テレビ報道の歴史を変えたといわれるあさま山荘事件(長野・軽井沢町)。当初、報じられたのは銃を手にした若者たちが軽井沢にある山荘に立てこもり管理人の妻を人質にとったいうニュースだった。犯行は過激派組織の連合赤軍によるものと判明。周囲を警察が包囲し、投降を呼びかける様子が連日伝えられると人々の関心が徐々に高まっていった。10日目の朝、テレビ史に残る生中継が始まった。視聴者が目にしたのは巨大な鉄球を使った前代未聞の制圧作戦。事件に対する視聴者の熱はかつてないものだった。中継現場で人が亡くなるという経験したことのない事態に直面した当時実況を担当していた元NHKアナウンサー・平田悦朗さんはわき起こる感情を思わずコメントしていた。犯人が逮捕された夕方6時すぎ、NHK、民放を合わせた瞬間最高視聴率は89.7%に達し、ほとんどの国民がテレビを通して事件の結末を知る事になった。当時、日本テレビのアナウンサーとして朝から実況を担当していた久能靖さんは事件は新聞報道の影響力がまだ強かった当時、速報性というテレビ報道の強みを人々が実感するきっかけになったと考えている。