トランプ大統領は中東やロシア・ウクライナ情勢をめぐる成果を強調して、国際社会への貢献をアピールしているが、その一方で関税やビザ発給の制限などアメリカ第一主義のためには手段を選ばない姿勢を鮮明にしている。こうした流れに警鐘を鳴らすのがイギリスの中央銀行「イングランド銀行」で政策員を務めたことで知られる経済学者アダム・ポーゼン。ポーゼンはアメリカ発の世界経済の分裂の可能性に危機感を強めている。これまで世界の覇権を握ってきたアメリカ。安全な基軸通貨ドルを提供してきたほか、貿易ルールや航行の自由を保障することでリスクを排除してきた。その一方で投資マネーはアメリカへ流入。各国が規制や製品規格をアメリカに合わせるなどアメリカにとってのメリットも少なくなかった。しかし、他の国をリスクから守るのではなく、関税や制裁をチラつかせて一方的に搾取する存在に変わったという。ポーゼンはドルで取り引きするコストが上がれば、これまでドル建てで行われてきた貿易や国をまたぐ投資が停滞し、世界経済の分裂が進むと警告する。
