- 出演者
- 首藤奈知子 三條雅幸 今井翔馬 是永千恵
オープニング映像とあいさつ。
衆議院選挙は終盤戦に入った。選挙戦では医療や年金など社会保障制度のあり方をめぐり、各党による活発な論戦が行われている。自民党は、全世代型の社会保障を構築し、国民会保険は堅持しつつ「年収の壁」を見直して働き方に関わらない中立な社会保険制度にするとしている。また、年金制度は被用者として手厚い給付を受けられる人を増やし、基礎年金の受給額の底上げも図るなどとしている。立憲民主党は、「マイナ保険証」の利用率が低迷する中、国民の不安が払拭されるまでは今の保険証を存続させるほか、社会保険料負担の上限額を見直し、富裕層に応分の負担を求めるとしている。年金制度では、低所得の高齢者の年金に一定額を上乗せして給付する制度を設けるとしている。日本維新の会は、年金に世代間格差が生まれない積立方式などを導入し、高齢者の医療費の窓口負担を原則3割に引き上げ、子どもの医療費の無償化にも取り組むとしている。また、現在の診療報酬の仕組みを見直し、医療費の増大を抑制していくとしている。公明党は、パートなどで働く人が年収の壁を意識せずに働くことができるよう制度の見直しに取り組むとしている。また、離島や過疎地で暮らす人の医療体制を強化し、高齢者の所得保障を充実させるため、基礎年金の給付水準の底上げに取り組むとしている。共産党は、物価高や賃金の上昇に追いつかせるために年金の支給額を引き上げ、介護保険制度の安定化に向けて国庫負担を10%増やすとしている。また、国民健康保険料を抜本的に引き下げることや、後期高齢者医療制度の廃止も訴えている。国民民主党は、年金制度は最低保障機能を強化した新しい基礎年金制度への移行を検討するとしている。また、後期高齢者の医療費の自己負担割合を原則2割にし、現役並みの所得のある人は3割にするとしている。れいわ新選組は国民健康保険料や介護保険料などを国庫負担で引き下げ、年金の支給額の底上げを行うとしている。また、保険証は現状を維持し、マイナンバーカードへの統合に反対するとしている。社民党は高齢者が安心して暮らせるだけの年金を確保すると訴えるとともに、後期高齢者の医療費の窓口負担を一律1割に戻し病床の削減や公的病院の統廃合に反対するとしている。参政党は、薬やワクチンに依存しない治療・予防体制の強化で国民の自己免疫力を高めるとともに、対症医療から予防医療に転換し、無駄な医療費の削減と健康寿命の延伸を実現するとしている。
衆議院選挙は小選挙区比例代表並立制で行われていて、小選挙区では候補者の名前、比例代表では政党や政治団体の名前を投票用紙に記入する。このうち比例代表では、全国の11ブロックごとに得票数に応じたドント式と呼ばれる計算方法で議席が配分される。政党や政治団体は、事前に候補者の当選順を決めた名簿を作り、獲得した議席数に応じて上から順番に当選者が決まる。衆議院選挙では小選挙区と比例代表のどちらにも立候補する重複立候補が認められている。比例代表の名簿に小選挙区でも立候補した人を複数掲載する場合、同じ順位で並べることができる。小選挙区で当選できなかった候補者が比例代表で復活当選できるかどうかは、小選挙区の当選者の得票にどこまで迫ったかを示す惜敗率で決まる。今回の衆議院選挙では、いわゆる1票の格差を是正するため、比例代表の5つのブロックで3増3減となる。具体的には、東京ブロックで2つ、南関東ブロックで1つ議席が増える一方、東北ブロックと北陸信越ブロック、中国ブロックで1つずつ議席が減る。NHKの特設サイト「衆議院選挙2024」の紹介。
米国大統領選挙は、来月5日の投票日が2週間後に迫っている。民主党のハリス副大統領と、共和党のトランプ前大統領。全米を対象にした各種世論調査の平均では、ハリス氏の支持率が0.9ポイント上回っている。一方、結果を左右するとされる7つの激戦州では、いずれもトランプ氏が僅かな差で上回っている。2人の政策は大きく異なるものも多く、選挙結果は米国国内にとどまらず、世界の安全保障や経済にも影響するとみられ、日本も例外とはいえない。その1つがEV=電気自動車を巡る政策。バイデン政権の優遇政策を引き継ぐとみられているハリス氏。トランプ氏は優遇政策に批判的な発言を繰り返している。
米国大統領選まで2週間。EV=電気自動車を巡る政策について、ハリス副大統領はバイデン政権の優遇政策を引き継ぐとみられ、トランプ前大統領は優遇政策に批判的な発言を繰り返している。選挙結果を注視する日本のメーカーを取材した。福岡にある産業用空調機メーカーは、除湿機などを製造し世界50か国以上で販売している。大型の除湿機はEVの生産に重要な役割を果たすとして、今、米国で売り上げを伸ばしている。EVの動力源、リチウムイオン電池の工場。製造工程で欠かせないのが、湿度を低く保つための除湿機。このメーカーは米国のEV市場拡大に伴い、除湿機の売り上げを伸ばしてきた。ことし2月、東部ペンシルベニア州に組み立てを行う自社工場が完成。去年と比べて3割以上売り上げが伸びる見込みだという。追い風となってきたのが、バイデン・ハリス政権によるEVの優遇政策。購入者に最大100万円程度税額控除し、普及を後押ししてきた。メーカーでは、こうした優遇政策が継続されることを期待している。その一方、EVに批判的な発言を繰り返しているトランプ氏に不安を感じている。空調機メーカー・隈扶三郎社長は「EVが普及することによって除湿機が使われるので、水が差されるとわれわれの製品のニーズが減ってくる懸念、可能性はある」と述べた。
愛知の自動車部品メーカーでは、エンジンやトランスミッションの部品などを製造。北米への輸出が売り上げのおよそ2割を占める。自動車のエンジン向けの部品を多く製造しているが、エンジンではなくモーターで走るEVに転用できる部品はおよそ半数にとどまる。メーカーの試算では、ハリス氏が勝利しEVの普及が世界的に加速した場合、2030年までに売り上げは2割減少する見込み。一方で関税の引き上げなど、トランプ氏が主張する保護主義的な政策に対しても懸念を抱いている。そこで会社は生き残りをかけて、生産効率を上げるための独自のシステムを導入。新しいシステムでは、工場内の200の製造ラインに小型のセンサーを取り付け、機械の稼働状況を自動でモニタリングする。僅かな時間でも停止し目標値を下回ると、その製造ラインが赤く表示される仕組み。さらに、24時間のデータをAIが自動で分析。問題のある製造ラインを見える化し、素早く改善につなげることで生産性は以前より30%向上した。メーカーでは、このシステムを他社に広く販売し、売り上げ減少を補う切り札としたいと考えている。