和歌山・那智勝浦町に住む中平史都さんは今年4月、再び走れるようになった父親の愛車と13年ぶりに再会した。13年前の平成23年9月、紀伊半島豪雨が発生し、和歌山を離れて1人暮らしをしていた中平史都さんは両親ときょうだい一家5人を土石流で亡くした。数少ない家族の思い出の品が父親の愛車・ギャランGTOだった。父が生前経営していた新宮市の中古車販売店で大切に保存していた。しかし車は水没、泥だらけの状態だった。中平史都さんは「父が大事にしすぎていたのでこの車を廃車にするという決断はできなかった」と話した。車は店の跡地に放置されていたが4年前、跡地を借りていた中村進太郎さんが形見の車のことを中本さんのおじから聞いて修理を申し出た。父の友人たちも中村さんの呼びかけに応じた。難しい作業を任されたのは和歌山市でレーシングカーのチューニングショップを営む前原敏宏さん。修理にに使う部品を全国から集めた。同じエンジンを載せ替えてシートやハンドルは再利用した。4年の時を経て4月29日、車は復活した。中平史都さんは「これに携わってくれた方への感謝の気持ちが真っ先に出てきて、支えになる存在が出てきてくれたなという、気持ち的にも心強いです」と話した。