米国・トランプ次期大統領が次々と打ち出す人事をめぐり波紋が広がっている。トランプ氏は14日、保健行政のトップである厚生長官にケネディ元大統領の甥で弁護士のロバート・ケネディ・ジュニア氏を起用すると発表したが、この人事がまた大きな波紋を広げている。国民的な人気を集めたケネディ元大統領は民主党の政治家だったが、甥のケネディ氏は今回の大統領選では民主党からではなく無所属で出馬。途中で撤退した直後に共和党候補のトランプ氏の支持に回っていた。ただ、この厚生長官というのは全米の保健行政を統括するポジションで、その権限は絶大で、例えば医薬品の認可などを担当するFDA(食品医薬品局)やCDC(疾病対策センター)などを管轄下に置いている。米国メディアによると、連邦予算のおよそ25%を占める巨大な組織のトップに就く可能性があるという。ケネディ氏はコロナワクチンを巡って根拠のない陰謀論を広めたり「自閉症はワクチンが原因だ」と発言するなど、科学に基づかない主張を繰り広げてきた。さらにこのワクチンを認可するFDAを敵視していて、「FDAそのものを解体すべきだ」とも主張してきた。またケネディ氏は最先端の医療機関や研究機関の予算を減らし、自然療法や予防医学に重点を置く考えを持っており、ワクチンや医薬品の開発に影響が出る、人材の流出といった事態が懸念される。トランプ次期大統領はケネディ氏の知名度の高さに対して期待していると見られ、共和党からも驚きの声をもってみられている。今回の人事が上院で認めらるかわからないが、新しい共和党を作ろうとしているとも見られる。トランプ氏は演説で「もう誰も俺達にはケチをつけられない」と自信を示している。
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