和歌山県田辺市からかつおの漁について。田辺市では昭和30年代まで盛んにかつおの一本漁が行われていた。今ではほとんど行われていない。伝統あるかつおの一本釣りの復活にかける漁師を取材した。この船で指揮をとるのは濱中健宏さん。これまで12年、大型漁船で全国をまわり、かつおを追い求めてきた。約350年の歴史があるかつおの一本釣り漁。江戸時代初期、紀州の漁師が土佐や気仙沼などに伝えたとされている。芳養の一本釣り漁は戦後から昭和30年代にかけ最盛期を迎えた。しかし大規模な漁の普及や漁師の減少などで、一本釣りの専業はいつしかなくなった。先月12日、濱中さんのかつお一本釣り漁船の初めての試験操業が行われた。出航は夜更けの1時。漁船の水槽にはかつおのエサとなるイワシやヒラコが、バケツ23杯分積み込まれた。一本釣りでは生きている魚でかつおをおびき寄せる。濱中さんと一本釣りをともにする1人は、インドネシア人のディキセティアワンさん。大型漁船で一緒に漁を行ってきた仲間。もう1人は大阪出身の檜山寛大さん。漁師になりたいという夢を実現するために、濱中さんに直談判して船に乗せてもらった。濱中さんは魚群探知機と経験をもとに漁場に向かう。1時間半かけて田辺市の沖合約35キロに到着した。漁は10分から30分が勝負。一旦かつおの群れを見つけると、集中して2キロのかつおを一本釣りする。3秒に1匹というペース。濱中さんたちはお昼ごろ、港に帰ってきた。漁の成果は500キロ。濱中さんにとって満足のいく水揚げ量ではなかったが、なんとか黒字ギリギリ。初めての試験操業は成功に終わった。水揚げ作業が終わった後、とれたばかりのかつおを捌いてもらった。かつて町に活気をもたらしたかつおの一本釣り漁をもう1度。地元の人たちも大きな期待を寄せている。今後は田辺市芳養の港を拠点に、海が荒れる冬場をのぞいて各地でかつおの一本釣り漁を続けていきたいという。