北朝鮮の金正恩総書記が、ロシアに派兵されていた北朝鮮軍の部隊を表彰した。厚遇のウラには米露関係に揺れる事情があるという。北朝鮮メディアは22日、ロシアのクルスク州で戦闘中とされる北朝鮮兵の映像を公開した。韓国の国家情報院によると、北朝鮮はロシアに1万5000人以上を派兵し、4700人以上が死傷したという。同じ22日には、ロシアに派兵された部隊への表彰式が行われたことも報じた。金正恩総書記は派兵について、「歴史的壮挙に対する党と国家、人民の感謝の表れだ」と強調。兵士の顔に両手をあてながら言葉を交わし、抱きしめる場面もあった。北朝鮮軍の映像の公開や部隊への表彰の狙いについて、毎日新聞客員編集委員・鈴木琢磨氏は「いつかはどこかで区切りをして、自分たちの参戦が正しかったと理屈付けをして、それを人民に知らせて、そして金正恩氏の権威を高めたいと、タイミングをずっと狙っていた。本来であればロシアとウクライナの停戦が見えてきたタイミングがベストだが、人民からの不満の高まりから待つことができなかったと推察する」と話す。そしてもう1つ、10月に迎える朝鮮労働党創建80年に向けての狙いもあるという。「朝鮮労働党創建80年の歴史の中でも、もっとも輝かしい偉業の1つだと言いたい」とのこと。
