今日の特集は共生できる世界を目指して奮闘する中国の聴覚障害者。2006年の調査によると中国の聴覚障害者は約2780万人いるとされている。中国政府は、法律などに基づき障害者の権利の保障や教育事業などを発展させているとしている。一方で聴覚障害者1万人に対し手話通訳が3人程度しかおらず聴覚障害者との共生は容易ではない。そうした中壁をなくそうと活動する中国人女性・胡暁姝さんはアートの他、様々な取り組みを通じ聴覚障害者を取り巻く状況を変えようと活動している。胡暁姝さんは生後6か月のころ聴覚を失い、原因は医師の投薬ミスだったという。小さい時はろう学校に通い手話で両親と話す以外耳が聞こえる人との交流は殆どなかった。大学生の時、聴覚障害者が集まるヨーロッパのキャンプに参加し、各国の参加者と交流した。聴覚障害者が同情や支援の対象者だと受け止められることはなく自立し自信を持っている姿に驚いた。胡暁姝さんはオーストリアに留学、現地の手話通訳者の協力を得ながら芸術などを学び、卒業後も現地に残りヨーロッパで就職し舞台演劇などの活動もしながら18年間を過ごした。コロナ禍を機に4年前中国に帰国。手話講師として働きながら聴覚障害者を特別な存在にせず共に生きる社会を目指して活動している。活動の一つが去年から友人たちと始めた聴覚障害者にも優しいクラブのイベント。聴覚障害者も音楽を楽しめるように音の低音域を強調し体に響くよう設計している。250人が参加し半数が聴覚障害者だった。この日はカップルマッチでその場で気に入った人を選ぶ。すると聴覚障害者の女性と聞こえる男性のカップルが成立、スマホのメモ機能で自己紹介し連絡先も交換した。胡暁姝さんも回を重ねたイベントに手応えを感じている。こうしたイベントは胡暁姝さんが続けている手話の普及にもつながっており、クラブのイベントがメディアで取り上げられるようになり胡暁姝さんのもとで手話を学びたいという人が増えている。手話と接点が無かった人を対象にした体験講座にも25人が集まった。多くの参加者にとっては初めての手話の世界。少しでも手話を身近なものにしたいと胡暁姝さんは地道な活動を続けている。