アメリカの強い働きかけで1月に合意したイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦は、崩壊しかねない事態となっている。イスラエル軍は18日、ハマスの拠点に大規模な空爆を行った。NHKガザ事務所・サラームアブダホンカメラマンが、南部ハンユニスで撮影した映像では、電話に出た直後に爆発音が聞こえた。病院に向かうと子どもを含む負傷者が、次々と搬送されていた。ガザ地区の保健当局は、これまでに404人が死亡したほか、今も多くの人ががれきの下に取り残されていると発表。犠牲者の多くは女性や子どもなどだとしている。アメリカの働きかけなどで実現したガザ地区の停戦合意。アメリカ・トランプ大統領の就任式の前日、1月19日に第1段階の6週間の停戦が発効。今月1日、第1段階の期限を迎えたが、イスラエル軍のガザ地区からの完全撤退や、恒久的な停戦を目指す第2段階への移行を巡って、双方の隔たりが埋まらず、合意の継続が危ぶまれていた。トランプ大統領はSNSに「今すぐ人質を解放せ。さもないと地獄の報いを受けることになる」などと投稿。アメリカ・ウィトコフ中東担当特使も「来月20日ごろに終わるユダヤ教の祝日が過ぎるまで停戦を延長し、その間に恒久的な停戦について協議する」新たな提案を示したが、「ハマスは直ちに恒久的な停戦に移行すべき」との立場を崩していなかった。停戦の発効後、最大規模となった今回の空爆。イスラエル・ネタニヤフ首相は声明で、空爆の理由について「ハマスがアメリカの提案を拒否したためだ」とし、「より強い軍事力で行動する」と強調。またイスラエル軍は、ガザ地区の住民に向けて退避するよう通告していて、攻撃をさらに拡大する姿勢も示している。イスラエル・ダノン国連大使は「われわれは敵に容赦しない。人質を全員取り戻すまで攻撃をやめない」と述べた。一方ハマスは声明で「ネタニヤフ首相は停戦合意を破棄することを決定し、人質を危険にさらしている」などと強く反発。