2026年2月23日放送 9:33 - 10:00 NHK総合

走る宮殿 お召列車・華麗なる美と歴史

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(オープニング)
オープニング

今回は天皇・皇后が乗車したお召列車の美と歴史を紹介していく。

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さいたま市(埼玉)イギリス鉄道博物館
(走る宮殿 お召列車・華麗なる美と歴史)
最初の御料車

1号御料車は明治9年製造の初代御料車で、イギリス人技師の主導で作られた。現存する日本最古の客車でもあり、国の重要文化財に指定されている。車体側面には菊の御紋章と双龍が金粉で描かれていて、車内には明治天皇が座る玉座などが設置されている。壁や天井も刺繍が施され、中でも扉の刺繍は生きているかのような躍動感あるスズメが描かれるなどされている。また車内の御剣璽棚には三種の神器の内勾玉と剣が天皇の移動の度に皇居から持ち出されて置かれた。

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1号御料車三種の神器京都御所剣璽等承継の儀明治天皇皇居重要文化財
近代化の象徴 お召列車

1号御料車が初めて走行したのは明治10年の京都・神戸間鉄道開業式に明治天皇が臨席した際の事で、御料車の前後には侍従・政府要人・医師などが乗る供奉車が連結され100人以上が随行した。その後も明治天皇の地方行幸の度にお召し列車は運行され、新たな時代の統治者の存在を国民に印象付けた。またお召し列車の運行をきっかけに訪問時の宿泊先として近代的な建物が整備されたり電気インフラが整えられるなどし、お召し列車の運行は時として地域の発展を促すきっかけにもなった。

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1号御料車京都府仁風閣明治天皇東京都神戸(兵庫)鳥取市(鳥取)
ドイツ風の御料車

明治35年から使用された2号御料車はドイツから輸入した貴賓車を改造したもので、窓に当時珍しかった曲面ガラスが使用されるなど洋風な作りとなっている。また欧州の貴賓車の特徴である丸い二重屋根も設置されていて、ヨーロッパの王家の象徴であるグリフィンの飾りが施されている。車内も明るく、玉座には金糸の刺繍が施されている。明治天皇はこの列車で明治35年に行われた陸軍特別大演習に向かった。

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2号御料車ドイツ大日本帝国陸軍日露戦争明治天皇
最も豪華な御料車

7号御料車は大正3年に製造され、大正4年の大正大礼で大正天皇が皇居から式典の行われる京都に移動する際に使用された。歴代の御料車の中で最も豪華な車両だとされていて、城や寺社仏閣で格式の高い部屋で使用される折上二重天井や絹織物の装飾が折上げに施されるなど、日本の伝統を重んじた格式高い作りとなっている。また当時最新だった色漆を使った扉など、最新技術を駆使した装飾も施されている。色漆を使った扉の先には御剣璽奉安室があり、これまで天皇のいる御座所にあった御剣璽棚が初めて無くなり御剣璽が独立して保管されることとなった。また同じく大正大礼のために作られた9号御料車には御料理室が設けられ、御料車として初めて作られた食堂車となった。

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7号御料車9号御料車京都府六角紫水国立公文書館大正天皇東京都正倉院第一次世界大戦
数奇な運命の御料車

大正11年、イギリス皇太子エドワードが来日した。エドワードを迎えるために作られたのが10号御料車、国賓をもてなすための専用車両。特徴は車内の入口をかねた展望デッキ、ここから日本の風景を堪能できた。展望室は当時最大級の窓ガラスが使用されている。主賓のための御休憩室の壁には花柄のランプがあり、透胎七宝という技法で作られている。この御料車が計画された当時、日本外交の大きな課題は日英同盟の維持だった。第一次世界大戦中に中国や太平洋西部の島々に進出した日本の動きをアメリカが警戒、イギリスに日英同盟を解消するよう働きかけていた。緊張した外交関係を緩和したいと考えた日本はイギリス皇太子エドワードを特別待遇でもてなすために御料車は突貫工事で作られた。展望室に置かれた扇風機の中心には菊の御紋、その周りには七宝つなぎで円満を意味する。しかし、イギリスはアメリカの圧力に屈し日英同盟は廃棄された。10号御料車はその後も歴史の荒波に揉まれていく。昭和8年、日本が国際連盟を脱退。満洲国皇帝・溥儀が昭和10年に来日し、10号御料車の展望デッキに乗り込んだ。10号御料車の乗客は国際情勢とともに大きく変わった。昭和20年、10号御料車はまたもや歴史の転換点に立ち会う。太平洋戦争終結後、GHQの日本占領がはじまった。10号御料車はGHQに接収された。展望デッキに取り付けられたのはアメリカ第8軍専用車両を表すテールマークだった。そのデッキに立ったのはマッカーサー夫人。接収の跡は今でも車内にはっきり残っている。

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ダグラス・マッカーサー国立映画アーカイブ国際連盟太平洋戦争愛新覚羅溥傑昭和天皇第一次世界大戦連合国軍最高司令官総司令部
窓の大きな御料車

お召列車は時代の変化とともに求めてられる役割も変わっていく。12号御料車は洋風ですっきりとした室内になっている。これまでの御料車に比べ窓が大きいことが特徴。展望車として作られた10号御料車よりも窓が10センチ高く作られている。外から天皇の立ち姿が見えやすいように配慮されたと考えらえる。この御料車が使われた昭和大礼は膨大な人々が動員された前例のない国家事業だった。通過するお召列車に日の丸を振り敬礼をしたりした。戦前、天皇は現人神とも言われた。第二次世界大戦後、お召列車が人々の前に復活する。このとき使われた御料車の模型が残されている。窓は12号御料車よりもさらに大きく作られていた。戦後巡幸を行い、人々を励ます昭和天皇。大きな窓を通して国民は戦前とは違った印象を天皇から受け取ることになる。国民に親しまれる天皇、自ら神であることを否定した。

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昭和天皇昭和天皇記念館立川市(東京)第二次世界大戦
使われなくなった御料車

平成に入ると、一時御料車によるお召列車が使われなくなった。当時の天皇だった上皇さまの希望で一般の乗客と同じ列車を使用する方針が打ち出された。

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上皇明仁
御料車の復活

平成8年、御料車によるお召列車が復活する。来日したベルギー国王が日本のロイヤルトレイルに乗りたいと希望したから。平成初のお召列車、沿線には多くの人が集まった。通過したとき周りからは大歓声があがった。大きな窓が親しみを届けるという伝統は生きていた。平成19年、新たな列車E655系が登場。令和になっても皇室専用車両を連結し、新しい時代のお召列車として走った。約150年前から多くの人々に天皇の姿を見せてきたお召列車、時代とともに変化しながら今も走り続けている。

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E655系電車上皇后美智子上皇明仁宮内庁
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