3日間大きな熱気に包まれた、中国の動画配信プラットフォーム「ビリビリ」の大型イベント。展示会場では、多くのコスプレイヤーたちが思い思いに楽しんでいた。中国中の2次元ファンが集結する中、アニメやゲームといったコンテンツ関連ビジネスを中国で展開する日本企業の姿もあった。バンダイナムコが今注目しているのが、購買意欲の高い女性向けのグッズだという。「ゆるガン」は中国限定のシリーズで、購買層が男性限定になりがちなガンダムを女性を意識した可愛らしいデザインにしたことで売れ行きが好調だという。消費の低迷が意識される中国だがいわゆる2次元市場は急速に伸びていて、市場規模は2019年に比べて2倍の約12兆円に達している。新たな動きに商機を見出すのがソニーグループで、アニメ「TO BE HERO X」の関連ビジネスに取り組んでいる。原作者は上海出身のクリエイターで、制作のほとんどが中国で進められている。ソニーグループのアニプレックスが作品の日本市場、北米市場へのプロデュース業務を担当している。日本での放映の他、アメリカに拠点を置く大手アニメデータベースでは一時高評価ランキングでトップとなった。中国発の作品の世界展開を支援する狙いについて、アニプレックスの担当者は2次元市場で広がる「チャイナ to グローバル」の動きに商機があると強調した。自由な表現が国家の安全を崩すことにつながらないよう、中国では流通前に内容に関する検閲が必要となる。一方、景気の底上げに向けて当局は中国オリジナルのIP(知的財産)ブランドの開発とアニメ、ゲーム、eスポーツの関連商品の消費促進、国内外の市場開拓を支援している。主催したビリビリ側は、世界展開を進めるうえで今後も日本企業と組むことは極めて重要だと指摘する。