国のエネルギー基本計画の見直しに向けて原子力発電の活用を議論する経済産業省の審議会が開かれた。大手電力会社でつくる電気事業連合会は原発の建設には巨額の初期投資が必要なうえ事業期間が長期にわたることから、投資を回収できなくなるリスクが大きいとして民間の投資を後押しする仕組みの検討を求めた。英国では原発の新増設にあたってコストが上昇した場合の負担を電気の利用者や国も負うことで電力会社が資金調達をしやすくする制度を設けていることなどが説明された。審議会の委員からは原子力ならではの課題や不安を払拭するような投資環境の整備が必要、エネルギーの安全保障や脱炭素に向けて原子力の必要性は明らかで、ばく大な資金調達には政府によるサポートが重要だなどと支援策の必要性を指摘する意見が出された。すでに多くの原発支援策があり過剰な支援になりかねない、投資価値の高い電力が本当に原子力なのか国民全体に問うていく必要があるといった慎重な意見も出されていた。経済産業省はこうした意見も踏まえ、今後、原発も含めた脱炭素電源の投資を促進する制度や支援策を検討することにしている。