちらもPK戦で鉄壁の守りを見せて勝利した。PK戦のキーパーは2年生の山崎晃輝選手で、準々決勝では前回大会ベスト4の神村学園に3失点を許してしまった。このとき近江のキャプテン 金山耀太選手が山崎選手を励まし、同点で後半アディショナルタイムを迎えた。アディショナルタイムで近江は3年生の鵜戸瑛士選手が勝ち越しゴールを決め、近江が準決勝進出を果たした。準決勝の堀越戦では近江の武器である多彩な攻撃で点を量産し、後半の相手の攻勢は粘り強い守備で阻止し、3-1で近江が初の決勝進出を決めた。決勝では3回の優勝経験を持つ青森山田と対戦する。
サッカー元日本代表の城彰二さんは決勝戦について「今年の青森山田はプロ内定の選手が1人もおらず優れた組織力で強いチームを作っていて、近江は準決勝で見せた個の攻撃力が武器で、ファーストゴールが大きなポイントになる」など解説した。この他両チームのキーマンとして青森山田はゴールへの嗅覚が優れている米谷壮史選手、近江はディフェンダーでありながら攻撃力もある金山耀太選手を紹介した。
エンディング映像を流れた。