救われたこの選手は東京五輪に並々ならぬ思いで臨んでいた。ハンスル・パーチメントは110mハードルに出場するジャマイカの陸上選手。ベテランの域だが、かつてはジャマイカ陸上界の若きスター。度重なるケガでリオオリンピックは選考漏れ。東京五輪には3枠中の3番手で出場権を獲得していた。バスを間違えた前日の予選は東京オリンピック最初のレースだった。全体で4位で予選通過。次は準決勝。当日の朝、8時に選手村を出発できるようにしていた。食事を終えコーチに連絡するとコーチとは別々に競技場へ向かうこととなった。何度も国立競技場には行っていたので、いつもと同じ場所に停車するバスに後今田がそれが水上競技場行きのバスだった。係員に問い合わせし、呼ばれてきたのが河島だった。タクシーに乗ることができたパーチメント選手は国立競技場に到着。ウォーミングアップもでき準決勝のレーンに立つことができた。全体でも3位に入り決勝進出を勝ち取った。一方、河島は倒れるように寝てしまう毎日でパーチメント選手の活躍を知らない。8月5日、決勝戦。万全の準備で挑んだ。
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