今月20日からは動物愛護週間。現在、犬・猫を飼育している世帯はそれぞれ500万世帯を超えている。今、少子高齢化が進んだり、単身世帯が増えたりする中で、ペットの飼育が原因で生活に関わる問題が深刻化するケースが現れている。岐阜市のNPO法人「人と動物の共生センター」は、生活に困っている人などのペット飼育を支援しており、この日訪れたのは10年以上前から2匹の猫と暮らしている1人暮らしの69歳の女性のもとだった。女性は、猫を飼い始めたあとにステージ4のがんを患い目が見えなくなり、猫2匹の世話が難しくなってしまった。そこで、NPOは、飼育環境の整備などを週3日ほど行なっている。女性の夫は今年介護施設に入所し、一人息子とは数年前から音信不通で、頼れる身内がいないという。元々、このNPOはペットのしつけ教室から始まったが、2年前から飼い主の生活の支援も始めた。きっかけは飼い主のケアマネージャーたちからの相談が相次いだことだった。当時、NPOが岐阜市内すべての地域包括支援センターを対象に行ったアンケートでは、「飼い主がペットが心配だからと強引に退院してしまった」など、ペットの飼育が原因で福祉支援が妨げられた経験があると回答した職員が4割以上に上っていた。NPOと連携しているケアマネージャーの高山尚美さんは、担当している女性が2週間前に転んでけがをしたものの、飼育している犬を離れたくないという理由で病院に行っていない状況を危惧していた。NPOは、対応への困難さも感じており、コロナ禍で失業し生活保護を受けている男性から、飼っている猫2匹と暮らせる転居先が見つからないという相談を受けていた。今月、NPOは、猫が飼育できて家賃も手ごろな物件を代わりに見つけ、入居につなげることができた。NPOがこの2年間で寄せられた相談は、450件以上で、対応に手間も時間もかかっているのが現状だという。