2024年9月6日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

首都圏情報 ネタドリ!
首都直下地震 “軟弱地盤”リスクにどう備える?

出演者
合原明子 安田進 中井正一 
(オープニング)
地震の揺れが何倍にも… “軟弱地盤”の脅威 首都直下地震では?

近い将来起きるとされている首都直下地震。国は最悪の場合、死者は2万3000人。全壊または焼失する建物は61万棟に上ると想定している。首都直下地震にも共通したあるリスクが能登半島地震から浮かび上がってきた。今年1月に発生した能登半島地震。建物の被害は16万棟以上。その要因の一つとして浮かび上がってきたのが軟らかい地盤「軟弱地盤」のリスク。専門家の調査で地震の揺れが何倍にも増幅された可能性が見えてきた。実はこの軟弱地盤、関東にも広がっている。

キーワード
令和6年能登半島地震首都直下型地震
オープニング

オープニング映像。

首都直下地震 “軟弱地盤”リスクにどう備える?
地震の揺れが何倍にも…“軟弱地盤”の脅威 首都直下地震では?

今回、注目するのが軟弱地盤。そのリスクをお菓子を使った実験で表現した。同じ厚さのプリンとようかん。プリンは軟らかい地盤、ようかんは硬い地盤をイメージしていてそれぞれ建物に見立てたお菓子をのせた。そして、同じ条件で揺らしてみると硬いようかんはほとんど揺れが起きず上に置いたお菓子にも変化なし。一方、プリンはその軟らかさから揺れが増幅され上に置いたお菓子も大きく揺れている。揺れを増幅させる軟弱地盤。私たちの足元に潜むリスクに迫る。

浮かび上がった“軟弱地盤”の脅威 関東にもリスクが

能登半島地震でおよそ1万棟の住宅が全半壊した輪島市。被害を拡大させた要因の一つが軟弱地盤だと指摘する専門家がいる。防災科学技術研究所・主任専門研究員の先名重樹さんは市内の82か所で地盤の揺れやすさを詳細に調査した。その結果、地下には揺れを増幅させる軟弱地盤が広がっていることが分かった。軟弱地盤による揺れの増幅は頑丈とされてきた建物にも被害を及ぼしていた。日本建築学会の調査によると輪島市にある鉄筋コンクリート造や鉄骨造などのビルのおよそ4分の1で建物が傾く被害が確認された。建物の基礎構造が専門の東京工業大学・田村修次教授は市営住宅を調査した。地盤が大きく動き本来、建物とつながっている杭が引きちぎられていた。軟弱地盤にビルなどを建てる場合、硬い地盤まで杭を打ち込むなどした杭基礎で建物を支える。今回、輪島市で傾いたビルのほとんどが軟弱地盤の上に建っていた。大きな揺れで杭基礎が損傷したのではないかと田村教授は考えている。中には横倒しになった7階建てのビルもあった。およそ50年前に建てられたビルでは杭基礎が大きく破壊されていた。隣にあった木造の建物が押し潰され2人の命が失われた。地震防災が専門の名古屋大学名誉教授・福和伸夫さんは能登半島地震で起きたことは首都圏でも起きうると指摘する。江戸時代以降、特に沿岸部の埋め立てが進められてきた東京。さらに関東平野にはもともと軟弱地盤が広がっている。その上に都市がつくられていることを忘れてはならないと福和さんは警鐘を鳴らしている。

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令和6年能登半島地震輪島市(石川)防災科学技術研究所 火山研究推進センター
関東に広がる“軟弱地盤” あなたの地域のリスクは?

地震防災などが専門で地盤の特性にも詳しい千葉大学名誉教授・中井正一さんと伝えていく。地盤の揺れやすさマップを紹介。軟弱地盤の広がっているエリアの特徴は大きな川が山地から土砂を運んできて堆積してできた地盤になり、新しくできた地盤は軟らかい性質がありそれが、分厚く堆積していることになる。大河川の周辺は軟弱地盤が分厚く堆積しているが、それから離れたところ周囲からは小高くなっておりしかも地盤が硬いという特徴がある。ただ台地でしっかりした地盤でも谷間のところに軟弱地盤があり注意が必要。能登半島地震では軟弱地盤によってビルなどの杭が損壊する被害が確認された。特に、こういう被害が多いのは2001年に建築基準法が改定されており、それ以前は杭基礎は耐震設計の対象ではなかった。古いビルは特に注意が必要。建物に被害を与えるというのは揺れだけではない。能登半島地震の際、新潟市では広い範囲で液状化が発生し多くの住宅が被害を受けた。

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渋谷駅
“再液状化”のリスク 生活再建はばむ実態も

能登半島地震で広い範囲が液状化した新潟市。地震で被害を受けた建物はおよそ1万6000棟。その多くが液状化によるものとみられている。防災科学技術研究所・主任専門研究員・先名重樹さんは新潟市の液状化についても調査してきた。先名さんなどの調査で再液状化という現象が起きていたことが明らかになってきた。今回、液状化した場所の多くが60年前の新潟地震の際にも液状化していたという。新潟地震で液状化した地域に能登半島地震で液状化した場所を重ねるとその多くが一致した。再液状化のリスクが浮かび上がった。液状化被害の大きかった西区に住む男性。家を購入した当時、液状化のリスクについては考えなかった。家は傾き、住み続けることが難しくなった。男性は再び液状化しても被害を受けないよう地盤改良などをしたうえで自宅を建て替えようと考えている。しかし、多くの住宅が被害を受ける中、業者の不足などで家の解体すら進んでいない。

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令和6年能登半島地震新潟地震西区(新潟)
首都圏で起きうる液状化 あなたの地域のリスクは?

生活の再建を難しくする液状化。そのリスクは首都圏のどこに潜んでいるのか。防災科学技術研究所・主任専門研究員・先名重樹さんは地域ごとに液状化が発生する確率を分析した。震度6強の揺れの想定では東京湾沿岸部や神奈川、湘南エリア、千葉、茨城の太平洋側などに多く見られる。

液状化に襲われた浦安 住民が直面した対策の難しさ

液状化への対策は容易ではない。東日本大震災で液状化被害に直面した千葉県浦安市。面積の8割が液状化し住宅の被害は8700棟余りに上った。沿岸部の地区で当時から自治会長を務めている伊能隆男さん。震災のあと再液状化を防ぐための地盤改良工事を地区全体で行うことを目指してきた。震災のあと浦安市から提案されたのは地区全体を地盤改良し、その費用の半分以上を行政が負担するという計画だった。改良工事は家の敷地を取り囲むように地中に壁を作り地盤を補強するというもの。ただ、住宅1軒につきおよそ200万円の自己負担が発生し全世帯の同意が必要だった。伊能さんは住民たちに働きかけたが全員の同意は得られず工事を進めることができなかった。液状化への対策は個人では難しいという伊能さん。社会全体でリスクに向き合うべきではないかと考えている。

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東日本大震災浦安市浦安(千葉)
首都圏で起きうる液状化 リスクが高い場所は?対策は?

地盤災害を研究し能登半島地震の液状化被害も調査した東京電機大学名誉教授・安田進さんに話を聞く。過去の地震でどこが液状化したかが大切になってくるが、101年前に起きた関東大震災では東京、神奈川、千葉、埼玉、山梨県の広い範囲で液状化し、特に河川沿いで多く液状化した。東日本大震災の時は埋め立て地も液状化。さらに、西埼玉地震、千葉県東方沖地震で液状化したものがたくさんある。

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令和6年能登半島地震千葉県埼玉県山梨県東京都神奈川県関東大震災

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