アメリカでトランプ次期政権への移行が進む中、注目されているのが半導体政策。特に半導体の国内生産を促進させる「半導体法」の行方がいま一部で危ぶまれている。なぜこのような事態となっているのか。国内外の企業に対する巨額の補助金が盛り込まれた「半導体法」だが、トランプ次期大統領は「国外産の半導体に関税を課す方が効果的」として批判している。「半導体法」は撤廃されしまうのか。スタンフォード大学のアラン・サイクス教授は「(トランプ氏の意見は)共和党内部からも反発を招いている。例えば共和党が強い中西部・オハイオ州は半導体法による恩恵を受けていて、地元議員は投資の流れが止まることを望まない。共和党のジョンソン下院議員も半導体法の撤廃医は消極的で、共和党の主要な上院議員も同様の意見だ。最終的に半導体法が現在の形をほぼ維持したとしてもおかしくない」と語る。ただ、トランプ次期政権で修正される部分も出てくる可能性も専門家は指摘しており、「半導体法はどの企業に補助金を支給するかの決定権を商務省に委ねた。そこで商務省は企業が補助金を受け取るための条件を策定したが、その中には”過度に進歩的”とトランプ氏が否定的に捉えそうなものもある。例えば『従業員のために無料の託児所を設けなければならない』などの規定。それらの規定を順守しようとすればアメリカ国内での生産コストを引き上げてしまい、『半導体法』本来の目的が達成できなくなるため、トランプ次期政権では補助金の条件が変更される可能性がある」と話す。