インド・ハリヤナ州にある日本の大手農機メーカー・クボタの現地工場。インド人の従業員が部品の組み立てから出荷までを一貫して行い、1日約120台のトラクターを製造している。製品情報はITに強いインドの従業員が管理していて、検査などの効率も上がっているという。インドでは、人口14億人のうち6割が農村部で生活している。トラクターの販売数は年間約100万台にのぼる。クボタは16年前、日本の農機メーカーとして初めてインドに販売会社を設立したが、高品質を売りにした製品はなかなか売れず、苦難の連続だったという。農作業以外にも使用できる多目的トラクターを開発し、徐々にシェアを拡大した。おととしには、現地大手のエスコーツを約1500億円で子会社化した。アフリカなどへの輸出を強化し、インドを海外戦略の一大拠点にする構想もあるという。モディ首相は3期目の就任にあたり、「インドの経済を世界3位に引き上げることを達成する」などと強調した。インド政府は現地進出する日系企業を「現在の1500社から1万5000社会に増やしたい」としている。専門家は日系企業にとって法制度などの面で不安要素も少なくないと指摘する。今回の総選挙で与党の議席は大幅に減らし、モディ首相の求心力にかげりもみえるなか、投資環境がどこまで整備されるのか注目される。