秋田市出身の弘子さんは父を日中戦争で亡くした。当時2歳だった弘子さんは戦争で家族を失う悲しさを戦争を知らない世代にも知ってもらおうと手記で伝えようとしている。日本画家として活動する弘子さんは現在は東京で暮らし、幅広い世代に絵画を教えている。60年余前、弘子さんは大学を卒業後に25歳で上京。若い頃は絵画に没頭し、父親を失う原因となった戦争について思いを巡らせることは少なかったという。戦争について考えるようになったのは60歳を過ぎた時、きっかけは父が生まれたばかりの弘子さんを描いた1枚の絵はがき。手紙は父が戦地にいた約2年間に200通以上も送られてきていた。弘子さんは手紙で父の愛情を知ると共に、戦争の悲惨さを伝えたいと思うようになったという。