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フジテレビ情報制作局ディレクターの関口さんは会社を辞めるか悩んでいた。フジテレビ社員への人権侵害事案は対応の酷さも問題だった。報道機関なのにカメラを入れなかった会見は世を炎上させ会社は信頼を失った。スポンサーがCMを降りACジャパンだらけに。社員説明会でも経営陣の言葉は要領を得ず。また当事者となったフジテレビの今を撮りたいと相談したのはプロデューサーだった。身近な先輩たちの意見は様々だった。翌日に迫ったやり直し会見の全てを撮りたいと関口さんは報道局へ。会見直前の準備は緊張感の中、行われていた。多くの社員たちが本来の業務ではない仕事に追われた。その裏側で話を聞いておきたい人物が当時のアナウンサー。この会見を何とか乗り切ってほしい思いは関口さんも同感。だが目の前に広がる光景は不安ばかりを掻き立てる。社屋前には膨れ上がる一方の記者たち。そして様子を固唾を飲んで見守っていたのがフジテレビ労働組合。午後4時、会見開始。そして重い空気に包まれていたのは営業局。ひっきりなしに入ってくるスポンサーからの連絡。さらに放送を翌日に控える情報番組のスタッフたちは出演するアナウンサーが意見を述べるべきか議論。午前2時24分、会見終了。結局、会見が終わっても何一つ変わらなかった。
関口さんがフジテレビに入社したのは今から4年前。入社以来、朝の情報番組のディレクターを担当してきた。元々、ニュース番組を作りたいと入った会社だが、夢や憧れも色褪せていた。ただ番組を一緒に作っている後輩は全く違う。同世代の声を聞きたいと会いに行ったのは同期入社の報道記者。黙々と取材を進めていく彼女に内心を聞いた。
2月、会社の「再生・改革プロジェクト」が発足。社内の至る所に掲示物が張り出された。さらに会食ルールも定められた。戸惑っていたのは若手の人事局員だった。就活イベントでは若手1・2年目の社員が学生に説明するのだが、謝罪を背負わせるのは荷が重すぎるように感じた。迎えた第三者委員会の調査結果の公表。社員の多くはこれを機に何かが動くはずと信じていた。だがハラスメントに寛容な企業体質との指摘により希望は潰えた。4月1日は、入社式。人事局の若手社員は新人たちを守るため裏道へ案内する厳戒態勢だった。関口にさんにはどうしても話を聞きたい人がいる。
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関口さんは入社当時社長だった遠藤前副会長にどうしても聞いておきたいことがあった。遠藤前副会長は「信頼を失うのは簡単だが取り戻すのは難しいってよく言うが時間はかかる。仮にスポンサーがある程度、戻ってきたとしてもスタートライン。視聴率4位でテレビ局のレースの中で負けているので、そこに勝つというのが本来の問題解決」「ルールの変更も含めて確実に変わっている。ただ変わるというのはルールを作ることではなくマインドが変わることなので時間はかかる」などと述べた。関口さんは聞きたかったのではそんな答えだったのか、それ以上突っ込めない自分がいると語る。フワフワとした覚悟を問うてきたのは後輩。同じ情報番組のディレクター。話を聞くつもりだった彼女から思い問を突きつけられたのは関口さんの方だった。
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