アフガニスタンで女性の権利を一層、制限する新しい法律ができ波紋が広がっている。道徳を規定したというこの法律では、女性が大きな声で話したり歌ったりすることまで禁止している。タリバンはアフガニスタンが旧ソビエト軍撤退後の内戦で国内が疲弊していたさなかの1994年に結成された。1996年には首都カブールを制圧して政権を樹立。しかし、2001年の米国同時多発テロ事件では首謀者である国際テロ組織アルカイダのオサマ・ビンラディン容疑者の身柄の引き渡しを拒否したため、米軍などがアフガニスタンへの軍事作戦に踏み切りタリバン政権は崩壊した。2021年8月、米軍が撤退を進める中再び、首都カブールを制圧しその後、暫定政権を発足させた。再び実権を握ってからタリバンは、独自に解釈したイスラム法に基づく統治に再び乗り出している。女性は小学校までしか通えなくなった他、国連やNGOなどで働く女性の職員の出勤も停止されるなど女性の教育や就労が制限されている。先月21日道徳を定めたとする新たな法律が発表され、女性が公の場で、全身や顔を布で追うことを義務づけるだけにとどまらず、大きな声で話したり歌ったりすることまで禁止している。「誘惑を招くおそれがあるため」という理由だという。先週、国連の安全保障理事会の12の理事国は共同声明を発表しタリバンによる女性に対する抑圧を最も強い言葉で非難するとしたうえで撤回を求めた。しかし、安保理の理事国は15か国。共同声明には日本や米国、英国など12か国が賛同しているが残り3か国、中国、ロシア、アルジェリアは賛同していない。中国は、一帯一路構想にアフガニスタンを組み込む考え。中国企業による油田の開発も進められている。ロシアはプーチン大統領が今年5月関係を築く必要があると述べていて、テロ対策で協力を深めたいねらいもあるとみられている。