ファン・ティ・キム・フックさんはベトナム戦争の時にナパーム弾が直撃しながら生き延びたことで知られている。現在はベトナムからカナダに亡命しているが、この日はオハイオ州で退役軍人の集いに招かれている。キム・フックさんは自らの名前を関した財団を設立し、世界で講演を行うなどしている。一命をとりとめたものの今も傷は完治していない。講演では自らの経験を元に平和の尊さを訴えていて、かつて加害者側だったアメリカの兵士に対しいかに戦争の苦しみや憎しみを克服したかをコーヒーを見せながら「私の心は悲しみでいっぱいでした 毎日コーヒーを注ぐように憎しみを吐き出していきました そしてある日”コーヒー”はなくなり 空っぽになったのです」と悲しみの晴れた日が来たことを振り返った。被害者も加害者も苦しみから開放されるべきとの考えがあるといい、「過去にあったことは変えられません 私のように 過去を切り離して前に進まなければなりません」とキム・フックさんは振り返った。キム・フックさんはウクライナ侵攻をめぐり避難してきた人々にも支援を行っていて、避難民を運ぶ飛行機にはベトナム戦争当時の写真が書かれていた。他の支援団体とも連携して避難民をカナダに迎え入れる活動も行っている。