インフレと株式市場の関係について大橋氏が解説した。23年を見ると必ずしも金利上昇が株式市場にネガティブだったわけではない。金利上昇が株式市場に負の影響を与えるというのは逆金融相場の局面で23年はそれとは異なる相場だったと思う。日本企業業績回復のドライバーは3つ。「値上げ」は企業にとっては利益率改善の最大のドライバーになるもの。「在庫調整の終了」についてはコロナ禍で積み増した在庫の調整は23年の後半に終了したと思われる。「自動車生産台数の回復」については、コロナ禍の部品不足で自動車が作れなかったという時代から在庫調整の終了も含めて自動車が普通に作れるようになり、素材メーカーとか部品メーカーに直接的なポジティブな影響を与えた。この3つだけが要因ではなく、円安やAIブームをテーマにした特定銘柄の指数に与える影響も寄与はしているが、大きなトレンドを与えると考えるという意味ではこの3つが重要。いずれも24年の1、3月までは何とか持つと思うが、問題はその後の持続性。日本の製造業の在庫循環は強くなく、思ったより在庫積み増しや生産の回復にも至っていないといえる。自動車の受注も失速ぎみで、3つのドライバーのうち2つは失速気味。日本企業の利益率回復のカギを握るのはインフレが続くかどうか。金利が上がると株式にとってはネガティブだと評価されがちだが、企業の価格転嫁ができていてのインフレという循環になると考え、インフレの鈍化が逆に株式にネガティブに働く可能性もある。大橋氏は「6-7月あたりに毎月勤労統計で実質賃金がプラス化しているか、個人消費が失速していないか、その後企業が財・サービス共に価格転嫁してインフレ率に反映されるかどうかに注目」と述べた。