都内にある大手スポーツ用品メーカー・アシックスが運営する店舗には、平日にもかかわらず、海外から来た多くの客でにぎわっていた。会社を率いる廣田康人さんは大手商社出身で、2018年にアシックスの社長に就任し、今は会長CEOを務めている。直近10年の業績を紹介。
コロナ禍の2020年12月期は赤字に陥った。その後は急回復し、ことしも3期連続の最高益を更新する見通し。どのようにして復活したのかを聞いた。廣田さんが社長に就任した2018年。会社は20年ぶりの最終赤字となり、経営不振に陥っていた。当時は本社と販売の現場に距離があったと振り返る。そこで、体制を見直すことにした。開発の責任は本社、販売の責任は販売会社としていたのを改め、ランニング用シューズ、スニーカー、アパレルといったカテゴリーごとに本社が売り上げのすべての責任を持つようにした。そして社長就任の翌年、廣田さんは会社の復活を目指して社長直轄のプロジェクトを立ち上げた。Cプロジェクト(Chojo=頂上プロジェクト)と呼ぶ、トップアスリート向けシューズの開発チーム。当時、会社はかつてない屈辱を味わっていた。米国のナイキが投入した厚底シューズに一気にシェアを奪われていた。挽回に向けて、Cプロジェクトのメンバーには20代から30代を中心とする若手社員を積極的に登用。“勝てるシューズを作ってほしい”というアスリートの声を聞いた若手社員は、何度も現場に足を運んでシューズを開発した。そのシューズを履いた選手は、ことしのパリオリンピック男子マラソンで銀メダルを獲得した。もう1つ廣田さんが進めたのが、事業の選択と集中。学校の体操着などスクール用品は再来年、バットなど野球用品は来年、販売を終了する予定。強みのあるシューズに特化した会社になる。決断の裏には、廣田さんが目指す目標があった。「まずはランニングでナンバーワンになるとわれわれは決めてやっている。拡散している経営資源を1つのところ、あるいは特定のところに集中していくので、当然そこでは効率も業績も上がってくる。“勝ち癖”をつけることがすごく重要だと思っている。その積み重ねで会社の中に大きな勢いが出てくる、それが非常に大切だと思っている」と述べた。
このように会社の業績は好調に見えるが、気になるのがこの業界で最近勢いをつけている新興勢力。スイスのメーカー「ON」とフランスで生まれて今は米国の「ホカ」がある。新興勢力との厳しい競争環境の中で、どう成長を続けていくかが課題となる。
コロナ禍の2020年12月期は赤字に陥った。その後は急回復し、ことしも3期連続の最高益を更新する見通し。どのようにして復活したのかを聞いた。廣田さんが社長に就任した2018年。会社は20年ぶりの最終赤字となり、経営不振に陥っていた。当時は本社と販売の現場に距離があったと振り返る。そこで、体制を見直すことにした。開発の責任は本社、販売の責任は販売会社としていたのを改め、ランニング用シューズ、スニーカー、アパレルといったカテゴリーごとに本社が売り上げのすべての責任を持つようにした。そして社長就任の翌年、廣田さんは会社の復活を目指して社長直轄のプロジェクトを立ち上げた。Cプロジェクト(Chojo=頂上プロジェクト)と呼ぶ、トップアスリート向けシューズの開発チーム。当時、会社はかつてない屈辱を味わっていた。米国のナイキが投入した厚底シューズに一気にシェアを奪われていた。挽回に向けて、Cプロジェクトのメンバーには20代から30代を中心とする若手社員を積極的に登用。“勝てるシューズを作ってほしい”というアスリートの声を聞いた若手社員は、何度も現場に足を運んでシューズを開発した。そのシューズを履いた選手は、ことしのパリオリンピック男子マラソンで銀メダルを獲得した。もう1つ廣田さんが進めたのが、事業の選択と集中。学校の体操着などスクール用品は再来年、バットなど野球用品は来年、販売を終了する予定。強みのあるシューズに特化した会社になる。決断の裏には、廣田さんが目指す目標があった。「まずはランニングでナンバーワンになるとわれわれは決めてやっている。拡散している経営資源を1つのところ、あるいは特定のところに集中していくので、当然そこでは効率も業績も上がってくる。“勝ち癖”をつけることがすごく重要だと思っている。その積み重ねで会社の中に大きな勢いが出てくる、それが非常に大切だと思っている」と述べた。
このように会社の業績は好調に見えるが、気になるのがこの業界で最近勢いをつけている新興勢力。スイスのメーカー「ON」とフランスで生まれて今は米国の「ホカ」がある。新興勢力との厳しい競争環境の中で、どう成長を続けていくかが課題となる。